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帝国戦記 第二章 第49話 『トラファルガー沖海戦 前編』


世の中は海に似ている。泳げないものは溺れる。

スペインの格言





条約側は日本軍によって少なからずの領土を奪われていたが、現段階に於いて奪回する術は全くと言ってよいほど無かった。北極圏と南極圏に関しては策源地から遠く離れている場所に加えて環境が厳しく、また人口希薄なため近代戦を行う戦場として選択できなかったからだ。しかもそのような場所に重装備の日本軍が待ち構えている。過去に進駐した時のように無人もしくは少数の先住民とはまったく条件が違っていたと言えよう。

また、他の地域に比べて奪還が容易に見えるマダガスカル島でも条件はあまり変わらなかった。海路から進もうにもインド洋の制海権は喪失しており、陸路から進めば容赦の無い艦砲射撃を食らってしまうだろう。これらの理由から島の北端部に上陸した大隊規模の日本軍を撃退するのは不可能だったのだ。 マダガスカルに駐留するフランス軍にとっての唯一の救いが日本艦隊は軍艦しか狙わず、比較的容易に南部や中部の港で中立国の船舶を利用する事で補給を受けられた事であろう。もっとも中立国だけに割高になるのは避けられないが、背に腹はかえられぬマダガスカルのフランス軍は利用していた。

それらの中立国の少なくない船舶が、
帝国重工の工作商会の船だったとは知る由もなかったが…

帝国重工の戦略ドクトリンは相手を散財させること。
その戦略にフランスは引きずり込まれていくことになる。


1905年8月30日水曜日、午前14時35分、ド・ラペイレル中将が率いるフランス艦隊はアルフェイテ軍港から出港して3時間ほど経過していた。現在地はジブラルタル海峡の北西約50kmに位置する海域を航行している。この海域では約1世紀前にイギリスとフランス・スペインの連合艦隊がトラファルガーの海戦と呼ばれる戦いを行っていた場所だった。

戦艦リベルテの昼戦艦橋に居たド・ラペイレル中将は副官に言う。

「あと80kmほどでジブラルタル海峡を通過して地中海か…」

「およそ4時間半ほどで到達するでしょう」

「そうだな」

「何か懸念材料でも?」

「確定ではないが、良い兆候ではないだろうな。
 見ろ、イギリスの防護巡洋艦が監視するように我々の艦隊の後ろを付けてきている。
 情報が駄々漏れの証拠だよ……」

ラペイレル中将の言うように、フランス艦隊の最後尾からやや離れるようにして、一隻のイギリスのエドガー級巡洋艦の5番艦であるジブラルタルが航行していた。これは事前にイギリス海軍と打ち合わせた成果などではない。新聞社と政府発表によってイギリス側がフランス艦隊の動きを正確に把握している証拠といえよう。

史実で例えるならばバルチック艦隊の動向に近い。

表向きにはトラファルガーの海戦を偲ぶための航海と言っているが、そのような事は誰も信じていない。フランス艦隊の監視と、海戦になった際の戦訓集めに違いなかった。

ラペイレル中将はイギリス側から日本側に情報が渡っていた時の事態を既に想定していたのだ。彼は言葉を続ける。

「ジブラルタル海峡の幅は14kmから44kmで、それが60kmにわたって延びる。
 そして大西洋側から地中海へと通じる唯一の航路だ。
 艦隊の航路が判っているならば待ち伏せには絶好の海域だと思わぬか?」

「ジブラルタルにて待ち伏せがあるとでも?」

「あくまでも仮定の話だが、
 ジブラルタル海峡の周辺海域にて敵と遭遇する可能性は皆無ではない。
 イギリス側が我々の位置を察していたように日本側も察しているはず。
 我々が把握していない葛城級が大西洋にいたと仮定すれば、
 決して低い確率ではないぞ。私ならそうする」

「確かに……」

ラペイレル中将は自分の艦隊の前途にはどんな運命が待ち構えているのか予測しがたいと思いつつも、彼に残された選択肢はトゥーロン軍港へと可能な限り急ぐことしか出来なかった。日本人ならば、鬼が出るか蛇が出るかという心境に違いない。

