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復讐の女神「序章」
ギリシャ神話におけるその女神は、あまりに恐れられていた。
古代の人々は、うっかり本来の名を呼んでその目を引くことの無いよう、エウメニデス(慈しみの女神)と別名を持ってささやいた。
後代の神話では、アレークトー(止まない者)、ティーシポネー(殺戮の復讐者)、メガイラ(嫉妬する者)の三神の姿を持つとされたが、本来のその数は不定、役目もさまざまであり、謎の多い女神である(代表格の一つ、『義憤』をつかさどるタナトスが、日本では比較的良く知られている)。
その名は、エリニュス。
冥府に住み、頭髪は蛇、頭は犬、身体は炭のように黒く、コウモリの翼を持ち、血走った目をした老女の姿をしている。手には青銅の鋲のついた鞭を持ち、これで打たれた者はもがき苦しんだ末に死ぬと言われている。
ただタナトスは、裁きの女神アテナに諭された姿であると言われ、アテナに良く似たりりしく美しい姿をしていると言われている。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
心電図が安定した波形を描いている。
むしろ、不自然なぐらい変化が少なく、医師や看護婦たちも不安そうにその波形を見る。
そして、美しすぎる少女の、血の気の無い彫刻のような寝顔に、不安と痛みを感じて困惑する。
その目に精気が宿れば、どれほど心躍ることだろう。
柔らかそうな頬に、生命の血色が流れれば、誰もが微笑むだろう。
それゆえにこそ、痛ましいまでの青ざめた寝顔に、みな理由も無く心の痛みを感じていく。
エルフの血を濃く引くと思われる、細くなめらかな、芸術品のような耳は、人間以外の他人種を差別するリヴァールでは三級市民以下であることをあらわす。
それでもなお、二級以上の市民であるはずの見る者の心の痛みは去っていかない。
ましてや、彼女を心から愛した者たちの嘆きは、果てしない。
『吸血の姫君』とまで呼ばれた公爵夫人は、その手を震わせてそっとプラチナの髪をなで、
『冷血』と恐れられた軍情報局局長は、血のにじむほど唇をかみしめ、
『天災』とののしられ、憎悪される巨大コンツェルン会長は、冷え切った細い手を握り締めていた。
『鉱山王』と呼ばれる産業界の大物が、まるで子供のようにボロボロ涙を流しながら体を震わせていた。
エカテリナと呼ばれる、4級市民いわば奴隷階級に等しい娼婦の少女のために。
始まりは、悪意ある不慮の事故。
『影(シャドウ)』と呼ばれるリヴァール暗部に救う妖怪が引き起こした災難だった。
エカテリナを乗せた垂直離着陸機は、リヴァール南西部に広がる広大な砂漠地帯(ワイルド・ワイド・ウェスト)に墜落し、さまざまな困難の末、ようやく救い出されようとした。
だが、運命と言う物はどこまでも複雑に、執拗に絡み合う。
それはエカテリナと『影』の間に結ばれた、一つの宿命だったのかもしれない。
彼女を救い出そうとする動きは、巨大なうねりを引き起こし、それが偶然『影』の、穢れた底しれぬ闇にぶち当たった。
『闇』の恐れと激怒が、彼女のいたベンドンシティを狙い、強力な爆薬を満載した輸送機をつっこませ、丸ごと吹き飛ばそうとした。
リヴァールの名将と勇気あるパイロットの命をかけた行動、そしてその場にいた者だけが分かる何らかの奇跡が、それを阻止した。
その直前に、エカテリナは倒れた。
長い旅路の中、多くの男性たちと交わり、その中の誰かから命を授かり、彼女は心から喜んでいた。
命を宿すことは、彼女にとって最高の幸せであり、産み落とした赤子を抱くことは、自由を許されぬリヴァールで、自分が一人の人間であることの証だった。
それがどれほどの思いかは、おそらく彼女にしか分かるまい。
だが残酷にも、奇跡の代償は、赤子の命そのものだったのである。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
薄暗い室内に、心電図の音だけが無情に続く。
その片隅に、巌(いわお)のごとき巨漢が、静かに座っていた。
長い癖のある黒髪に、太い鼻筋としっかりした顎。太い眉はどこか優しいカーブを持っている。
