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帝国戦記 第五章 第07話 『謀略』 


要塞を築くから攻撃される。


エドワード・ギボン





ニーオルスン基地で日仏の交流が行われている中、イギリス帝国のチェンバレン議員は秘密会談を行うためにアメリカ合衆国の大統領執務室に居た。会談の相手はトーマス・ウッドロウ・ウィルソン大統領とジョセファス・ダニエルズ海軍長官である。チェンバレン議員を迎えたウィルソン大統領とダニエルズ海軍長官の表情は心なしか僅かながらに厳しい感じがする。警戒しているだろうか。もちろん、チェンバレン議員は自分自身がアメリカ政府から警戒されている事をよく理解していたが、百戦錬磨にしてイギリス最強の帝国主義者である彼にとっては、そのような態度はなんら痛手ではなかった。国益に適うなら悪魔とすら取引すると言われた彼らしい態度あろう。

逆に在アメリカ合衆国大使であるセシル・スプリング・ライスに対して怒りが向かわない分、良い傾向として捉えている程の強烈なまでの冷徹な現実主義者としての一面が伺える。

「さて…我々の申し出は如何でしょう」

「その情報は信じてよいのですか?
 失礼ながら貴国の謀略という可能性も捨てきれない」

チェンバレン議員の態度にダニエルズ海軍長官は内心は腸わたが煮えくり返る思いをしていたが、それを厳しい表情までになんとか抑えながら応じた。なにしろアメリカ海軍こそがチェンバレン議員からもっとも被害を受けていた被害者だったからだ。

「長官の懸念は私も同じだ」

ウィルソン大統領の表情にも不信感を隠しようが無かった。日米間の対立でイギリス帝国だけが暴利を貪ってきた実績がものをいう。何しろフィリピン条約を利用して日本軍と対抗するためとはいえ、旧式戦艦を買わされ続けた恨みは大きい。これまでイギリス帝国に買わされた戦艦は16隻にも上る。

「ニューヨーク」 (ロード・ネルソン級戦艦ロード・ネルソン)
「ペンシルベニア」 (ロード・ネルソン級戦艦アガメムノン)

「ウェストバージニア」 (キング・エドワード7世級戦艦ハイバーニア)
「カリフォルニア」 (キング・エドワード7世級戦艦アフリカ)
「コロラド」 (キング・エドワード7世級戦艦ニュージーランド)

「イリノイ」 (マジェスティック級戦艦マジェスティック)
「ウィスコンシン」 (マジェスティック級戦艦マグニフィセント)
「ケンタッキー」 (マジェスティック級戦艦ハンニバル)
「ロードアイランド」 (マジェスティック級戦艦プリンス・ジョージ)
「インデイアナ」 (マジェスティック級戦艦ヴィクトリアス)
「キアサージ」 (マジェスティック級戦艦イラストリアス)

「テキサス」 (ロイヤル・サブリン級戦艦ロイヤル・ソヴェリン)
「メイン」 (ロイヤル・サブリン級戦艦エンプレス・オブ・インディア)
「アイオワ」 (ロイヤル・サブリン級戦艦ラミリーズ)
「オレゴン」 (ロイヤル・サブリン級戦艦レパルス)
「ミズーリ」 (ロイヤル・サブリン級戦艦レゾリューション)

それぞれ建造が行われた時期が、ロード・ネルソン級戦艦(1905年から1908年)、キング・エドワード7世級戦艦(1903年から1905年)、マジェスティック級戦艦(1895年から1898年)、ロイヤル・サブリン級戦艦(1889年から1894年)、という点からして条約間戦争の戦訓が取り入れられていない完全な旧式戦艦だった。これらの戦艦の多くは売却時に時代に適応できるように近代改装が行われているとはいえ、急速に大型化が進む戦艦の中では旧式化は否めない。同型艦が多く艦隊行動が行いやすいといっても、旧式艦なのでその優位性も色あせてしまう。フィリピンに展開する優勢な日本艦隊との直接対立を避けるための代償とは判っていても、感情面からは納得しがたかった。特に、戦死の危険性が付きまとう戦艦に乗る水兵たちの恨みは大きいものだ。納税者の間では合衆国海軍省に対して「海軍はいつイギリス帝国から独立を果たすのだ?」と皮肉を囁かれており、海軍は上から下まで肩身が狭い。