二人の会話を遮るように見張員から報告が入る。

「上空、一時の方向に飛行船発見!」

「なんだとっ!」

雲の透間にて1隻の飛行船が飛行しているのが確認出来た。天候の移り変わりが激しい外洋の空を安定飛行が可能な飛行船は日本(帝国重工)しか保有していない。機種を確認せずとも、どこに所属している飛行船かが一目瞭然であろう。つまり、フランス艦隊が日本側に知られたことを意味している。そして広大な大西洋を無意味に哨戒するはずも無く、あの飛行船の目的がフランス艦隊の索敵だということがラペイレル中将には痛いほど判ってしまう。

ラペイレル中将は命令を下す。

「上空は良い! 洋上では隠れる場所などは無いからな。
 それよりも海上警戒を密にせよ、おそらくこの大西洋……
 いや、付近に日本艦隊が居るぞ!」

「りょ、了解しました」

「命令! 艦隊速力を15ノットまで増速!
 一刻も早くジブラルタル海峡を越えるのだ」

「待ってください……2時方向にマスト発見!」

その報告にラペイレル中将は双眼鏡を構えるとしばらくして幾つかのマストが目に入る。ラペイレル中将の脳裏に嫌な予感が雷のように過ぎった。

(タイミングが良すぎる!
 間違いなく航空偵察と連動した日本艦隊に違いない)

ラペイレル中将の予感は不幸にも正しい。
それを肯定するような報告が見張員から発せられる。

「2時方向の艦、複数隻と思われる。
 おそらく戦艦級!
 単縦陣にて接近中」

見張員の言葉が続く。

「おそらく葛城級、
 数は1…2…3…よっ、4隻です!」

「恐らくとはどういう意味だ、報告は正確に行え!」

ラペイレル中将の質問に対して見張員が答える。

「あの葛城級には情報に聞く従来のタイプと比べて艦尾部分に差異があります!」

「…なるほど。となると、あれらは新造艦だな。
 カリブ海で確認された同型艦かもしれん。
 しかし、我々の把握していない葛城級は何隻あるのだ…」

ラペイレル中将は苦々しそうに呟いた。

フランス艦隊の前に立ちふさがるこれらの葛城級には4式輸送機「紅葉」を運用するに必要な施設を備えた仮設格納庫が改修工事によって設置していたタイプである。短期間で改修を行えるとは思っておらず、この事が諸外国を混乱させていたのだ。帝国重工製の艦艇はモジュール設計で作られており、修理だけでなく事前の準備さえ行っていれば改修も容易である。

そのような事実を知らないラペイレル中将は信じがたい速度で戦艦を竣工させていく帝国重工に恐怖心すら感じていた。建造が短いだけでなく、何しろ帝国重工の技術によって作られた日本艦の速度は艦種を問わず信じがたいほどに速くて高火力なのだ。数々の海戦から列強軍の艦艇との速度差は倍近くあることが判明している。

つまり、普通の方法では日本艦からは逃げられない。

もちろんラペイレル中将は自軍の不利について判っていたものも、戦わずして逃げるという選択肢は持ち合わせていない。確かに散会して逃走を計れば何隻かは確実に生き残るだろう。しかし、その代償として国際社会に於いての国威がこれほどに無いまでに下落してしまうに違いなかった。そして新聞社にて熱を増した世論というのは簡単には収まらない。勇者の如く戦い、何かしらの結果を残さねば、待っている将来は国内不満を逸らせる為の生贄か、それに近い待遇だと即座に理解していた。

あまりの逆境にラペイレル中将は内心で苦笑する。
しかし絶望はしない。
彼は闘志を失わないばかりか、不安に駆られる部下を鼓舞し始める。

「あれらの葛城級は艦尾の作りからして新造艦であろう。
 新造艦ならば錬度もそれほど高くは無い。
 それに艦特有の癖も把握し切れていないだろう
 その点を突けば勝機はまだ有る! 各員の奮闘努力に期待する」

ラペイレル中将は必ず生き残って栄光を掴み取るべく、
決意を新たに命令を下していく。

「目標、全リベルテ級は敵先頭艦、残る戦艦と装甲巡洋艦は2番艦を狙え!
 全艦射撃用意!」

「了解!」

砲術参謀が応じ、砲撃に必要なプロセスを進めていった。ラペイレル中将は火力を集中させ、佐世保湾海戦と同じ状況を作り出そうとしていた。命令により12基の305o連装砲が日本艦隊に向けて旋回を始め、それぞれの砲身が仰角を上げる。フランス艦隊は全主砲を日本艦隊に向けられるように、進路を反航戦になるように調整していった。

