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帝国戦記 第13話 『広報事業部』


帝国重工は印刷用カラーインクの特許を押さえるだけでなく、1861年にマックスウエルが考案したカラー写真システムだけでなく、1891年にリップマンが試作した1枚のプレートによるカラー写真技術を超えた、3層塗布式のカラーフィルムの販売を始めて特許すらも獲得していた。

欧米の度肝を抜く発明である。

これらの高い技術に支えられた広報事業部が出版する書物はイラストや写真が多く庶民からの人気を獲得していた。

日本国内向け専用の総天然色という信じられないようなハイカラな科学雑誌「先進科学」には、高名な高野さゆり博士のコラムや絵図を用いて説明する科学の基礎理論などが掲載されており、子供達だけでなく大人からも人気がある。

科学技術の面白さを日本国民に伝えるべく、創刊時から全国の小学校、中学校だけでなく、帝国大学にすら無料で配布していた。

その人気雑誌の1897年1月号にて高野総帥は「自然保護は国防の一環」という一筆を載せる。

更にニホンオオカミは自然の調停者であり、古来から食害を引き起こす野生動物を食べて、国土の自然バランスを守ってきたと、絵図を交えて食物連鎖を判りやすく説明するだけでなく、天才美人科学者として名高い"さゆり"に加えて、イリナ等の美人や美少女ばかりの準高度AIたちが笑顔でニホンオオカミと一緒に写る写真すらも掲載しており、大きな反響を呼んだ。

特に効果があったのは、美しい彼女達の写真であろう。
優しい笑みを浮かべつつ、子狼をあやしているシーン。気持よさそうに眠る狼のシーン。 狼に対して愛らしさが沸いてくるように色々と考えられていた。

もちろん、雑誌の中には多くの層からの支持を得るために、狼とのツーショット以外の写真もある。海を疾走するデザインの良い技術試験艦の甲板に立つ女士官なども…

狼を邪悪とみなすキリスト教の浸透によって絶滅の危機にあったニホンオオカミの政治的立場が女性達の活躍で一変した。古来と同じく、自然を守る存在として神聖視されるようになる。中には女性達に嫌われたくない心理もあったが、結果は同じなのだ。また、帝国重工はニホンオオカミの保護計画の順調な経緯から、エゾオオカミの保護にも乗り出している。

情報による大衆操作をも担当する広報事業部の初仕事は世間一般における自然に関する関心を高める事だった。

このように自然保護の意識が高まる中、1891年1月に田中正造が国会にて質問を行った足尾銅山の鉱毒に関する問題が1897年の1月の国会にて再び取り沙汰される事になる。 これが環境問題への関心を高める栃木県上都賀郡足尾町の足尾銅山で起こった足尾鉱毒事件の幕開けであった。

貴族院に所属する山縣系派閥の茶話会は帝国議会にて足尾鉱毒事件の追及を開始。

財閥との癒着が本格化する前の対処であり、多少の障害は帝国重工の資本力で影からの支援によって撥ね退けて行った。調査妨害などを行った議員や華族は背後の勢力を知って真っ青になるも既に手遅れであり、議員や華族の特権を剥奪され罪人として裁かれていく。

政府調査団の調査内容は帝国重工の広報事業部が発行する書籍だけでなく、各社の新聞一面に掲載され、圧倒的ともいえる世論支持によって、法整備が進められていく。

その結果が、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁や汚染、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、及び悪臭によって、人の健康又は生活環境や自然生態系に係る被害が生ずる事を禁止する内容の、史実では1993年に制定された環境保護法が、より厳しさを増して1897年の4月に公布されたのだ。

時を同じくして伝染病予防法と台湾銀行法が公布。

銅は日本の主要輸出品目の一つであったが、帝国重工から日本帝国へもたらす富と比べれば小さなものになっており、このような法案の早期可決が可能になっていた。環境保護法に抵触した鉱山は財閥が不要な抵抗をしなければ、国家開発委員会が財閥が次の事業を行えるような額で買い取って、安易な開発が行えないように国の直轄地にしていく。抵抗した場合は全てを失う末路しかない。

厳しい環境保護法によって足尾銅山を始めとした鉱山が買い取られ閉鎖になっても失業者は増えなかった。国内には膨大な公共事業が存在しており、労働力は常に不足気味だったからだ。

