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帝国戦記 第16話 『グレシャムの法則』


高野と"さゆり"は大鳳の艦内にある提督の居住区に設けられた執務室で話し合っていた。

幕張に建てた館ではなく、わざわざ艦内に居るのは、艦の外よりも大鳳艦内にいた方が大鳳の優れたメインフレームのシステムを最大限に生かせるからだ。それに防諜もあるし、人間性を重んじる二人は、軍務や緊急時で無い限り無線通信による会話は行わない。

これは、二人が持っている一種のこだわりとも言える。

3時になると"さゆり"は提督の居住区にある、厨房にて紅茶の準備に向う。これは、二人で話す際には必ず行うと言っても過言ではない習慣である。少なくとも、幕張の地にいる日本国防軍の兵士達の間では知らない者は居ないであろう。

「紅茶に、合うお菓子が無いですね…う〜ん、どうしましょうか」

日本国防軍第1種礼装の凛々しい制服姿の"さゆり"が少しばかり厨房にて悩んでいると、"はるな"から暗号通信が入ってきた。

『お姉ちゃん!』

『あら、"はるな"どうしたの?』

"はるな"は"さゆり"を姉のように慕っており、プライベートではこの様に接している。

『ねっ、今から高野さんとティータイムなの?』

『そうですよ?』

"さゆり"の反応に安心すると"はるな"は会話を続ける。

『だと思った! 私の作ったベークドチーズケーキでよければ、そこの冷蔵庫に入っているので、よかったら高野さんと一緒に食べてね』

"はるな"が"さゆり"のスケジュールを知っているのは特別な事ではない。

AIネットワーク上にはマルチスケジューラがあり、彼女達は仕事始めに予定をアップロードしている。機密情報に指定していない限り、電子知性ならば無条件で閲覧が可能だった。

『ありがとう!』

"はるな"は実の姉のように慕っている"さゆり"の為に腕によりをかけてケーキを焼いて準備をしていたのだ。その想いはイリナと同じで、"さゆり"と高野との関係が進展する事を願っていた。

『用件はそれだけ。頑張ってね、お姉ちゃん♪』

『うん…頑張るから』

"さゆり"は顔を真っ赤にして返事をする。 前々から国防軍兵士と彼女達(準高度AI)との間で関係を持つ者は少なからずは居たが、この世界に来てからは、前よりも増える傾向を見せている。

このような周囲の環境の好転もあって、"さゆり"の期待は少しずつだが膨らんできていた。

彼女達の体は生体素子を使用しており、人と見分けの付かない日本製擬体である。思想の規範は用意されても心までは作られていない。高度AIの"さゆり"だけでなく、準高度AIのイリナや"はるな"達も大きく成長して、初期と比べれば別人と言えるような人格になっていた。

通信を終えた"さゆり"は、高ぶる心を落ち着かせる為に、胸の辺りに手を当ててから深呼吸を2.3回する。

「よし…」

気を取り戻してから冷蔵庫を開けると、"はるな"の言った通りに、視線の先にはガラス密閉型のケーキスタンドに載っている美味しそうなケーキがあった。

絶妙な焦げ目と見るからに美味しそうな色合いをしたベークドチーズケーキである。

アッサムティーを用意してから、食器棚から皿を取り出して、そっとケーキを盛る。それを銀のオードブルトレイの上に乗せると"さゆり"は"はるな"に感謝しつつ、高野が居る執務室へと嬉しそうに戻って行った。









執務室に戻ると、"さゆり"はてきぱきと高野と一緒に楽しむ為のティータイムの準備を上機嫌で整えて行く。高野とのティータイムは、彼女の大好きな時間なのだ。自然と力も入る。

「準備が出来ました!」

「ありがとう」

高野は何時も気を利かせてくれる"さゆり"に礼を言う。

"さゆり"は高野に笑顔で会釈すると、上品に高野の正面の席に着く。そして、高野に対して「お先に」と言うと、銀のオードブルトレイに載っているミルク容器を手に取って、少量のミルクをスプーンにて自分のカップへと入れる。用意した者が先に入れるのがマナーであった。