体全ては鉄片をたたきつけたような筋肉の集合体であり、底知れぬ力を秘めている。
エカテリナが自ら選んだ愛人、そしてボディガードであるウェモン。
彼は、心の中で必死に呼びかけていた。エカテリナが目覚めるよう、愚かなほどにただひたすら、呼びかけ続けていた。
エカテリナの心が戻らないならば、自分もまたこの世にいる意味は無い。
だが同時に、彼女の魂を知る彼は、彼女の悲しみの片鱗も知る。
検査で、彼女に宿っていたはずの命が消えていることに、愕然とした。
その悲しみの闇がどれほどのものか、ウェモンは恐ろしかった。
エカテリナの所有者であり、母親代わりでもあるルイーデは、その特技である精神改造技術(マインドサイバネティクス)で、エカテリナの心中に何度も入ろうとし、絶望的な闇についに力尽きた。
『あたしには、何も・・・してやれない・・・すまないね・・・・』
鉄の女と呼ばれたルイーデが、声を湿らせ、そのまま倒れた。
彼女もまた、限界ぎりぎりまで、命がけでエカテリナを救おうとしたのだ。
凶暴なまでの『氣』が、彼の体中から噴き出してくる。
その『氣』を当てられるだけで、常人ならひっくり返るほどの代物だった。
心電図が止まり、様子を見に来た医師たちは、腰を抜かして二度と現れない。
心の中で必死にエカテリナに呼びかけ、呼びかけ、祈る。
だが、闇はそれすらどこまでも吸い込み、真っ暗に立ちはだかる。
声が押さえきれず、うめき、そして震えた。
『戻ってきてくれ、エカテリナ。』
いつしか、ひんやりとした手を握っていた。柔らかく小さな手。そして彼が己全てと引き換えても構わない手。
彼の灼熱の『氣』を浴び、ほんの少し暖かくなる。
もはや何も考えなかった。
ただ、彼女の体を温めたかった。
手をかざし、己の『氣』を込め、そっと腕を、肩を、胸を、腰を、足を、なぞっていく。
彼女の美しいまなざし、鮮やかな裸体、素晴らしい肌の感触、全てが脳裏に浮かび上がる。
それを、どれほど求め、どれほど愛し、受け入れてもらったか。
体中が針に刺されるような痛みを覚えた。絶望と言う名の針。
このまま全てが失われるなら、いっそ『狂ってしまおう』。
泣きながら、いとおしい唇にキスを繰り返す。
恐ろしく軽い身体をかきいだき、キスを繰り返し、その肌をさすり、撫で、狂おしく触れ続ける。
少女は、何と軽かったのだろう。
彼の腕には、重みなど無いかのように、軽々と抱かれ、人形のように彼の為すがままに身を任せた。
立ち上る香りが、今なお彼女の生を伝え、かすかなぬくもりはまだ彼女の命を残している。
だが、彼のキスも、優しい愛撫も、何も応えてはくれない。
初めて出会った時の、優しい手を、
背中にしがみついてきた、細い腕を、
彼の太い首に抱きつき、すりよせてきた胸を、
抱けば折れてしまいそうな、細い腰を、
柔らかく、美しい無毛の谷間を、
彼は、狂ったように貪り、抱きしめ、キスを繰り返す。
彼の指がかすかに痕を残し、キスのマークが花びらのように肌に散る。
まっ白な内股をなぞり、舐め上げ、その奥へ己の欲望のままに貪り、すする。
磨き抜かれた娼婦の肉体は、そんな悲しい愛撫にも応え、滴りを零し落とす。
軽々と抱えられ、彼の頭より高く上げられ、彼女の滴りを顔に浴び、その花びらを優しく舌でなぞり上げる。
柔らかな腹部に顔を寄せ、そっと頬を当てて、頬ずりをする。
彼女の腰を上に、頭を胡坐の中に入れ、濡れた秘所を何度も上から下まで狂いしゃぶる。
どれほど痴態を繰り返しても、エカテリナは力なく為されるままでいる。
そして、繰り返せば繰り返すほど、悲しみといとおしさはつのり、涙が止まらない。
「エカ・・・テリナぁっ!」
呻きが彼の痙攣とともに発し、激しい噴出が彼女の顔を汚し尽くす。
ビシャッ、ビシャッ、ビシャッ
『きゃあんっ、もうっ凄いんだからぁ。』
彼の暴れん坊の射精も、彼女は笑いながら受け止め、トロトロの顔を可愛らしく微笑ませた。
だけど、今のエカテリナはほほ笑んでも、怒っても、すねてもくれない。
「返事してくれよ・・・エカテリナ」
彼の手が彼女を広げ、狂い猛る男根はあまりに不似合いなサイズで、彼女を引き裂かんばかり。
だが、濡れた膣は優しく柔軟に広がり、恐ろしいほどの巨根もしっかりと包みこんでいく。
「エカテリナ、目を覚ましてくれ・・・エカテリナ・・・うっ、うっ、」