また、労働者の待遇が良い帝国重工の国土開発事業部の存在もあって、各財閥も労働力確保の為に渋々ながらも、労働力維持の為に労働環境の改善に着手する。

悲惨な待遇の代名詞であった紡績工場の労働者待遇の状況に変化が見られない場所は、帝国重工によって順次買収され、生命環境事業部の一環として再編していく。

買収した紡績工場で働いていた女工達の中で帝国重工での就職を希望する者は、幕張に作られた帝国重工関連の教育施設へと送り込んで、施設操作に必要な知識や技能を1年の時間を掛けて、バイオ燃料や化学繊維の精製に従事できるように教育して行くのだ。現段階で5件の紡績工場が買収され、368人の女工が帝国重工の社員として再雇用されている。

満足な教育を受けていない者が多かったが、睡眠学習装置によって問題にはならなかった。

教育中にも関わらず給料が支払われるという信じられない待遇によって、教育担当者である担当官の厳しさは元・女工達には気にもならない。また、教育内容には電気調理器等の使い方も含まれており、帝国重工の生活水準に慣れる為のカリキュラムも入っている。

それどころか、待遇の酷い紡績工場と比べれば天国ですらあった。

教育終了後に彼女達が働く職場は、人口が少ない船橋町から浦安村までの買収済みの土地に建設が始まっている。1869年に行われた東京新田の開墾事業によって、二和・三咲の集落が出来てはいたが他には何も無く、資金力豊かな帝国重工に掛かれば買収は容易であった。

もちろん、第一陣の教育で終わりでは無い。第一陣の教育が終わり次第に第二陣の人材を雇い入れて、次の教育が始められる計画なのだ。

今は災害用仮設住宅の改良型を彼女達の社宅として工場近辺に用意しているが、日露戦争を機に度肝を抜く施設を建築する計画だった。

国土開発事業部が計画しているのは、社宅、居住区、商業施設を兼ねた複合施設である。地下8階、地上65階の窓ガラス(強化複層ポリマーガラス)と一体となった外壁であるガラスカーテンウォールの超高層ビルであり、完成の暁には非常に美しい外観を有するであろう。

生分解性繊維材の構築材と、ANC(アモルファス・ナノ結晶軟磁性セラミックス複合材料)の骨格によって改正メルカリ震度階級の最高位であるレベル12に耐えうる設計となっている。

これは、社宅を兼ねた商業施設建設とも言えた。

高層住宅から、勤務する新設工場までの交通を考えて、燃料電池で動くバスの設計も始まっている。これらの事から交通に不便は無く、周囲の環境は各種交通機関に加えて公園や公共施設などの整備も計画されており、一等地になるのは時間の間違いないだろう。

また、帝国重工がこのように開発を進めている沿岸地区には、統合電力システム(ISP)が設置され、これが生み出す潤沢な電力が将来の発展を保障している。電力は産業の基本であり、その発電量が全てを左右していくのだ。

そして、統合電力システムの存在は日本における農業用ダムを除く、
ダム建設事業の終焉を意味していた。

膨大な電力が必要だが、塩水を淡水に変える浄水装置を統合電力システムとセットで沿岸部に建設していく事によって、沿岸部から内陸部に向けて電力と一緒にパイプラインにて運び込む計画なのだ。つまり、自然を破壊し、膨大な資材と資金を投入してまでダムを作る意味は無い。

これらの開発計画は真田が練り上げていた。

雇用と社員確保を兼ねつつ、帝国重工関連施設を中心に湾岸都市を効率的に発展させて第五世代型中枢港湾へと育てていく計画である。そして、真田本人しか知らないが、この計画は幼少の頃から慣れ親しんで来た都市開発ゲームを元に作り上げていたのだ…


真田には不安は無い。
何しろ、艦内システムにインストール済みだった都市開発ゲーム(最新版)の最大難易度にて挑戦し、不眠不休で検証したのだから…


高野や"さゆり"が事実を知ったら驚きの余りに引っくり返りそうな事実であったが、幸いにも知られていない。また、真田の計画は彼の知識の高さもあって問題は無かった。

労働者が住む場所に資金を惜しみなく投入する帝国重工の姿勢に他勢力は無駄な事と呆れるばかりに違いない。しかし、極悪な生活環境から救われ、教育を与えられ、社員である限り快適な住居を保障された彼女達の全てが感謝の気持ちを持っており、その中の大多数は、高野や帝国重工に対する絶対的とも言える忠誠心すら持つようになる。これは帝国重工において、未来技術と並んで大きな財産へとなっていくのだ。