スプーンを使って丁寧にかき回し終えると、そっと音を立てないようにしてスプーンをティーカップから向こう側のソーサーの上に置く。

そして、"さゆり"は深呼吸をして次の行動に出る決意をする。

「たっ、高野さん、す…スプーン使います?」

"さゆり"は新しいスプーンを取り出して高野に差し出した。

あまり知られていないが、地域においてはコーヒーや紅茶でスプーンを異性に貸すのは、今夜はあなたに体を任せます、という意味がある。

「そうだね、使わせてもらうよ」

高野の言葉を理解した"さゆり"の表情がパァと輝いて、心の底から嬉しそうなものへと変わっていく。

「はいっ!」

高野は輝かんばかりの上機嫌な"さゆり"に対して、見守るような優しい笑顔を浮かべて応じた。実のところ、高野はスプーンを貸し与える意味は知っていたが、高野が有する高度な朴念仁フィルターによって、信頼しているという意味に書き換えられていた…

また、"さゆり"にしても、高野が誤解釈していても実質的には問題は無い。

人と同じ感覚や心を有する"さゆり"は、愛する人との性行為には憧れはあったが、それに対しては、まだ恥かしさの方が上回っている。

それに、"さゆり"は高野の朴念仁ぶりは知っているので 今回のスプーンに関しても少し違う解釈をしている事を見抜いていたが、それでも愛情すら感じさせる好意的な反応を貰っており、今はそれだけでも十分に満足であった。

今のところは、高野との関係は今までのように、焦らずゆっくりと培っていけば良いと"さゆり"は考えていたのだ。









美味しい紅茶とケーキで一息ついた二人は話し合いを再開していた。

"さゆり"は紅茶を飲みながら、最新情報の分析の内容を口にする。
二人だけの非公式な話し合いなので、緊張感は無く和やかな雰囲気そのものであった。

「公共事業のお陰で失業率はきわめて低い数値を示しています」

「失業率の低下は社会安定に不可欠ですので、それを聞いて安心しました」

今回の公共事業は3つの段階に分かれていた。

津波や地震などの自然災害による被害を軽減する工事が最初の段階である。帝国重工関連施設以外では、帝国重工は関与しておらず、純粋に国内労働力によって危険箇所から工事が進められており、失業者の減少に役立っていた。また、明治三陸地震の記憶が風化する前に起こった1896年8月31日の陸羽地震もこの公共事業の後押しになっている。

第二段階は農業水路と農業用ダムの建設であり、三つ目は国道整備に関する工事であった。

段階に分けて工事を行ったのは資金や労働力不足の問題では無く、安定雇用を実現するために事業量を調整している。労働力以上の事業を発注すれば内需拡大で確かに景気は向上するが、公共事業終了時の反動が問題であり、安易に好景気を得るよりも不景気を避けようと、高野や真田は常に注意を払っているのだ。

また、日本政府が状況を把握するよりも早く、帝国重工は無人偵察機による戦略偵察によって集めた情報が得られるのも大きい。熱源移動の頻度、農耕地の状態、大気成分、水流情報と主に高高度からでも容易に調べられる。

このように、各方面の情報を確りと抑えている事が、高野の行う民間対策や真田の開発計画を効果的なものにしていたのだ。

高野はもっとも気になる層の状況を確認すべく、"さゆり"に尋ねた。

「現在の農家の状況はどうか?」

「減税や寒冷対策により農家の平均収入ですが、
 史実と比べて若干ですが上昇しています」

「民間の方は…なんとか一息がつけたか」

「はい、確実に歴史は変わりつつあります」

「確かに…皆の苦労が報われるな」

「そうですね♪」

"さゆり"は嬉しそうな響きを隠さない口調で言った。日本を愛する彼女は、史実に比べて好転しつつある日本に嬉しくて堪まらないのだ。

それもその筈、派閥や利権で内閣を混乱させる売国奴のような輩は華族であっても、次々と公職を追われていた。第2次伊藤内閣が終わった後、組まれた内閣は若干ながら藩閥の面影はあったが、政治環境の変化もあって自らの政治生命を断とうと願わない限り、藩閥政治を行おうとする者は居ない。