「謀略なのは否定しません…が、
 アメリカに対するものか日本に対するものかは貴国が判断するべきです。
 しかし、他に選択肢はありますかな?
 愚考ながら、座して待てば貴国の状況はジリ貧に陥るだけです」

「……」

「だからといって我々に…
 日本艦隊に対して奇襲攻撃を行え…と?」

「ほう?  貴方達は米西戦争時には戦争に消極的なスペインに対して、
 一方的な宣戦布告を行ったのに今更なにを仰るか。
 まぁ、何もしなければ各国は貴国の力を疑い始める…
 その結果は明らかです。
 これまで南米に行ってきた外交政策への反発へと容易に繋がるでしょうな。

 時が来ればハワイのみならずパナマとカリブ海を押さえられてしまう。
 そうなれば南米への影響力は完全に絶たれてしまうと愚考しますが」

涼しい顔でチェンバレン議員は言葉を放った。根拠の無い憶測が含まれているが、可能性として示唆しているだけあって性質が悪い。

アメリカ合衆国はウィリアム・マッキンリー大統領やセオドア・ルーズベルト大統領が行ってきた経済力のみに留まらず、時には軍事力を用いた攻撃的な外交政策によって、南米への政治力を増大してきただけに、チェンバレン議員の言葉をウィルソン大統領とダニエルズ海軍長官の二人は無視する事が出来なかった。軍事力に頼って得ていた地位だけに、その軍事力に陰りが出た時に反発が生じるのは道理であろう。 現に、アメリカ合衆国の国威低下を受けて、アルゼンチン共和国、チリ共和国の二国は完全に日本側へと傾いている。

「先制攻撃を行った後にハワイで耐えるのか…」

「佐世保湾海戦と同じようなケースと思えば良いでしょう。
 薩摩を沈めておけば貴国が欲する国威上昇も見込めます」

「……ふむ」

「不可能ではないでしょう。
 佐世保湾海戦で奇襲攻撃の効果は実証されています。
 後は貴方たちが計画している通りに、
 艦隊とオアフ島要塞を用いた防衛戦で日本艦隊を凌げば、
 条約間戦争でも判るように長期戦を望まない日本側も折れるでしょう。
 要塞の有効性は不本意ながらも、先の中東戦線で証明されていますからな。

 それに、制海権を失っているフィリピンですら膠着状態を保てているのです。
 フィリピンに対する貴軍への補給はフィリピン条約の失効後も、
 人道的見地という建前を掲げて最低限は御約束します。
 もちろん日本側に怪しまれぬよう最低限の代金は頂きますが…

 だが、時期を見誤れば鳳翔が大西洋に配備されないとも限らない。
 そうなってしまえば奇襲攻撃は難しくなるでしょうな」

この場に及んで資金回収を怠らないところが、弱体化した国家を吸い尽くそうとするイギリス帝国らしさと言えるだろう。

そして鳳翔とは国防軍に於いて1906年9月に計画が始められ、今年の1月に就役していた制海艦の一番艦の事であった。制海艦とは脅威の限定された状況下に於いて制海権を確保することを目的とした艦種である。 国防軍はこれに強力な指揮能力を設けることによって、洋上警戒基地として運用する事も目論んでいたので、普通の制海艦よりもやや大型の基準排水量19500トン、全長248m、全幅38、吃水7.2mになっていた。艦橋構造物は右舷側に寄せた、いわゆるアイランド方式の全通甲板とした平甲板型からなっており、航空機の運用を前提とした設計が伺えるだろう。同時運用能力を高める為にエレベーターは前後に計2基装備している。レニウム型電子励起炉を搭載しているので艦艇に於ける燃料補給は8ヶ月に一度で済む様になっているのが本艦の特徴と言えるだろう。また豊富な電力から12式電磁式射出機(リニアカタパルト)を2基有しており、加速度を適切にコントロールして固定翼機を発射する事で機体に対する負荷が最小限に抑える事が出来る優れものだ。