日本艦隊は4隻の葛城級のみで一直線にてフランス艦隊の斜め正面から突っ込むような形で突き進んでいた。艦首がスムーズに波を切り裂き、安定している航行から葛城級の凌波性の高さが伺える。

フランス艦隊は旗艦リベルテを先頭に「デモクラティ」「ジュスティス」「ヴェリテ」 「シャルルマーニュ」「サン・ルイ」が単縦陣にて付き従っている。5隻の装甲巡洋艦も単縦陣を組んで戦艦隊と併進していた。

不思議な事に日本艦隊から一切の攻撃が無い。
不審に思ったラペイレル中将は副官に尋ねる。

「おかしい。
 葛城級ならば既に有効射程内にも関わらず砲撃が全く無い」

「司令官が先ほど仰った、新鋭艦特有の練度不足が原因ではないでしょうか?
 砲戦は距離が延びるほど高い練度が要求されます」

「……だとすれば、互角以上の勝負も不可能ではないな」

ラペイレル中将の言葉によって昼戦艦橋に居た士官たちの表情に希望の光が灯る。やがてフランス艦隊が日本艦隊を主砲の射程内に捉えた。

「各砲塔、砲撃戦準備完了!
 敵先頭艦との距離、およそ17500、有効射程内です」

「日本艦隊も我々と同じ反航戦狙いか……ならばやり様がある。
 全艦、先頭艦との距離が17000になったら砲撃を開始せよ!」

リベルテ級の本来の射程は12000メートルであったが、佐世保湾海戦の戦訓により近代化改装が施され、最大仰角が15度から23度に向上し、5000メートルもの射程が伸びていたのだ。日本艦隊との距離が17000になると、まず旗艦であるリベルテが8門の主砲を放ち、続くように隷下の戦艦が主砲の砲門を開いた。装甲巡洋艦も同じように続く。

フランス艦隊は日本艦隊に対して初弾を放つも、
未だに日本艦隊からは一切の反撃が無い。

フランス艦隊から放たれた主砲弾は先頭の葛城級に迫る。しかし、この距離では命中弾に至ることはなく、砲弾は大きくそれて着弾していった。同航戦ならともかく、相対速度によって速度が増す反航戦では主砲命中率は大きく下がるのだ。日本艦隊が反撃を行わないまま 60秒が経過する。双方の速度は最大戦速であり、相対速度が53.9ノットに達していた。1秒間に27.7メートルも距離が縮まる速さと言えば判りやすいだろう。

双方の先頭艦までの距離が15750メートルになる頃にフランス艦隊は第二撃を放つ。フランス艦隊の第二撃は先ほどよりも集弾率が向上しており、先ほどよりも水柱が日本艦隊に近い場所で生じていた。




フランス艦隊からの砲撃を受ける日本艦隊の陣容は「筑波」「伊吹」「生駒」「鞍馬」の4隻からなる。筑波はカリブ海近辺の掃討を終えると大西洋に展開する本隊と合流していた。カリブ海には公爵領から乗鞍が応援に駆けつけており、フランス当局に対する欺瞞工作は完璧である。

それにサン・バルテルミー島に停泊している葛城に乗艦する上村中将の存在が条約側の目を引き付けていた。司令官が動かなければ大作戦は無いという先入観を突いていると言えよう。


このフランス艦隊と対峙している日本艦隊の旗艦はカリブ海で暴れまわった筑波である。艦の指揮はカエデ中佐が執り行っていたが司令官は別に居た。この筑波には艦隊司令として本国から4式飛行船「銀河」にて一人の女性士官が着任している。 その女性士官とは、帝国学院の学長を務めていた二条カオリであった。フランスの和平拒絶の態度に立腹した彼女は妹のレイカ、カナの二人に学院を任せると学長を休職して、古巣である国防軍へと復帰していたのだ。フランス艦隊にとって不幸だったのが、このカオリ大佐が艦隊を率いていた事であろう。

