ワイルド・ワイド・ウェスト 5
毒が胎内に消えるまでは、手を出せないので、男は酒盛りへ戻った。
エカテリナが稼いだ金は、全員が豪遊できるほどあった。
しかも、ここ数日彼女をなぶるつもりで、骨抜きにされている。
腰が頼りない状態では、酒も酔いが激しかった。
何者かが、倉庫に侵入してカラッポにするまで、誰も分からなかった。
黒い影が、男が立ち去った後の幌馬車に入った。
「ほっとくわけにも、いかないわね」
かすかなハスキーがかったつぶやき、
小柄で引き締まった身体だが、肉感的なスタイル。
浅黒い肌が、影に溶けて、見分けがつきにくい。
「なんといっても、今回は恩人だし・・・」
首輪をはずすと、エカテリナをかついで走り出した。
女性にしては、かなりな体力だ。
人の耳に聞こえぬ周波数の口笛を吹くと、
見事な栗毛の馬が現れた。
他にもいつの間にか、砂エルフらしい羽飾りをつけた連中が、
おびただしく現れ、重たげな荷物と弾薬の箱を大量に運んでいる。
宴会と女で緩みきったドットサンの武器倉庫は、
あらかた空になっていた。
人間至上主義のリヴァール連合だが、他の地区では考えられない事に、
W・W・Wでは、砂エルフと人間は、対等に近い。
要は力こそ法律。
人口密度が極めて低く、犯罪者やアウトローの巣窟であるため、
他所からの手出しをされる事を極端に嫌う。
むしろ『社会や政府が敵』と言う人間ばかりだ。
また、砂エルフを本気で怒らせると、どういう手段なのか、
水源、水脈を断たれてしまうため、街が滅びてしまう。
もちろん、砂エルフもリヴァール連合から手を出されると、
ほろぼされる可能性が高いので、出来る限り大規模な戦闘は避けている。
結果、当事者同士で解決をつける限り、
他人は口を出さないのが鉄則になっている。
部族を襲われた彼女からすれば、
やられたらやり返すのは、むしろ当然なのだ。
焼き討ちや襲撃などしても、連中は商品の武器で武装し、さっさと逃げ出してしまう。
それより、こちらの方がはるかにダメージが大きい。
女と酒にうつつを抜かした罰に、商会自身の手で吊るされるだろう。
女性はエカテリナを乗せ、自分も飛び乗ると走り出した。
ジジ・・・
獣脂の燃える匂いと、ゆらぐ炎の明かり。
地下のひんやりした空洞に、女性と数人の砂エルフがいた。
「どお?正気に戻れそう??」
長老らしい男性のエルフが、首をひねる。
「かなり大量に砂地走りを使われたようだな・・・。
ジジャ、お前でもあれだけ苦しんだのだ、果たして戻るかどうか。」
ジジャと呼ばれた女性のエルフは、眉をしかめた。
キリッとした顔立ちで、かなりの美貌だが、
彼女も以前捕らわれ、砂地走りの毒で肉奴隷にされたことがある。
エカテリナは、身体中に発汗を促す薬草を張られ、
毒を出す薬を飲まされて、喘いでいる。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
ひどく艶かしい声、身体に刻み込まれた性技が、
悶える姿すら、好色を引き起こす。
実際、その夢の大半は、砂走りのエキスによる淫夢で、
肉の奥まで貫かれる実感を求め、悶え苦しんでいた。
その欲求は、肉体にまで変化を及ぼし、
他人も、自分すらも、激しく欲情させるフェロモンを作り出し始めていた。
「う〜ん、見てるこっちもおかしくなりそうだわ。」
「そういや、ジジャの見る目が熱っぽいぜ。」
「オレと今日はどうだ?」
他のエルフの若者たちが、軽口を叩くが、
「そうね、今日は凄く獲物もあったし、いいわね。」
魅力的な笑顔で、ニッと笑う。
おおっと、男性たちが沸く。
元々多夫多妻性で、子供は共同で育てる砂エルフは、
SEXに対する禁忌が少なく、けっこう奔放だ。
しかも、人間相手でも気軽にSEXを楽しむので、
圧倒的に女性の少ないW・W・Wでは、
どの街も、砂エルフが交易に来てくれる事を望んでいる。
そして、ジジャは性欲に正直な女だ。
「ほい、薬草の追加もってきたぜ」
グリという鈍重そうな若者が、かごいっぱいの解毒の薬草を取ってきた。
どちらかといえばノロマで、嫌な仕事は良く押し付けられる。
だが、当人は自分がノロマと思ってるので、何も言わず黙々と働く。
グリは、薬草をエカテリナのそばにそっと置いた。
ハシッ
その手を、細い指が掴んだ。
