■ EXIT
カーニバル

VONVONVON

頭の中でドラムが鳴ってる。

今ヒットチャート急上昇の『Don,t worry』が、 大音量で歌いまくる。


「まったく、やかましい曲ですこと」
白地に黒いラインとリボンがたっぷりと飾られ、クリスタルが無数に揺れて光る。
ゴスロリドレスの女性が、形の良い眉をほんの少ししかめた。
ドレスが、極めて薄い特殊繊維で作られているため、 身体のラインがシルエットで見える。
マイクログラマとでもいうのか、小柄の割りに良くくびれたボディライン。
はっきりいって、裸よりいやらしい。

「ああ、だが下品な割りに頭に何か『来る』感じがしますね。」
つり目できつい美貌の女性が、応える。
スラリとしたスレンダーな身体つきに、ぴったりした粗い網目の素材、 黒光りする薄い皮が、乳房のごく一部を隠し、腰まわりは超ミニで太腿ギリギリに当てられている。

もちろん下着などつけていない。
銀の細いチェーンと、ひざ上まである黒の薄いスキンブーツ、 手には特殊な皮ムチが握られ、司令官クラスの軍帽を押し上げる。

「まあ、しばらくはランキングトップでしょうねえ」
公爵夫人は、優雅な羽扇で湧き上がる熱気をほんの少しそらす。
顔の左半分を隠す皮と宝石と羽の片仮面、 東の民が生み出したゆるやかなラインの服は、 漆黒の布地に、鮮やかな赤のコウモリが舞い、珠玉が作る果実の房に飛びつこうとしている。

太い帯が、身体の前で重なる布地を、おおらかにまとめていて、 歩くたびに白い素足がちらりと見えるのが、 ゾクリとするような色気をかもしだしている。

淡い暗がりの中、 回りには、無数の男女が、それぞれに狂気と退廃を練り上げた姿を作っている。
醜い腹を突き出した男もいれば、 極上の裸身に、腿まである白いブーツと長い手袋だけのサングラスの女もいる。