彼の動きも、狂ったような律動も、芯を突き抜けるような衝撃も、ただ彼女の体を揺さぶるのみ。
ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ、
彼の強烈な熱が、その胎内に深く突き刺さる。
身体ごとベッドを揺さぶられ、その細い腰を激しく押し上げられる。
尻肉を掴み広げられ、深く背後から突きこねられ、獣のように犯される。
ベッドはきしみ、うめきと脈動はあふれ、逆流し、なおも射精された。
朦朧とした意識の中、柔らかな粘膜をどれほど汚しただろう。
人形のような少女を、責め、貫き、浴びせ、犯した。
力尽きて、彼女を腹の上に乗せたまま、ヴェモンは意識を失った。
生命の渦が、少女の腹部を駆け廻り、おびただしい数十億の彼の分身は、そっと恥ずかしげに歩み出た彼女の分身を見つけ−−−−。
チュン、チュン・・・
鳥のさえずりが聞こえる。
とくん、とくん、
聞きなれた、温かい心音も。
とても満たされた感覚が、身体の芯を支配して。
朝の光がゆっくりと、青い目に染み込んでくる。
「ん・・・・ん・・・ん・・んん?」
パチッと青い目が開いた。
少し寝ぼけ気味の、優しく美しい顔。長いエルフの耳が、ピクリと動く。
「ん・・・・え・・・え・・・と・・・」
目の前にウェモンの顔がある。それはいい。ちょっと、いや相当ゲッソリやつれてるけど。
で、彼の裸の胸と、腹筋と、ええと・・・ち○こ・・・ボッ。
そこまで気づいて、真っ赤になるエカテリナ。
自分も、全裸で、彼の上に乗っていて、それで、それで、中に、まだ、彼が・・・。
あわててごそごそシーツを引きかぶり、しっかりと抱きしめられていて、身動きが取れなくて、何より彼のち○こがしっかり突き刺さっていて・・・。
露骨な自己表現に、ようやく頭がはっきりしてくる。
とたんに、生々しい感触が腹部をいっぱいにして、ずどんと腰から身体中に響いてくる。
きゅうっと、締まってしまう。
「あ・・あ・・・だめ・・ああんっ、」
そこへ朝の生理現象というか、ミキミキミキッと勃起してくる彼の逸物。
自分は締まり、彼は猛烈に勃起し、こすれる感触が体中を揺さぶる。
太腿が彼の腰を絞めてしまい、絞める動きが連動して彼の分身を締めつけて、それにびくびくと分身は脈打ち、腰が勝手に動いて、中がこすれて、当たって、痺れて、意識が保てないぃぃぃ。
「ええとね、・・・・」
腰がくねり動いてしまうエカテリナのすぐそばで、聞きなれた声がした。
「心配して朝一番に駆けつけてきた、あたしの立場はどうしてくれる?。」
「きゃあっ!、しっ、シアンっ!」
黒と赤のチャイナドレスで、褐色の艶やかな肌をした、親友の銀髪巨乳ハーフのシアン・ハルレインは、ジト目で腰が止まらないエカテリナを見ていた。
「ああんっ、シアンっ、み、見ないでえええっ」
真っ赤になって、涙すら浮かべながら、腰が動いて止まらないエカテリナ。
羞恥がむしろ刺激になってしまって、さらにあそこがジンジンしてしまう。
「朝からお盛ん過ぎるわよ、あんたらしいけど。」
「ご、誤解ですううっ。」
どこをどう押したら誤解と出るのか、いまいちわからない光景であるが。
「あらあら、朝からすごいわぁ。」
蜂蜜色の髪をした、しとやかな美人のベリナが、頬を染めてうっとりと見ていた。
「お姉さま、朝から濃いわねえ。」
ミルラ(猫族)の血を引く巨乳の若い娼婦、キャナル・ミレサが感心したように激しい腰の動きを見つめている。
「お元気そうで安心しましたわ。」
長い黒髪をなびかせ、砂の匂いのする皮の服をまとった砂エルフのファミは、本気であっけらかんと挨拶する。
「いやああああああっ、みっ、見ないでえええええええっ!!」
死にそうに恥ずかしいのに、快感がそれを助長し、もう、今にも達しそうになっている。
「どうでもいいけど、ウェモンそろそろ心臓止まらない?、本気で死相がでてんだけど。」
やはり砂エルフのジジャが、少々(?)心配そうにのぞきこむ。ちなみに胸の間がぱっくりと開いた、肉体を見せつける服装だ。
「ええええっ?!、だ、駄目、だだだれか止めてええええっ!」
ドビュッ
ちーん。
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