肝心の艦載機は4式輸送機「紅葉」3機、4式回転翼機「黒鷹」8機、4式艦上汎用機「流星」8機、4式艦上偵察機「彩雲」8機であった。黒鷹はUH-60系の改良機であり、流星は試験飛行機「流星」の艦上機型である。流星が艦上汎用機という曖昧な表現に留まったのは、1機種にて艦攻、艦爆を兼ねて、限定的ながらも艦戦としても使えるからである。選択肢の多さはターボプロップエンジンによって齎される609km/hに達する最高速度がものをいう。現在はリミッターが掛けられており最高速度が285km/hに制限されていたが、これでもこの時代から見れば驚異的な性能だった。原機より速度が落ちているのはエンジンを強化しつつも、それを上回る防弾装備の充実を行った為だ。固定武装は4門の10式20mm重機関砲である。また、黒鷹、流星に付いている4式は開発及び採用順番から決められていたので、試作機として1式から3式が存在していた。それに対して射出機と機関砲は開発終了時の年号から採られている。

3tを超える兵器搭載量と優秀な飛行性能及び空戦能力を併せ持つ流星は、B7A艦上攻撃機「流星」とA-1スカイレイダーの合わせ子のような機体だったが、全ての性能を曝け出す事は暫くはないだろう。そして4式艦上偵察機「彩雲」は4式艦上汎用機「流星」の偵察型で、乗員が操縦者1名、偵察者1名の計2名であり、機体各所に偵察ポッドを装備する事で高度な偵察能力を保有していた。

また、各国は鳳翔の航空兵力は偵察と輸送に限定していると認識していたので、諸外国に於いては鳳翔は高価な飛行船の代用として作られたと考えられていた。この世界に於いても世界最初の航空母艦の座は鳳翔が勝ち取っていたのだ。イギリス側も鳳翔に触発されるように航空母艦ハーミーズ の建造計画が上がっていた。また、鳳翔級制海艦の二番艦である龍驤は帝国軍向けの船として1921年竣工に向けて建造計画が進んでいる。

そして、オアフ島要塞とはオアフ島に設けられた要塞群を含めて指す。

オアフ島の最も古い要塞はハワイ諸島のオアフ島には真珠湾の入り口にある1900年から1906年にかけて作られたバリー砲台とチャンドラー砲台だった。これらの砲台には1基づつのM1895(45口径305mm沿岸砲)と4基づつのM1903(152mmカノン砲)と3基づつの1906年型44口径178mm速射砲を備えた沿岸砲台である。そこから先には真珠湾の南東には1909年から建設が始まったオアフ島要塞の一翼を担うカメハメハ要塞とその砲台群があった。カメハメハ要塞砲台群を担うハスブルック砲台には4基、セルフリッジ砲台と、クロッソン砲台(史実では1920年完成)には各2基づつの1906年型45口径305mm連装砲が、ジャクソン砲台には2基のM1908(152mm榴弾砲)が備わっていたのだ。

オアフ島東部の海とワイキキ市街地が一望できるダイヤモンドヘッドは連邦政府の土地とされており、沿岸防衛に理想的な場所とされていただけあって要塞化が進んでいた。1904年から4年の歳月をかけて山頂には要塞射撃指揮が建設されている。そして、ダイヤモンドヘッド外輪山北側に設けられたルーシー要塞ハーロウ砲台には4基の要塞砲と、南部側のワイキキビーチに面するデラッシー要塞のランドルフ砲台とダドリー砲台には、それぞれ2基づつの要塞砲が存在しており、これらは全て1906年型45口径305mm連装砲である。