もちろん、今回の投資は一部であったが、貧民層の労働者救済だけが目的ではない。

今後の主要燃料に帝国重工は海外に依存しなくても良いバイオ燃料を考えており、今後拡大していく燃料事情に備えるための投資である。今後の拡大を考えれば、第3任務艦隊だけの人員や擬体では到底追いつかないのだ。

また、バイオ燃料に関しては、資源作物やそれに準じる触媒剤を分解した際に発生する、エタノール化出来ないリグニンというベンゼン環を持つ複雑な三次元構造の高分子のフェノール性化合物質が問題であった。

しかし、帝国重工が生産するのは、細菌利用による生化学的分解を行ってセルロース、ヘミセルロースから分解して、セルロソームの高機能化を行い、二酸化炭素や亜酸化窒素を抑制しつつ効率よく複合発酵、熱化学変換が行えるようにした第五世代型のバイオ燃料である。

余剰のリグニンは汚染土壌浄化のバイオレメディエーションとして再利用していく無駄の無さだ。

第五世代バイオ燃料はバイオマスリファイナリー技術(複合システム化)によって生分解プラスチック、化学材料、燃料電池としても流用可能なので、帝国重工は特に力を入れて行きたい部門であった。

低所得者層の環境改善は「労働問題」「公害問題」だけに留まらない。

今までは農産物の価格は不安定であったが、バイオ燃料備蓄に取り掛かっている帝国重工の買取によって、農作物価格は安定に向かっていた。

更に史実では新潟県農事試験場が1931年に作り上げる、寒冷地用の水稲である水稲農林1号と同等の物を冷害対策として無償で提供していく。

その様な背景もあって、農家の多くが帝国重工の支援の下で国家開発委員会の元で動く帝国重工関連企業との直接取引に切り替えて行くと、小作料と地租の差額を蓄えて、商工業や高利貸しを営んだ地主は、日本国内にて圧倒的な経済力を有する帝国重工を前にして、悪質な地主から順に衰退していった。

悪質性が無く健全な地主に対しては、帝国重工の国土開発事業部から魅力的な業務提携を持ちかけ、健全化を図りながら利益拡大が行えるように取り計らっていく。

悪質な地主達が状況の変化に気が付いた時には、外堀も内堀も完全に埋め立てられており、万策が尽きて非合法手段に訴えた者は、逆に現場と証拠を押さえられ犯罪として罰せられた。

同時に、地主から国会議員となって農村で大きな力を振るっていた者も、権力基盤を失って急速に力を失って失脚して行く。 日本の治安を脅かす要素となるはずだった「農村問題」「労働問題」「公害問題」はこうして改善へと向かっていくのだった。

順調な道のりを感じさせるように、日本帝国は財政歳入の右上がりである。

1897年の財政歳入は前年度の2億5850万円(史実 約1億8700万 軍事費率39.1%)を上回る3億250万(史実 約2億2640万 軍事費率48.8%)であり、軍事費は維持費のみの18%程度に留めて、前年度に引き続き国内投資と台湾、澎湖諸島に対する投資が活発に行われていく。

日清戦争の賠償として清国から割譲された台湾と澎湖諸島に関しては1895年5月に日本軍が進駐していた。 また、史実では1896年10月14日に乃木希典(のぎ まれすけ)が第3代台湾総督に選ばれるはずだったが、児玉源太郎が第3代台湾総督として10月14日に着任しており、台湾民政長官には日清戦争の帰還兵に対する検疫業務に広島・宇品港似島で臨時陸軍検疫部事務長官として従事し、優れた行政手腕を見せた後藤新平が選ばれている。

高野が明治天皇を通じて伝えた統治要綱に従って、台湾経営は1897年には一応の落ち着きを見せ始めており、台湾に蔓延していた阿片も後藤新平の敏腕によって、解決策が出されており、先行きは明るい。