ひどく熱い肌が、繊細な指先の動きが、グリの理性を直撃した。
開かれた蒼い深い目が潤み、色香に染まった頬が、淫らに輝いている。
なにより、身体中に薬草を張られ、何も身につけていない。
立ち上る香りが、グリの意識を捕らえ、
胸に、柔らかなふくらみに、引き込まれるように抱かれ、
グリ自身も引きずり込まれていた。
唇の柔らかな蜜、抱きしめる肌の吸いつき、
熱い肌の感覚、ここがどこかも忘れ、グリはズボンを引き破るように脱ぐと、
肉体を強く密着させた。
抱き合い、抱きしめ合い、
満たされる喜びが微笑みとなってグリの視界を覆う。
舌が絡み合い、激しく吸い合い、腰がくねり、足が絡み合う。
激しい高ぶりが、エカテリナの腹部に当たり、
艶やかな腿が、間に巻き込むように引き込むと、
腿の間でしごかれ、陰唇の愛液を塗られ、粘膜の蠢きが刺激する。
興奮のあまり、ミリミリと充血し、膨張する男根。
まるで骨が無いかのような柔らかさで、
エカテリナの身体が上下の位置を変えた。
怒張した男根を、かわいらしく舌を出し、夢中でなめ上げる。
指先の絶技が、裏筋をなでさすり、カリ首の下をもてあそび、
ピンクの唇がつるりと、亀頭をくわえ込む。
唾液が温かく包みこみ、唇と舌のからみあいが、
強烈な快感となって突き上げる。
グリの目の前には、バラ色の花びらが雫をあふれさせていた。
その香りに夢中になってすすり、嘗め回し、淫核をしゃぶりたおす。
だが、快感の高ぶりは男の方が止めようが無い。
うめき、腰を震わすと、エカテリナは一層深く、喉まで亀頭を飲み込んだ。
ドビュルルルルルッ
猛烈な精液の放射が、喉いっぱいに広がり、男の匂いが鼻にまで吹き上げる。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、
夢中で、すすりあげ、飲み干し、恍惚とした顔で味わうエカテリナ。
またもスルリと位置を変えると、
まだまだ萎えもしないそれを、そっと導き、
至極の胎内に引き込んだ。
グチュリッ
深く、濡れた肉の中へ、赤く充血しきった男根は突入する。
全員、あまりの衝撃と強烈な色香に、
呆けたように見ている。
『グリのって、あんなにでかかったの?!』
ジジャも、ショックを受けて呆然と見ていた。
グリの馬鹿でかい逸物は、エカテリナをいっぱいにする。
「んはあああんんっ!」
眉が震え、甘く蕩けるあえぎが、洞窟にこだまする。
白い肌の中に、飲み込まれ、熔けてしまいそうな快楽に、
グリが歯を食いしばり、腰を突き立てる。
グリュッ、グリュッ、グリュッ、
強烈な刺激が胎内を荒らし、
くびれが内部を刺激して、濡れた襞と激しく絡む。
もう、何も遠慮はいらない。
自分の中に、全部、全部いれてください。
しがみついてくるエカテリナに、
吸い付き、締め付け、身体が求めてくる声に、
自分の一切を叩きつけ、激しい音を立てて、腰と腰がぶつかり合う。
パンパンパンパンパンパンパンパン
細い腰が壊れるかと思うほどの勢いで、
「んはっ、はっ、あっ、あっ、あぁ、はひぃ、いいっ、いいっ、ああんっ!」
折り曲げられた足が、ガクガクと揺れ動き、
それでもひしと締め付けて、離すまいとする。
爪が赤い痕を残し、興奮と絶頂が火花を噴き上げた。
「うぐううっ!」
「あひいいいいっ!!」
ドリュリュリュリュリュウウウウッ
のけぞった二人が深く達しあい、エカテリナの腹部に脈動がなだれこむ。
「く・・・あ・・・」
「はぁぁぁ・・・・・」
ゆっくりと硬直が溶ける。
満たされきった弛緩が、甘い抱擁となっていく。
見ていた男は腰が抜け、女性は座り込み、
ジジャは、股間が温かい事にようやく気づいて、真っ赤になった。
あまりのエクスタシーに、漏らしてしまっていた。
動きたくても、腰が抜けたようになって動けない。
横では、ジジャのいとこのマリフェが、若者にしがみついていた。
服を脱ぎ捨て、激しくからみあい始める。
自分も、思わず脱ぎ捨てて、誰かと抱き合いたい。
でも、恥ずかしくて動けない。
身悶えするジジャに、ひんやりとした手が触る。
「大丈夫ですよ・・・恥ずかしくなんかないですから。」
エカテリナの淫蕩で柔らかな笑顔が、そっと唇を覆った。
男の精液の匂いが、ジジャを痺れさせた。
「だ、だめ・・・」
ジジャのズボンを下ろさせ、尿の匂いのするあそこに、指と顔が入っていく。