通常時のカオリは愛情深く、リリシアと同じように男性を魅了する整った表情と、腰まで伸びた長い髪の毛が魅力的な女性だった。普段は気さくで明るく、異性同性問わずに慕われている。また開放派でもありアナウンサーをも勤めており、その彼女の写真は人気が高い。

しかし、今の大佐の階級章を付けた軍服を纏う彼女の雰囲気は熟練した軍人そのものだった。しかもフランス艦隊にとって不幸な事に軍務に就いている時の彼女の行動は敵に対しては極めて苛烈なのだ。

その度合いはカリブ海で無慈悲に暴れまわったカエデ中佐が霞むぐらいに……。

なにしろカオリはフランスが和平を断ったその当日には、フランス共和国の中央銀行であるパリ1区(行政区)にあるフランス銀行を精密爆撃によって破壊するという過激な懲罰作戦の計画書を高野に提出していた位である その内容は深夜のうちに4式飛行船「銀河」によって隕石に偽装した無線誘導式10トン級大型爆弾を成層圏から投下し、フランス・フランの価値を支えていた金塊と多量のフラン・ジェルミナル金貨を通貨価値と共に吹き飛ばす計画であった。流石の高野もあまりの苛烈さに引いている。現代風に言うならばドン引きだった。 ともあれ、深夜の行政区だけに人が少なく、生じる人的被害が最小限に抑えられているのがカオリの優しさであろう。

また、カオリによって提出された懲罰作戦の中にはフランス本土内陸部の軍事施設に対する殲滅戦を前提とした特殊作戦群による夜間強襲計画もあったのだ。

彼女は過去に特殊作戦群に所属していたが、準高度AIは如何なる軍務にも適応できる幅広い能力があり、4隻程度の艦隊ならば問題なく運用できる。軍事システムにおいて重要なのは汎用性だという良き証明であろう。

ともあれ、このような事情により国防軍最恐であるカオリが軍に復帰し、
フランス戦線に参加していたのだ。

戦闘指揮所(CIC)に凛とした表情で立っていたカオリが冷たい表情にて
フランス艦隊の戦術に対して評価をしていた。

「悪くない戦術行動だが、もはやこの海戦に於ける決定権は我々にある。
 祈れ。悔いのないように祈れ。
 これからお前たちに出来ることはそれだけだ」

淡々と言うと、一呼吸の間を置いてカオリは言葉を続ける。

「十分にフランス艦隊を引きつけたな。
 よし始めよう。
 命令、艦隊針路、取舵25度変針せよ」

カオリが攻撃を控えていたのは練度不足ではなく、フランス艦隊を絶対に取り逃さないように引きつけるのが目的だったのだ。キルゾーンに敵を誘い込むというのが戦術的な目的であり、全艦を撃沈するのが戦略目標である。

カオリの命令によって筑波が左に弧を描くようにして進路を変更した。「伊吹」「生駒」「鞍馬」も見事な単縦陣を維持したまま続く。艦隊の動きと連動するように36門の155o砲が敵艦隊の針路へと向けられる。日本艦隊の急激な針路変更でフランス艦隊が行っていた射撃計算は、その多くがやり直しとなった。

「取舵30度変針! 10秒後、取舵15度に変針し、やつらの射線を狂わせろ!
 全艦攻撃目標は敵先頭艦、砲撃パターンは連続射撃とする」

「アイ、目標、敵先頭艦、測定完了…
 砲戦準備オールクリア。
 いつでも行ける!」

艦長のカエデ中佐が応じた。
カオリを尊敬するカエデは張り切っている。

そして、この海戦に参加している国防軍の葛城級は佐世保湾海戦で使用された帝国軍のタイプと違って高度な電子兵装を装備しており、複雑な計算も容易に出来るのだ。もっとも初弾の弾着を確認しなければならない手間は流石に省けなかったが、こればかりは流石に省けない。また、計算速度の速さも日本海海戦と同じような説明になるだろう。カオリも帝国学院を率いる傍ら、著名な科学者としての知名度を有しており十分な説得力をもっている。