これも、史実で朝鮮半島に投資した資金、資材、人材を上乗せした分を、台湾に回した結果といえよう。

史実と違って台湾総督ではない、乃木は明治天皇によって、皇族子弟の教育に従事するようになっていた。高野も明治天皇も徹底した清廉や高潔な振舞いの乃木を人として高く評価しており、より適した職業へと進ませたのだった。









1897年4月15日土曜日

"さゆり"とイリナ・ダインコートの二人は 幕張の一角にある商談時に使用する洋館のテラスで、楽しそうに話していた。二人の服装は清楚な感じがするシフォンワンピースである。

イリナの容姿は日本人型の"さゆり"と違って、青い瞳、銀色の髪と、姉のソフィアの面影を残しつつ愛らしさを感じさせる白人系美少女なのだ。趣味は森林浴と写真撮影。

よく見ると、テラスに置かれた椅子に座っている"さゆり"の足元には3匹の子供の狼が気持ちよさそうに体を伸ばして太陽の光を浴びている。

これらは保護したニホンオオカミの一頭が生んだ狼であった。

本来、狼と言うのは単独で行動する動物ではなく集団で行動する動物である。 しかも、家族単位で集団を作るので、その集団の中に入るのは不可能に近かった。

子狼が家族という集団を認識する前に母親の狼が息を引き取ってしまい、父親の方の狼も母親狼の妊娠直後に 既に亡くなっており、不憫に思った"さゆり"が3頭の面倒を見ていた。 3匹の狼からすれば"さゆり"は母の存在に等しく、完全に懐いている。

子狼のくつろぐ姿を嬉しそうに眺めつつ、さゆりは口を開く。

「ようやく八幡製鉄所(八幡製鐵所)の火入れが行われましたね」

史実では1901年2月5日に東田第一高炉で火入れが行われたが、この世界では1897年4月5日という3年7ヶ月も早く行われたのだ。

しかもコークス炉も動き出していた。

高野たちの介入が始まって2年…本来ならば1938年に作られる1000トン高炉ですらも、すでに2箇所にて建造がスタートしている。 帝国重工側から提供された改良案と技術指導だけではない。 幕張製鉄所から提供される良質な鉄材が八幡製鉄所の始動を早めたのだった。

"さゆり"の言葉にイリナがにこやかに応じる。

「だね〜 幕張製鉄所を除けば、世界水準から見ても1年は進んでるし、帝国重工からの高炉用圧縮固形燃料を使う限り品質も最高のものだと思うよ。

改修作業と稼動に立ち会っていたグーテホフヌンクスヒュッテ社から派遣されていたドイツ人技師は高炉用圧縮固形燃料に驚いていたね」

稼動にドイツ側技師を立ち合わせたのは帝国重工の高炉用圧縮固形燃料を売り込む目的もあった。石炭と比べて量が少なく済み、煙害による被害も劇的に減らせる優れものだ。

そして、ドイツ人立会いの下で改良を行った内容は難しいものではない。
東田第一高炉に関しては19世紀の技術水準を超えないものに限定されている。

高野は八幡製鉄所は初期の第一高炉では、製鉄技術の習得が目的と割り切っており、生産量ではなく安定性を重要視していた。ドイツ側も見逃していた問題が直された八幡製鉄所の操業は生産量は少なくとも品質も悪くは無く順調である。

「高炉用圧縮固形燃料は売れそう?」

「今後の品質の安定次第かなぁ…しばらく品質安定が続かないと偶然と思われるし…」

資金は幾らあっても困らないので、帝国重工は模倣できない商品に関しては可能な限り販売していく方針なのだ。

「確かに……出来る限り、一つでも多くの商品が売れると良いわね」

"さゆり"もイリナの笑顔に勝るとも劣らない魅力の笑みで応じた。

イリナは取材活動の為に、八幡製鉄所に頻繁に出入りしており、内部事情に詳しい。さゆりと準高度AI達は電子ネットワークを介して定期的に情報の共有を行っていたが、プライバシー情報に抵触する情報に関しては共有化は基本的に行っていない。

