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レンフォール戦記 第一章 第16話 『罠』


月と星の輝きと松明に照らされたゴーリア全軍が カトレア守備隊に対しての攻勢準備を進めていた。 伝令が駆け巡って命令が伝えられていく。 ゴーリア軍各隊が戦いに備えて動き出していた。

損害を受けているにもかかわらずゴーリア軍の士気はそれなりに高い。

夜戦ともなれば夜間故の視界不良がもたらす 限定された識別能力によって瞬く間に乱戦となり、それが消耗戦の模様を見せるからだ。
僅かな不安もあったが、相手の兵の規模を知っていたゴーリア軍は絶対的な数の 優勢さを背景にした勝利を強く信じていた。消耗戦は彼らの聖域だったからだ。

兵士達が松明を手に取り、苦労しながらも隊列を整え終えていた。
突撃の合図を待っていた彼らは、勝利後に行われる本格的な略奪を思い浮かべて、 彼らなりの方法で気持ちを奮い立たせていた。

遥か上空から無人偵察機によって軍の動きが完全に読まれている事も知らずに…




ゴーリア軍侵攻隊野戦本陣として使われている館内をゴーリアの騎士や参謀たちが 攻勢に備えての準備などで、せわしなく動き回っていた。

そんな中、キィームは軍儀を終わらせると周辺の参謀にすべて一任して、 他の事には脇見もくれずにリリシアが監禁されている一室に急いで足を進めていく。 我慢の限界に達したキィームは軍儀を終えると、他に全く構うことなく、目的の場所へと突き進んで行った。キィーム直属の護衛役の騎士も必死になってついていく。

館内を駆け足で進み、進行方向にいた兵士を蹴飛ばして向かう。

蹴られた兵士は罵りの声を上げて振り向くが、 相手が唯の上官ではなく、暴君として名高いキィーム将軍だと知ると 大人しくなる。下手に逆らえば殺されるからだ。 キィームはようやくリリシアが監禁されている一室の扉の前に辿り着き、乱暴に扉を開けて入っていく。その室内には拘束済みで意識を取り戻していないリリシア一人を監視するには破格の人数が監視についていた。 扉の前に6人の兵士が立っており、更に室内には2人の兵士が常に見張っていたのだ。

キィームは舌なめずりをしてから 部屋の前の兵士に鍵を開けさせて入っていく。


来客用の部屋であった、この部屋には落ち着いた調度品と清潔なベットが備え付けられている。そして、警備のために窓には優雅な形をしているが、この柵は逃亡防止用ではない。

飛翔魔法を使う暗殺者などに対する備えとして レンフォール国のみならず、レーヴェリア界における文明的な貴族や豪商の館の窓には頑丈な柵は必ず備え付けられているものだ。

リリシアの姿を見たとき、衝撃のあまりキィームはしばらく無言だった。
彼女の体は血にまみれ、深手に対して最低限の治療を施すための包帯が巻きつけてあったが 、それでも彼女の魅力は損なわれていなかった。小刻みに震えながらようやく口を開く。

「おお……こっ、これがリリシアか!」

キィームはその来客用の部屋の中にいる、魔法使い用の特殊拘束具によって囚われているリリシアを見て感嘆の声を上げた。 両手を背面に回された状態で両手首に枷がはめられ、両足にも厳重な枷が着けられ、 意識が無く室内にあるベットの上に寝かされたままだが、 彼女の流れるような髪、僅かに見えるうなじ、 各部位が損失したミスリルアーマーによって肌蹴た白い肢体 がなんとも言えない魅力を 醸し出していた。

電流のような衝撃がキィームの体に流れる。
聞きしに勝る美貌に思わず唾を飲み込む。

渇いた喉を潤すために地下のワインセラーに安置されている 葡萄酒を2.3本、取ってくる様に兵士の一人に命じた。 しばらくすると命じられた兵士が3本の葡萄酒を手に戻ってきた。
2本の白葡萄酒と1本の赤葡萄酒だ。

キィームは兵士から1本の白葡萄酒を乱暴に奪い取って封を開けると、、 室内にあるグラスを使わず直接口につけて飲み干した。 キィームは喉の渇きを潤すと騎士に尋ねた。

「誰もリリシアを襲ってはいないな?」

「ええ、将軍の名前で念入りに通達しておいたので大丈夫です」

意識がないとはいえ、これほどの美女を前にして ゴーリア軍にしては珍しく襲われてなかった。大抵ならばゴーリア軍の 行く先々の女性は犯され装飾品を奪われてしまう。

リリシアに対してゴーリア軍の慣例が適応されなかったのは、 キィーム将軍から上前をはねる行為を恐れた所以だ。 彼が捕らえることを厳命した捕虜に手を出すことは 燃え盛る火山口に飛び込むようなものだ。