カエデ中佐の言葉にカオリが頷き、口を開く。

「全艦、砲撃開始!
 我らの譲歩を拒む輩を三途の川へと叩き込むのだ」

「発射!」

艦長であるカエデ中佐が砲撃を始めるべく端末のキーを押した。

筑波の砲撃に続くように「伊吹」「生駒」「鞍馬」から特殊レニウム外郭徹甲弾が順次に撃ち出されていく。仰角15度という浅い角度から撃ち出された砲弾は、放物線を描きながら飛翔し、やや時間差を置いて着弾していく。4隻の目標は先頭を進む旗艦リベルテである。同時着弾であっても十分な捕捉及び識別能力はあったが、英国艦の目もあり流石に行っていない。本来使用予定だった、誘導砲弾も見送られていたが、それでもシステム面からすればかなりの凶悪性を秘めている。

日本艦隊が弾着修正を終えてから、
フランス艦隊にとっての悪夢が始まった。

この155o砲は即応弾システムと電子冷却装置のお陰で、1門につき最大で毎分15発の砲撃が可能であり、葛城級はそのような砲を3連装にした主砲を3基搭載している。すなわち、60秒もの間で、4隻の葛城級から540発もの155o砲弾が打ち出されるのだ。その命中率が2.5パーセントだったとしても、敵艦には10発以上の砲撃が撃ち込まれる事になる。通常砲弾ならまだしも、特殊レニウム外郭徹甲弾ともなれば唯ではすまない。

もっとも、このような最大速度での発射は、標的を完全に捕捉していなければ無駄弾が出てしまうことから、対地砲撃のような制圧射撃灘ともかく、対艦や対空に於いては高度な電子兵装を保有している国防軍でしか最大速度にて射撃は出来なかった。

フランス艦隊にとって不運だったのが、相手が国防軍の艦隊であり、更にはその艦隊を準高度AIが指揮していたことであろう。日本艦隊からの最初の砲撃から55秒が経過した時点で8発の直撃弾を受けており、フランス艦隊の旗艦を務めていたリベルテは大火災に包まれている。艦全体が火災に包まれていようとも降伏プロセスを行わない以上、カオリにとって手加減する必要性は何処にも無かった。

満身創痍のリベルテに対して9発目の砲撃が直撃する。それから10秒ほど経過すると目も眩むような閃光と、猛火と共に毒々しい黒煙を噴出しながら立ち昇る。その形はキノコ雲を形成していた。弾薬庫付近に対する直撃で、熱励起によって生じた熱が弾薬庫に伝わった事による爆沈である。リベルテは名の通り、爆沈によりこの世の束縛から自由(リベルテ)となった。

大火災に加えて爆沈という悪条件が重なり、戦艦リベルテに於ける生存者は居ない。

史実に於いてフランス海軍の近代化に尽力したド・ラペイレル中将は政治環境に振り回される事によって、近代化の心半ばで戦死することとなった。しかしフランス海軍にとっての受難は終わりではなく始まりに過ぎない。日本艦隊の砲撃は激しさを保ちつつ、無常にも2番艦デモクラティへと移っていったのだ。
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【あとがき】
ドイツが近距離砲戦に特化したヘルゴラント級戦艦を量産しそうな海戦になりそう(笑)

高野は史実と同じく軍拡競争に励むブラジルを始めとした南米各国に対して帝国重工ではなく横須賀海軍工廠にて建造した、列強水準をやや上回る戦艦を建造していく予定です。史実における筑波級巡洋戦艦か河内級戦艦のどちらかの拡大改良型になるでしょう。ブラジルの戦艦、ミナス・ジェライス級はイギリスではなく日本が作るかも?

これは日本帝国の兵器技術の向上と、列強の戦艦売買を邪魔するのが目的だったり(悪)


【Q & A :長期航海で艦の士気は大丈夫なの!?】

葛城級は史実の大和級戦艦よりも遥かに快適な事に加えて、4式飛行船「銀河」にて直接本土から嗜好品の持込や広報事業部による慰問などによって士気を保っているので長期航海が可能になっています。また体調不良の者が出れば飛行船にて交代要員を運び込む支援体制も大きいでしょう。

現代の艦艇のなかで長いものでは即応可能な作戦期間が半年、大型艦艇ともなれば更に伸びたりするケースがあります。


意見、ご感想を心よりお待ちしております。

(2010年10月31日)
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