そして、オアフ島南部には要塞の要となる、
今年に入って完成したばかりのバレット要塞があった。

バレット要塞は西ハッチ砲台と東ハッチ砲台の砲台から成り立つ要塞である。他の要塞砲と違って5.4メートルの鉄筋コンクリート層で防御されたM1909(45口径354mm連装砲)がそれぞれ1基づつと、パナマ運河地帯でも設置されているM1895(50口径406mm砲)が西ハッチ砲台には2基、東ハッチ砲台には1基と1915年8月に完成に向けて建設中の合計4基があったのだ。

要塞砲として用いられているM1909は本来ならばマニラとスービック湾の港防衛の要としてエル・レイユ島に建設されるはずだった要塞砲である。フィリピン方面の情勢安定化に失敗していたので、ハワイ方面への転用となっていたのだ。洋上艦艇を上回る重防御力がアメリカ側の切り札だった。本来ならば1931年から建設が始まる要塞だったが、優勢な日本艦隊に対抗するために建設時期が早まっていたのだ。

オアフ島要塞は152mmカノン砲8門、152mm榴弾砲2門、44口径178mm速射砲6門、305mm沿岸砲2門、45口径305mm連装砲16門、45口径354mm連装砲2門、50口径406mm砲3門からなる火砲を保有しており、その規模からして世界最大級の要塞と言っても過言ではない。そして、欧州戦線によって、同口径砲ならば堅牢な作りと水面よりも高所に設置されている要塞砲及び観測所によって、防御、射程、測定の優位性から水上艦に対して有利に戦える戦訓と世界最大級の要塞陣容が相まってアメリカ軍を勇気付けていたのだ。

水上艦の50口径406o砲よりも要塞の50口径406o砲が優位という事実がアメリカの自身に繋がっている。

これらの要塞に加えてアメリカ海軍によってハワイ諸島の周辺には多数の機雷源の敷設が始まっており、要塞砲の射界を避けて上陸するのは不可能と言っても良いだろう。

「国威維持のための戦争か…
 だが、傍観していてもハワイを巡って本格的な衝突が避けられないのも事実」

「だ、大統領!?」

ウィルソン大統領はダニエルズ海軍長官の言葉を手で遮る。ダニエルズ海軍長官はウィルソン大統領の済まなそうな表情を見て何も言えなくなった。

「貴国の企みに乗ろう。
 もちろん例の申し出は必ず守ってもらうぞ」

「カリブ海に展開している薩摩の足止めに関しては
 表敬訪問の形をとる事で実施します。
 もちろん日本艦隊に関する情報は入手したものは全て提示しましょう」

日本カリブ海艦隊は巡洋艦と護衛艦からなる小規模な艦隊だったが、アメリカ側が冒険的な軍事作戦を行わないようイギリス帝国の助言によって戦艦「薩摩」の配属が実施されていたのだ。このような謀略行うのはイギリス側には2つの理由があった。

一つはイギリス帝国は自国の戦艦価値を上昇させるために薩摩級戦艦の戦歴に泥を塗るためである。イギリス側が求める条件は薩摩の撃破に2隻以上のイギリス製戦艦を参加させる事だ。アメリカ側が現状の戦略状況で貴重な戦艦を無用に消費する事など出来ないと汲み取った上の条件である。その代わりとして、イギリス側は自国の商船や軍艦から集めた情報をアメリカ側に渡すのだ。

二つ目が戦後を見据えた戦略環境の為だ。

連合国と中央同盟国との戦争は相応の消耗戦の模様を見せていた状況で、アジアに於いて危険な発展を見せつつある日本帝国が国力を消耗しないでいる現状は、イギリス帝国にとっては都合が悪かった。水面下からアメリカ側へ助力を行うことで日本側の国力を削るのが目的である。

実のところ、これらの謀略は失敗しても成功しても、情報さえ漏れなければイギリス側への直接的な損失は無い。漏れたとしてもチェンバレン議員は自分自身の責任に留めて、国家に対する損失を最小限に留めるつもりだった。これこそがイギリス帝国が得意とする二枚舌外交の真骨頂とも言えるだろう。ウィルソン大統領もイギリス側の思惑は理解していたが、状況的に応じるしかないのも理解していた。