「だめえ・・・いや・・・やめて・・・・」
ジジャがこんな声をだすなど、部族の誰も聞いたことが無い。
だが、エカテリナは容赦なくおしっこの匂いのするあそこを、
キスをし、嘗め回し、すすり上げて、真っ赤になって顔を隠すジジャを、堪能していく。
「い、いや、だめえ、そこはだめえええっ!」
淫乱な舌先は、彼女の悲鳴をよそに、震える薄茶のすぼまりまでも捕らえ、
ほじられ、こじ開けられ、
泣きながら、くねる美しい尻の奥へ、残酷に舌先はのめりこんでいく。
ビクビクビクッ
美しいつま先が激しく痙攣をくりかえし、
アナルを犯される喜びに、何度も悲鳴と歓喜の声を上げていた。
そんなジジャに、これまでに無い興奮を覚え、
三人の男が群がり、エカテリナとジジャを貫いた。
「ああっ!、だめえええっ!」
ジジャのもっこりとした尻を掴み、グイと突き出された亀頭が、
胎内深く突き刺さっていく。
「んはああああんっ!」
上にまたがらせたエカテリナに、たくましい陰茎が深く突き刺さっていく。
後ろから可愛らしい尻を掴み、アナルに突き入れていく。
二人の女は、快感にドロドロに蕩けた顔になっていく。
狂おしい宴の中、浅黒い肌と、真っ白い肌が、美しく、淫靡に絡み合い、
ピンクの襞を貪りつくされながら、キスをし、愛撫をかわし、蕩けあっていく。
夜が明け始めた。
「ん・・・」
エカテリナは目を覚ますと、裸のまま軽くのびをした。
回り中、男女がごろごろと転がって、今だ夢見心地。
昨夜も、毒が抜け切らないエカテリナを取り巻いて、
一晩中、若者たちの乱交パーティになってしまい、身体中にその名残が残っている。
枕元に服がまとめてあるのは、ジジャが気を利かせてくれたのだろう。
短めのスカートと、荒いブーツ、
それに帯で止めるタイプの、腰までの服。
昼間の暑さには、ざっくりとした服が良く合いそうだ。
洞窟を出ると、涼しい風が吹いている。
「ふう・・・」
エカテリナは、細い指を折って数えてみた。
かなり記憶があいまいな部分もあるが、
墜落して馬車で二日、町で一日、助けられて丸二日、
間にさらに二日は挟んでいそうで、その間、ほとんどSEXし続けている。
身体に刻み込まれた感覚は、全て生のものばかり、
子宮がパンパンになるまで中に射精され、
穴という穴に、精液を注ぎ込まれ、イキ狂っていた。
『どう考えても、出来ちゃってるわよね・・・』
長期型の避妊薬は、ホルモンに異常が出るのであまり使わない。
短期型の避妊薬は、とっくの昔に切れている。
たぶん4日目ぐらいで効力がなくなってるだろう。
それに、砂エルフの男女は、子供をたくさん作るのが義務と思っている。
エカテリナとSEXするときも、遠慮なく中出ししまくってきた。
毒性の強い『砂走り』のエキスは、高い代謝機能を持っているエカテリナでも、
激しく狂わせ、避妊のことなど考える余裕もなく、
次から次へと男性を求めて、中にあふれさせた。
苦笑しながら、下腹をそっとなでた。
『まあ、しかたないわね。』
子供が出来るのも、産むのも、とても嬉しく感じるエカテリナ。
あっさり悩む事もなく、現実を受け入れる。
部族の女たちが朝食の支度を始めたので、
お手伝いに向かった。
部族では、食事は二回。
大ナベに作ったシチュー風の料理を、めいめいにとって食べる。
粗末な素材と、不便な調理用具ばかりだが、
エカテリナはすぐに使い方を覚えて、調理を手伝った。
色々な娼婦たちとの経験から、エカテリナはすぐに部族の女たちになじんでしまい、
笑いながら話すようになった。
特に、子供たちは、最初おびえ気味だったのが、
エカテリナに微笑まれると、今度はスカートをつかんで離さなくなった。
「あんた、いっそのこと私たちと住まない?。」
マツギという溌剌とした女性は、エカテリナを気に入って、本気でいった。
「ありがとうございます、でも、私も色々あるんですよ。」
「う〜ん、そうかい。でもね、嫌になったらいつでもこっちにおいで、歓迎するよ。」
本当にそうできたら、どれほど嬉しいか。
いっそ記憶を失って現れたのが、この砂漠だったら、
ずいぶん違った生活をしていただろう。
だが、荒っぽい声が、それをさえぎった。
「おい、エカテリナを返すことは無いぞ。彼女は俺達が助けたんだ、