人格を有するAIは日本においては人権が認められていた。また、度を過ぎた情報共有は人格否定に繋がる恐れから、高野と"さゆり"は強く戒めている。

それほどに"さゆり"の権限は強大なのだ。

最高度の電子知性体である"さゆり"の権限は実装プロトコルにおいてはネットワーク構造7層までの全ての階層において優越しており、更に大鳳のメインフレーム奥に設置されている太陽系最高の性能を有する51式軍用複合演算機との最高位アクセスも可能なのだ。いわば、システム階層構造の頂点であった。宗教的な意味で言えば、日本国が神であり高野が最高司祭で、さゆりは神官長と言えるだろう。

イリナもシステム上位階層に属する準高度AIの中でも24基副統括システムに連なる存在であるが、平時モードのイリナからすれば上司であると同時に親友でもあった。

"さゆり"に対して上目遣いの視線を向けたイリナが言う。

「さゆり…次号の先進科学は八幡製鐵所(八幡製鉄所)の特集をやるの…」

「ええ、それがどうかしたの?」

不思議とさゆりは嫌な予感がする。

「製鉄所を前に水着姿の撮影はダメかな? すっごく日本の貢献になるよ♪」

「私が用意した水着でよければね♪」

"さゆり"は予防線を張る。

「大丈夫! 忙しい"さゆり"にそんな手間を掛けさせるのは悪いよ。
 水着は広報部事業部で用意するから、気にしなくても大丈夫! だから安心して良いよ〜」

"さゆり"は先日にイリナが行った暴走を思い出して頭が痛くなる。

先進科学1897年1月号の撮影で行ったニホンオオカミとの当初の撮影案は大自然の中、裸で狼とのツーショットを撮るというイリナの暴走が炸裂していたのだ。

イリナは躊躇する、さゆりを前に、ルノアールの「もし女性に胸とお尻がなかったら私は画家にはならなかったろう」の例えを熱弁し、躊躇う事無く最初に裸になって、自らの副官に写真撮影をさせた。自らの撮影終了後に、危ない部分は逆行や光源で隠すと笑顔でイリナから説明されても、"さゆり"の粘り強い反対でお流れになった経緯がある。

"さゆり"は科学者だけでなく、帝国重工の副総帥としての地位もあり、広報事業部の行動に「待った」を掛ける事が出来たのだ。

さゆりは思った。
どうやら今回も念を押さなければ危険な撮影になると…

「過度な露出は禁止します」

「さゆりぃ〜 そんな事を言わずに、二人で開放的な写真を撮ろうよ!!」

「撮りません!!」

二人の大きな声が辺りに響くと、その少し大きな声に3匹の狼は顔を上げる。 しかし、危険の無いものと理解すると、直ぐに元の体勢に戻った。

狼は吼え声だけでなく、ボディランゲージやアイコンタクトを組み合わせて意思疎通を図るのだ。3匹の狼は体を伸ばしてくつろいでいるのは、"さゆり"やイリナに対して完全に安心しきっている証拠でもあった。
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【あとがき】
1897年4月22日の八王子の大火は起こりません。

乃木希典はドイツ留学後以後の人間性は超絶的なまでに潔癖で責任感が強いので教育者として頑張ってもらいます。史実にでは昭和天皇も厳しく教育するなど、相手が誰であっても真剣に対応する人格者でした。

3話に出てきた広報事業部が本格始動ですw

広報事業部は、あの時代のアメリカが得意とする事実報道よりも扇情的を売り物とするイエロージャーナリズムに対抗するのが目的です。1898年にはそれで、スペインとアメリカが戦争するし…恐ろしいな。この世界だと、世界流行したアメリカ発のH1N1亜型インフルエンザは、スペイン風邪と呼ばれず、事実に基づいてアメリカ風邪になるでしょうw

【Q & A :この時代に高層ビル?】
この時代に高層ビル!?
アメリカのシカゴにある世界最古の高層ビルとして有名なルッカリーはスケルトン工法で1886年竣工しています。メトロポリスの摩天楼は1900年から建設が始まります…

【Q & A :帝国重工が作ろうとしているビルの高さは?】
エンパイア・ステート・ビルディングの373.2m(102階)よりは低いです。
また、このビルは1931年に完成ですが、着工は1930年…米国の国力が良くわかりますね。


意見、ご感想お待ちしております。

(2009年05月18日)
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