満足した高野は話題を変える。

「去年の末から始めたバーター貿易の方はどうかな?」

「大鳳メインフレームでは世界恐慌までは、
 問題なく継続が出来ると計算結果が出ています」

"さゆり"は高野の質問に瞬時に答える。複雑なパラメーターが絡む経済であっても、"さゆり"は51式軍用複合演算機(量子・DNA複合コンピュータ)の支援を受ければ容易い。

バーター貿易とは物々交換による貿易であり、帝国重工はダミー会社を介して清国で鉄と鉄鉱石と交換を開始していた。面白い事に1トンの鉄が有する価値は国によって大きく変わる。清国では1トンの鉄が最低でも7トン以上の鉄鉱石と交換が出来る。

つまり、100トンの鉄が700〜2500トンの鉄鉱石へと化けていく。 例えるならば700トンの鉄鉱石を製鉄すれば、437.5トンの鉄になるのだ。

一定量を超えると半分は売却し、その利益で欧米から直接に各種資源と穀物を購入すれば、列強を儲けさせつつ帝国重工は、より多くの必要とする資源を入手する事が出来た。残る半分の資源は極秘裏に幕張製鉄所へと持ち込まれる。

製鉄のコストに関しては問題ない。

幕張製鉄所にある第5世代型電気炉は優れたネットワーク制御下にある産業用ロボットを初めとしたファクトリーオートメーションのお陰で、唯の鉄ならば殆ど材料費しか掛からない。つまり、仲介料を差し引いても最初に投資した以上の資源が確実に入ってくる。

これは、グレシャムの法則を流用した策であった。

グレシャムの法則とは、貨幣の間の実質価値に乖離が生じた場合、より実質価値の高い貨幣が駆逐され、より実質価値の低い貨幣が流通するという法則である。

つまり、人件費が多く掛かった鉄と、原価同然で作られた鉄、同等の質であっても生産者からすれば価値は違う。しかし市場では同じ価値である。高野は貨幣では無かったが、物の価値と貨幣価値を置き換えて、策に利用していたのだ。

この貿易方法の優れていた点は、列強からすれば対日貿易黒字は増えており、日本に高値で売りつけているように見えて、実際は買い叩かれているという詐欺に近い仕組みであった。また、幕張製鉄所の正確な製鉄量を把握させない効果も有る。

更に、知らないうちに欧米は地獄の様な価格競争を強いられて行くのだ。 欧米が大きな利益を上げても、額以上の資源が買い取られていく。

更に悪質なのは、資源経済循環システムの仕組みに気が付いても、簡単には止められない。

なぜなら、資源売買を止めると資源の7〜20倍の規模で動いている膨大な金の流れも止まる。それは、未曾有の大恐慌 の引き金になる事を意味しており、資本家達は黙ってはいないだろう。そして、列強からの袋叩きを避けるために、このシステムが動く限りイギリス帝国とドイツ帝国も得をするという抜け目の無さもある。

そして、いつか必ず起こる世界恐慌に備えて帝国重工は正貨(金)の備蓄を始めていた。

最終的に大損するのは、資源を買い叩かれ続ける清国ではなく、
金融システムを介して強欲に儲けようとする欧米の投資家達であろう。

「世界恐慌が史実通りに起こるならば1929年10月…十分ですね…
 外貨は必要分だけ残して、後は領土購入と資源購入に使って行きましょう」

「はい、私達にとって…いえ日本にとっては、外貨は資源交換以上の価値はありません。むしろ、外貨が資源交換よりも高い価値を持った時、日本国は欧米の経済植民地へと突き進んでいると言っても過言では有りません」

「間違いは無いですね」

高野が"さゆり"の言葉に頷く。

今の日本は帝国重工を介して得られた資源で、無理の無い発展が得られるようになっており、買い叩かれる海外市場に進出する意味が無い。

また、日本の工業化に関しては、世界最高品質の帝国重工製の工作機械を横須賀海軍工廠と東京砲兵工廠の一角に設けられた新設工場を中心に設置が進んでいた。

帝国重工は1896年〜1898年に出来るブロックゲージ型、研削盤、ブローチ盤の特許を1896年の間に獲得して、工作分野でも進出を開始していた。これらの特許を抑えたことによって、他勢力が効率よくネジとナットを生産するならば、帝国重工に使用料を払わなければならない。