以前にキィーム将軍が捕らえるように厳命していた女を先に襲った 上級騎士が居たが、キィームの怒りを買って生きたまま、煙が立たない弱火 でゆっくりと火焙りにされたのだ。勿論、生き残っては居ない。

この話がゴーリア軍に広まってから、キィーム将軍の上前を撥ねようとする 者は現れなくなった。
絶世の美女を前にしても、命は大事だ。

「よし…それなら問題ない」

待ちに待ったリリシアを目の前にしたキィームは満足そうに呟いた。

そして、護衛や兵士たちが見ているにもかかわらず、 無骨な手で意識の無いリリシアの体中を弄っていく。リリシアの着ている鎧は 軽装鎧であり、ごく一部の部分を除けば 防刃効果のある魔法繊維を編みこんだ材質で作られており、 柔軟に肌に密着するようになっている。

キィームは 柔軟な素材によって覆われているリリシアの白桃のような美しい形の乳を触って弾力性を味わう。 若干汗ばんでいたが気にならない。 胸の谷間を触ったり、むき出しの太股を弄り、手に吸い付く肌質に満足して興奮を高めていった。

「…戦場を駆け巡っていたとは思えぬほどの艶のある肌…
 素晴らしい!」

高ぶったキィームは両手でリリシアが身に着けている所々損壊した鎧を脱がしに掛かる。胸部の部分を7割ほど脱がし終えると胸を乱暴に掴み感触を確かめるが、先ほどから変わらぬ浅い呼吸でリリシアは眠り続けたままで変化は無かった。

キィームは無反応にやや興ざめするが直ぐに気を持ち直して、リリシアの体各所で凝固して固まった血を洗い流すために白葡萄酒を体にかけていく。 ベットが葡萄酒の液や溶けた血で汚れていくがキィームは気にしなかった。レンフォールの貴族ならば 絶対に行わない行為であろう。

血糊が大体落ちきったところで、キィームは手でリリシアの体を蹂躙する行為に加えて、口でも、その魅惑の体を味わい始める。

キィームは露になった乳房を両手で潰れそうに為るぐらいに掴んで、弾力を楽しんだ。

手から漏れ出た美しく整った乳輪と乳頭を口に含んで蹂躙すると、そのまま首筋まで舐め上げていった。 キィームはまるで童貞のように我武者羅に舐めまわしていく。その魔の手はリリシアの美しい唇にも及んだ。

リリシアの味を十分に味わうと、キィームはリリシアの残った鎧の撤去に取り掛かり始めた。
しかし、キィームはあることに気が付く。

「おいっ! なぜ両手両足を縛ってあるのだ!」

意識がないとはいえ魔王の娘という危険な捕虜 である。両手両足の枷は当然だろう。護衛と兵士は戸惑いの表情を見せる。 しかし、感情で行動するキィームの理不尽な怒りに合理性は全く無い。

「今すぐ解くんだ!」

「しかし将軍っ! 相手は魔王の娘…」

キィームはリリシアから離れると勢い良く剣を抜いて護衛に突きつける。
逆らう部下は容赦なく殺してきたキィームは殺気を込めて護衛に最後通告を 告げた。これであっても彼なりの譲歩だ。リリシア捕縛によって上機嫌な状態で 無ければ例え護衛といえども切り殺されていただろう。

「ワシは解けと言った。二度は無いぞ!」

キィームの声が震えていた。
無論、恐怖ではない。自分の行動を邪魔する事態に対してキィームの心に抑制しがたい激情 が浮かび上がり、それが声を波立たせていたのだ。

「判りました…」

護衛の騎士は黙然と頷いた。
部屋の前に立っている兵士から鍵を受け取ると、陰気な沈黙に包まれながら リリシアにつけられた枷を外していく。

「ご命令どおり全ての枷を外しました」

「ご苦労! では、全員この部屋から出るんだ! 今すぐにだ!」

この場に留まればキィーム将軍の怒りを買う事になると悟った 室内に居た護衛や兵士たちは、命令に従って素直に部屋の外へと出て行った。 彼らはキィームの命があるまで部屋の扉の前で待機する事となった。

室内に二人っきりになったのを確認すると、キィームは自らの腰から剣を外して壁に立てかけて、 再びリリシアの鎧を脱がし始める。

キィームは柄にも無くうきうきしながらベットの上に横たわっている リリシアを仰向けにすると首周りの留め金を外して、肩のアーマーを外していく。 腰周りと背中のアーマーを止めていた留め金を外すと、 リリシアの腹部を守るように体のラインにあわせて作られたホーバージョン型の チェインメイルが姿を現した。

チェインメイル特有のリング同士の細かい繋がりの 隙間から見えるリリシアの裸体 と 重量軽減の為に限定部分しか編まれていない、きわどい作りだ。 リリシアを脱がしていくほど高まっていく己の高揚感にキィームは完全に支配されていた。