ここに留めておく。そのほうが、エルフとしても幸せだ。」
顎に傷がある、ボルドムという大柄な男は、
ぎらつく目でエカテリナを見た。
エルフという種族的には、巨人のような体格で、
身長は2メートル近い。
胸板の厚さや、腕の太さもただものには見えない。
普通の女性なら萎縮してしまう視線だ。
「ボルドムさん、でしたね。お助けいただいたことは感謝しています。
ですが、その分のお礼は十分にさせていただきますので、ご容赦下さい。」
フェリペたちの強圧なプレッシャーに慣れているエカテリナは、平然としていた。
「お礼とかの問題じゃない!。おまえはエルフだろうが、人の奴隷でい続ける必要は無い!!。」
異人種への差別が非常に激しいリヴァールで、例外的にエルフと人間が比較的対等に近いW・W・W、
外の世界が、どれほどエルフに過酷か、知っている者は知っている。
ただ、彼らは気づいていないが、この地は普通のエルフは長生きできない。
砂エルフ自身も平均寿命は200年前後、最長で300年ほどだ。
特殊な力と、強力な代謝能力を持つエカテリナだから平気でいられるのだった。
ボルドムを始めとする男たちは、わずか二日で、
エカテリナがいなくなる事そのものが、絶えられなくなっていた。
肉体関係で、その最高級の甘美に溺れた上に、
清楚で可憐な昼間の姿に脳天を直撃され、すっかり惚れてしまっている。
急に、エカテリナの目が強い光を帯びた。
ボルドムの背筋がゾクリと震えた。
闇の中で、真っ白い肌と、激しいあえぎが踊る。
エカテリナとの激しいセックスの記憶が、白昼夢となり、
柔らかな肉の中で、何度も狂おしいほとばしりを放ち、
屈服した快感が、身体を痺れさせる。
「私は奴隷ではありません。人に仕える身ではあっても、この道を自分で選んだのです。」
ずしんと、何か重いものが、渡されたような言葉。
エカテリナの目の光と、言葉の重み、それがボルドムですらしばし沈黙した。
「・・・・理解はできん、帰る事は許さない。」
ボルドムはそっぽを向きながら、搾り出すように言った。
彼もまた、不器用ながら、エカテリナと離れることが耐えられないらしい。
「それは無理です。もうすぐ私の恋人が来ます。彼が本気になれば、
誰も止めることは出来ません。」
エカテリナは、彼らの武力への誇りを見越して、わざと挑発するように言った。
砂エルフの男性は、普通のエルフ族に比べると、相当筋肉質だ。
筋肉繊維の密度が高いエルフは、体格的には細身でも、筋力は同じ背丈の人間と変わらない。
まして、極めて厳しい環境下にある砂エルフは、特に筋力が発達しているらしかった。
それだけに、武力に対するプライドも大きい。
言葉ではなく、何か納得できる事実が無ければ、
男たちは抑えられないと、エカテリナは推測している。
「何だと・・・?!」
案の定、ボルドムは目を剥いた。
「彼を止めることが出来たなら、私も考え直します。」
今のエカテリナは、過去の記憶は全く失っているが、
彼女の祖母は、歴史に残るほどの策士として名高い、
ERの柱石たるラングレー王家女王、セシリア・ラングレーである。
彼女が、その血を色濃く引いているのは、間違いない。
砂エルフは、勇者には素直に感嘆する素朴さを持っている。
ウェモンとぶつかってみれば、彼らは納得し、傷つくことなく素直に従うだろう、
と、そこまでエカテリナは読みきっている。
砂エルフの特殊な連絡網(地下空洞を利用した、音波連絡網)で、
明日にはウェモンが迎えに来ることが分かった。
昼間の荒野は、50度を超える暑さとなるが、
そういう時間は、砂エルフたちは日陰や洞窟でのんびりと過ごす。
湿度が低いので、さほど強くは感じない。
エカテリナは、部族の女たちから、独特の刺繍模様などを習いながら、ニコニコしている。
彼女は、体内に凄まじいエネルギーを封じているため、
そのわずかに漏れ出る余剰分が、生命活動を極めて高レベルに保っていて、
暑さ寒さにも、驚くほど強かった。
イキイキと、エネルギーに満ちた輝きが、さらに男たちを苦悩に引きずり込む。
恋は、障害があるほど燃えてしまうという。
明日の戦いに高ぶる男たちは、それゆえにエカテリナに執着してしまうのだった。
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