「まぁ、奇襲攻撃を行っても日本側はあまり拘らないでしょうな。
 何しろ先の戦争でロシア帝国が佐世保湾海戦で奇襲攻撃を行ったにもかかわらず、
 日本側は無かった事のように振舞っているのですから。
 いやはや、穏やかな民族が相手だと色々やり易い」

それから暫く会談が続き、やがてチェンバレン議員は会食の誘いを丁重に辞意して大統領執務室を後にする。退出してから暫くしてダニエルズ海軍長官が大統領に視線を向ける。

「本当に宜しかったのでしょうか?」

「懸念はわかる。
 だが、財界からの要望もあったのだ…
 今のままでは合衆国が侮られ、思うように南米経営が行えないと。
 上院議員たちからの嘆願書も多い…
 遅かれ早かれ戦端を開くしかなかったのだ。
 条約間戦争と米比戦争の推移で国威は低下してしまった現状を打開しなければ、
 状況の悪化に歯止めがかからない」

度重なる国威低下に伴いアメリカ合衆国は退くに退けない状態になっていた。影でイギリス帝国の暗躍があったからこそ、この急激な国威低下に繋がっていたのだ。

そして、1913年に制定されたアメリカ合衆国憲法修正第17条によって上院議員は有権者による投票ではなく州議会によって選出されていたが、結局のところ多くの場合に於いて選挙資金の寄付金額の大きさから財界の意向に伴った結果で選ばれている。各州から選ばれている上院議員の声も数が増えれば大統領とはいえ無視はできないし、それに財界からの直接的な意向もあれば尚のことだ。

「判りました。
 必ずや勝利を得られるように万難を排して挑みます」

「海軍には苦労をかける。
 このような苦境を二度と味わなわい為にも、
 長官が計画を進めているダニエルズ・プランの予算は必ず通す!」

ダニエルズ・プラン(別名、3年艦隊計画)とは戦艦10隻、巡洋戦艦10隻、軽巡洋艦20隻、駆逐艦50隻、潜水艦68隻、その他の艦艇の合計175隻の艦艇を3年間で建造する海軍整備計画だった。ただし、現段階では予算不足からその多くが研究段階で止まっている。例外として進められていたのが、時期主力戦艦の主砲としてM1895(50口径406mm砲)を改良した50口径406mm砲のMk2の開発である。日本艦隊に備えるため、最優先にバレット要塞に配備する条件として陸軍から資金援助を受けて進められていたのだ。

「ところで海軍の見積もりでは薩摩級に対しては、
 どのような予想が立てられているのだ?
 もちろん、報告書には目を通しているが、君の口から直に聞きたい」

「図上演習の結果ではフロリダ級戦艦2隻なら、
 勝てると出ていますが、
 幸運な結果で推移しても1隻は中破ないし大破が避けられないと出ています」

フロリダ級戦艦は予算不足によって計画で終わったデラウェア級戦艦、サウスカロライナ級戦艦に代わって建造された新鋭戦艦である。アメリカ戦艦として始めて常備排水量2万トンを超える艦。予算不足の中で海軍の努力もあって昨年の夏に戦艦「フロリダ」「ユタ」の2隻が就役していた。長門級戦艦に及ばないものの、45口径305mm連装砲5基の火力から葛城級巡洋艦を圧倒し、薩摩級に対して優位に立てると期待された戦艦である。フロリダ級戦艦の建造は2隻で止まり、現在はフロリダ級戦艦の拡大・改良型であるワイオミング級戦艦「ワイオミング」「アーカンソー」の2隻の建造が進められており、今年の夏には揃って竣工する予定になっている。

「では…イギリスの望みどおりにしてやろう。
 2隻のフロリダ級戦艦に梅雨払いとして3隻のイギリス製戦艦を加える。
 これならどうかね?」

「勝算は大いに高まります!」

「カリブ海を短期決戦で終わらせ、
 後はオアフ島要塞で粘る」

順調な発展を続けていく日本帝国に対してイギリス帝国の謀略が静かに動き出す。チェンバレン議員の行動力は予想以上のものだと日米が知る事になるのだ。
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【あとがき】
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(2014年03月30日)
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