「もうすぐ…ワシのものに!」

リリシアの鎧を脱がし終えたキィームは欲望に汚れた醜悪な笑みを浮かべる と自らの鎧を乱暴に脱ぎ始めた。

壁に立てかけてあった剣が倒れる。 その物音で扉の前に待機していた護衛の騎士や兵士が室内に駆け込んできた。

「何かありましたか!?」

騎士や兵士たちが失敗を悟ったのは次の瞬間だった。
半裸のままベットの横に立っている将軍の表情が毒々しく怒りに満ちていたのだ。

「立てかけて置いた剣が倒れただけだ! 物音程度で入ってくるなっ!
 さっさと出て行け! 次に無断で入ってきたら死刑だ!!」

騎士と兵士は責務を果たしたにもかかわらず叱咤を喰らって室内から追い出される。 キィームは部屋の扉が閉まり 邪魔者が居なくなったのを確認すると、いそいそと身に纏っている 衣服を脱ぎ捨てた。ベットの上に載ると、いきり立った逸物でリリシアを犯すために 両手で彼女の両足が大きく広げられた状態で持ち上げる。

「くくくっ、待ちに待ったリリシアか!
 今日からずっと犯してやるわ!!」

今この瞬間、キィームは心が歓喜で埋め尽くされた最高の瞬間であろう。 そして欲望に従って下半身に力を込めて腰を押し出して、リリシアの中に挿入しようと行動を開始した時、キィームの生涯最後の大災厄となった。

「っ!」

リリシアが目が見開くとキィームの体が硬直する。
あと僅かな距離でキィームの望みは絶たれたのだ。 キィームは突然の出来事に叫ぼうにも声すらも出なくなる。 魔眼によって運動中枢の自由が奪われたのだ。冷たい殺気を込めてリリシアはキィームを睨む。

リリシアはキィームが完全に無防備になる瞬間を待っていたのだ。

全てはアンドラストの戦いで疲弊しきった状態を逆手に取ったリリシアの策であった。
アンドラスの戦いの後、意識を失っていたリリシアは目を覚ますと、自分の状況を再確認した。

短時間で大幅な回復の見込みは無く、大して回復していない魔力と体力で 敵に最大限の損害を与えるには内部に入り込むしかなかった。

アンドラストの会話でスンマンという、それなりの地位についていると 思われる人物が私に何らかの執着があると確信していた。 結論が纏まると、リリシアはゴーリアの偵察隊の付近で気を失ったフリを行ってここまで来たのだ。

そして、短い時間でキィームの地位と気性を理解したリリシアは、その短絡的な思考を 自分にとって都合のよう方向へと誘導するために手を打った。 内部に入り込んだにも関わらず、あえて気を失った真似を続けてまで、キィームのおぞまじい行為に 好きなようにさせていたのは、敵軍の中心部で安全地帯を作り出すためだ。

その為にはキィームの理性を突き崩して二人っきりになる状態を作り出さなければならない。

そこでリリシアの取った行動は二つだ。
一つ目は微量ながら興奮効果のある汗を分泌していき、徐々に理性的な判断を奪っていく事。
二つ目はキィームの気持ちが高ぶっている状態で乱入者を招き入れる事だ。

探知の困難な弱いテレキネシスによって倒れた剣が出した物音で 乱入してきた護衛や兵士たちによって水を差された興奮状態のキィームはリリシア の狙い通りに、怒り狂って護衛や兵士が室内に入れないようにした。

キィームの激怒によって萎縮した護衛らは、滅多な事では室内に入ろうとはしないであろう。


リリシアは自らの裸体を隠そうともせず、ゆっくりとベットから起き上がる。 鋭い視線で射抜かれたキィームは犯す対象でしかなかった女性に対して初めて恐怖を感じていた。 リリシアは身動きの取れないキィームの耳元までゆっくりと顔を寄せると、 ぞっとするような冷たい声で小さく囁く。

「汚らわしい舌で人の体を散々舐めてくれたわね…
 でも、二人っきりにしてくれた事には感謝してるわ。
 だから、お礼に綺麗に殺してあげる」

優雅な仕草でキィームの胸に右手をそっと当てる。リリシアは優しい動きで キィームの胸の上で印を組んでいく。この異常な事態 で行われるリリシアの丁寧で優しい動きはキィームにとっては恐怖を増徴する行動でしかなかった。

リリシアは周辺に魔力がもれないように丁寧に印を組み終えると 微弱魔力を使って彼の体を巡る筋電を操作していく。

「っ!?」

声にならない程の苦痛が心臓を中心に体中に駆け巡ってもキィームは声すら上げる事も出来なかった。 リリシアの手によって音が立たないように、ゆっくりとベットに寝かされて行くのをキィームは 恐怖と苦痛の中で、ただただ見続けることしか出来なかった。
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