しかし、帝国重工が突き進んでも、日本は追いつける状態ではなかった。

例え100台の汎用工作機械と1000台の単機能工作機械を各財閥に一括提供しても、機械を扱える熟練工の数も少なく、日本国内に工業製品を買える国民は多くは無い。国内内需の規模は年々膨らんでいたが、あくまでも食料品や建築業に留まっていたからだ。

例え、食糧増産に重要な役割を果たすトラクターを現段階で販売しても、小作人は直ぐには買う事は出来ないであろう。第一に機械を扱えないし、修理する人も絶対的に足りていない。故に日本国民の教育水準と富の量に合わせて、段階的に機械化を上げて行く方針であった。

もちろん、帝国重工は日本の熟練工を増やすための手は打っている。

史実と同じように、民間の三菱財閥はイギリス側の妨害を受けつつ、三菱造船所にて不完全な技術でリベット打ちの6100トン級の欧州航路貨客船「常陸丸」の建造が行われている。不良品に近い船になるのは判っていたが、技術修練の意味で高野はあえて傍観していた。

ただし、技術開発は民間に丸投げするのでは無い。

軍務省所管の横須賀海軍工廠(横須賀造船所)では拡張工事の後に、1896年から電気溶接によって10,000トン級に達する商用利用も考えた航洋型の一等輸送艦の建造が行われていた。装甲防御の無い商船は建造しやすく技術修練にはもってこいだろう。

この輸送艦の機関は石炭機関であったが、帝国重工製の圧縮燃料ペレットを使うことによって、良好な性能を維持できると期待されていたが、それに満足せずに機関部の換装工事を行いやすい構造になっている。

また、横須賀海軍工廠では帝国重工の支援の下でタービン機関の研究が始まっていた。

1896年にフランスにて作られる筈だった、圧力複式衝動タービンを帝国重工はいち早く完成させ、1895年末には抑えている。日本からは特許料を徴収しても別の形で還元していくので、他国よりも有利な状況で日本で研究開発が進められるであろう。

ただし、機関部製造は小銃の作製と違って、理屈は理解出来ても作れるまでには程遠い道のりが待っている。工業精度の向上、品質安定、鋳金技術の上昇、生産設備の整備、熟練工の育成…やらなければならない事は多岐に及んでいた。

造船設備の増強と熟練工育成も兼ねて、舞鶴海軍工廠、佐世保海軍工廠の建設も始められていた。この二つの造船所も完成すれば、当面は横須賀海軍工廠と同じように商船利用も可能な輸送艦の建造に専念する事になるだろう。

帝国重工は少なくとも1925年までには、列強と同等レベルの科学技術を日本に身に付けさせる予定を立てている。宇宙進出を目標に掲げてはいたが、覚束ない国力や技術では目指せるものではなかった。だからこそ、高野達はこのように手間を掛けてまで国力強化に取り掛かっていたのだ。




夕方を迎えて、二人の話し合いは終わりを迎え、夕食を食べるために幕張の館に向っていた。艦の外に出ると、綺麗な夕焼けが見える。

「ゆっくりとですが、確実に成果が出ており、前に進んでいますね」

"さゆり"が言った。

「ええ、政治改革、農村改革が軌道に乗れば食料自給率は好転するでしょう」

「高野さん、このまま………
 順調に宇宙に行けると良いですね」

「確かに…
 しかし、私達の力が強まれば強まるほど、
 列強の干渉が大きくなっていくでしょう」

「はい…本当の力を隠しつつ、
 日本に大きな負担を掛けないようにして
 欧米の妨害を払っていくのは大変ですね」

"さゆり"が少し悲しそうな声で言う。

それに日本国防軍がこの時代に飛ばされてきた時の艦艇は戦略的な理由から使えなかった。

大鳳の戦略分析の計算などでメインフレーム(51式軍用複合演算機)を使用するので、おいそれと戦場に出すことが出来ない。それに大鳳自信の攻撃力は限定されており、攻撃となると艦載機になるだろう。そして、艦載機による攻撃は強烈な大艦巨砲主義を列強に植えつける戦略目的に反するので使えない。

そして明石は工廠設備と核融合発電の電力元であり幕張に必要不可欠であった。残る巡洋艦や護衛艦だけでは決定打に欠ける。それに貴重な工廠艦の生産設備の多くを戦争に割く事など、日本の発展を遅らせるだけであった。

もっとも全艦を動かせたとしても、中途半端に強い力を振るうのは悪害でしかない。

大きな力による安易な武力行使は、微妙なバランスの上で成り立っている軍事バランスを容易に壊すだけに過ぎなかった。軍事バランスの崩壊は秩序の崩壊に繋がって植民地の治安悪化として出てくるだろう。 史実に於けるアメリカ軍の行動が良い例であった。

植民地の情勢悪化は資源産出量の減少を意味する。


消費量が変わらず産出量が減少するのは資源高騰と同意語であり、それは巡り巡って日本の宇宙開発計画の遅れにも繋がるのだ。宇宙進出を最大の戦略目標に定めている日本は到底受け入れられない出来事であろう。

宇宙進出計画が無くても、現在の秩序を壊して日本が植民地を直接に統治するなど悪夢以外のなにものでもない。治安維持を行うだけで膨大な国力を消費してしまう。そして、輸送力も足りない。

例え、明治日本に植民地統治を行える国力と人的資源があったとしても、徐々に高まる独立運動によって最終的には植民地支配は破綻していく。そのような事を行うのは無駄の極みであろう。 列強は苛烈な取立てで維持しているに過ぎない。

乏しい国力で侵略戦争を考えるなど、犯罪に等しい妄想とも言える。

案を思いついた"さゆり"は歩みを止めて、高野にしっかりと視線を向けた。
"さゆり"の行動に気が付いた高野も同じように歩くのを止めると、何事かと問いかける。

「"さゆり"、どうかしましたか?」

「高野さん…1900年以降は海外から得た利益の一部は、欧米に対して直接的に国力増加に繋がらない公園などの整備で還元してはどうでしょうか?」

「理由は?」

「1%でも良いので、良い印象を持ってもらうためです」

「確かに……万が一を考えると有効ですね」

「でしょ♪」

"さゆり"は思いついた案を褒めて貰うと、少しだけ顔を突き出して、ご褒美を欲しそうな表情で高野を見つめる。得心のいった高野はそっと近寄ると、"さゆり"の頭を優しく撫でた。 昔から二人だけの時は、このように"さゆり"を褒めていたのだ。

優しく撫でられる"さゆり"は、夕焼けの光に照らされつつ、気持ちよさそうに目を細める。夕日の光で判りづらかったが、"さゆり"の頬っぺたは紅赤に染まっている。

妻ではなく義娘のような立場であっても、"さゆり"は確かな幸せを感じていた。
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【あとがき】

現在のところは、一人勝ちに見える日本と帝国重工ですが…
国力差が有りすぎて、まだまだ足元にも及びません。目指せ1900年にはイタリア並!(涙)

【Q & A :現在の内閣は?】

総理大臣:板垣退助

内務大臣:榎本武揚

大蔵大臣:渡邊國武

外務大臣:西園寺公望

農商務大臣:渋沢栄一

逓信大臣:野村靖

司法大臣:伊藤博文

軍務大臣:西郷従道

山縣は政治方針転換によって反藩閥政治を掲げていた西園寺の協力を得ました。 また、山縣は帝国重工から得た知識を例に、一党制は独裁を生み、多党制は無用な混乱を生むと粘り強く説明して行き、藩閥政治撲滅の引き換えとして、政党政治を行わないように働きかけています。

山縣は藩閥政治派を抑える事に専念するために、自らの意思で議員として行動中。

【Q & A :現在の日本の工業規格は?】

高野の提唱によって、日本工業規格であるJISの制定に向けて動き出しています。 1897年中には制定される見通しで、これは、1901年に制定される英国貿易産業省のBS(英国規格)よりも早い制定になります。


意見、ご感想お待ちしております。

(2009年05月28日)
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