仮装を凝らし、物語の化け物を真似る男女、
身体中にペイントしただけの全裸の女たち、
局部を誇示する民族衣装を着けた黒い肌の男、

みな、それぞれの目的を探し、蠢いている。
時には、物影に進み、激しいあえぎと欲望に身を任すのもお望みしだい。

そして、明らかに最上級の客たちは、『何か』をひきつれ、誇示していた。

誇示するそれに、どれだけの人が群がり、目を引くかがこのイベントの目玉。

それらの参加者は、お互いの獲物を誇示し、 あるいは顔をあわせた相手のそれを値踏みする。

周りに群がる者たちの数が、勝敗を決する。

ただ、フェリペ公爵夫人たち三人のグループだけは、誰も近寄る事すら出来ない。
それほど彼女たち、いやその獲物に群がる数は多かった。

屈辱に歯噛みする他の参加者など目もくれず、 三人は己の手の先につながれた美しい獲物に、熱っぽい目を向け続ける。

銀のチェーンにつながれた、ゆっくりと這う白と金の姿。

金毛が身体の動きに合わせてゆらぎ、きらめく、 アナルから伸びる長く太い尻尾が、ゆっくりと、恥ずかしげに上下し、 彼女自身の意思を表すかのように動く。

青さすら感じる真っ白い内股は、キラキラと雫で光り、わずかに痕をつけていく。

深い蒼い目は、色情と快感に潤み、 喘ぎながら首につながれた鎖にしたがっていく。

「ん・・・、は・・・」
動くたびに、全身に走る痛みと快感。

極細の針が、肌に無数に刺され、 その先にクモの糸のような細い金糸が小さな房を作り、 彼女の一歩、一足にゆらぎ、きらめくのだ。

「あれが、エカテリナか」
「見てるだけでぞくぞくするわ」

ざわめきの中、エカテリナは黄金の獣となってゆっくりと這った。

無数の針が肌の動きに合わせて揺れ、 針の先の房が、人ならぬ獣を輝きで彩る。

淡く刺さった針を、落とさぬように、優雅に、そして淫らに動かねばならぬ。
エカテリナの動きに、観客の目は吸いつけられ、離すことが出来ない。

乳首にクロスする針が、極細の金鎖をつなぎ、クリトリスを貫く針と結ばれて、 血の混じった透明な雫を、次々とこぼしていく。

だが、その姿が闇にかかると、一変する。

素肌には、蛍光を発する無色の塗料が、繊細な筆遣いで描かれ、 暗闇に入ると、金の羽毛の下に、虎のごとき鮮やかな縞模様が浮かび上がる。

清楚な顔に、蛍光のくまどりが浮かび上がり、 魔物が欲望と淫乱に笑うように見える。
闇の中で唇の輝きが広がり、淫らに誘うようだ。

何より、縞模様は細い裸身を流れ、アナルと淫花に集中する。

エカテリナが動くたびに、ゴクリと喉のなる音がいくつもするのだった。


この夜は『カーニバル・ナイト』と呼ばれる。
狂気の趣味人たちの、退廃の夜だ。

己の肉奴隷、最低で最愛の獣を誇示し、競う夜。

昔、小さな乱交パーティの出し物に過ぎなかったそれは、 次第に狂気を争う者たちの欲望を吸い込み、 貴族や最上位階級の、ただれきった歓喜の夜となっていた。

エカテリナに群がり寄る男女は、激しい興奮に捕らわれている。

エカテリナの花びらから滴る蜜と、 針からかすかに漏れる血の匂い、 それがえもいえぬ香りとなって、男女を問わず興奮と欲望に引きずり込む。

「はあ・・はあ・・はあ・・」
エカテリナ自身、 無数の視線、それも焼け付くような飛び切りのいやらしい視線に、 身体中を嘗め回されているかのように感じ・・・、

・・・いや、無数の舌がすでに這いまわっている。
可愛らしい乳首を嬲り、鎖骨の妖しいくぼみを舐めあげ、 背筋をぞくぞくするぬらぬらがなで上げ、 白く可愛らしい尻肉に食い込むようにこすりつけ、 「うぐっ!」
アナルをほじり、こじ開け、
「んは・・・あっ!」
クリトリスを執拗につつき、
滴る甘い蜜をなめまわし、
濡れに濡れた淫花を無理矢理開こうと左右に力を加えていく。

灼熱化した視線が、そこまで彼女の意識を犯していた。

身体を震わせて喘ぐエカテリナに、 公爵夫人たちは、満足げに微笑み、愛しげに悶える獣をめでる。

エカテリナの予想以上の感じ方に、それに引き込まれる観客に、 彼女たちもエクスタシーに達していく。


コポッ

身体が動くたびに、胎内の奥から、熱い愛液が噴き出してくる。
白い尻がくねるたびに、あそこから噴き出した蜜が、滴り、零れ落ちていく。
人一倍敏感で、鋭い感覚が、 視線の熱を感じ、舌なめずりを肌に這わせ、貫きたい欲望に犯されていく。
『欲しい・・・欲しい・・・・あああんっ、ほしいいいいいっ!』

本能が、だれかれかまわず、身体の中に引き込みたい欲望となり、 欲望が、秘められた強大な魔力で活性化された遺伝子を動かし、フェロモンを数十倍の強烈さで作り上げた。
滴りの甘い匂いが、狂気を激しく勃起させていく。

4人の大柄な裸の男たちが、エカテリナの回りに立った。

「開放だ」
「時間だ、カーニバルの!」

ムラリと、熱気と興奮が渦巻いた。

勝敗と順位が決まり、「開放」と呼ばれる時間が来る。
臆病者は、そのまま奴隷を引いて立ち去っても良い。

だが、誰一人そんな事は出来ない。

鎖がプチリと切られ、乳首とクリトリスを刺している針が、 かすかな痛みとともに抜かれた。

金の鎖が、落ちる。
服が脱がされるように。


 奴隷の権利が解放される。
 観客たちに向って。


無数の手が、狂おしく伸びた。
やはり狂気を爆発させるのは、男たち。

群がる男たちの身体で、エカテリナの全身を覆う、超極細の針は、 花火のようにはじけ、飛び、砕け散った。

無数の手が、舌が、押し寄せ、ピラニアのように襲い掛かる。
白い肌に伝う汗、針の痕から滴る血、滴り落ちる体液、 バラの蕾のような唇が、群がる舌に犯され、 濡れた茂みが噛み切られ、クリトリスが蹂躙され、 粘膜が舐めつくされる。

「ん!、ん!、ん!、んん−−−−−−−っ!」

エカテリナの声が、三人の貴婦人の耳を打ち、 その声にあそこが濡れるのを感じる。
いとしく愛し、なお奴隷として虐げる。
無数の男女に嬲られる姿は、彼女たちの苦痛と快感を最高域に引き上げていく。

身悶えるエカテリナから、さらに甘い体臭が立ちのぼり、 無数のグロテスクな欲望が、さらに激しくそそり立つ。

ヒクヒクする身体、 女たちの唇が耳を嬲りつくし、だ液が血管の透ける耳をテラテラと濡らす。
人一倍感じやすい耳だけに、何度も、何度も、エクスタシーが走る。

男たちの欲望が、白く長い太腿を広げ、淡いピンクの襞を押し開く。

 グジュルッ
「くふうううっ!」

何度も愛液を吹いたヴァギナは、それに抵抗できない。
ゴツゴツした、たくましい感覚が、背筋を突き抜ける。
のけぞった身体の芯まで、深く打ち込まれた。

白い肌が激しく震え、あえぎが身体を悶えさせる。

可愛らしい乳首が腫れるほど吸いまくられ、 首筋やわきなど、弱い所全てを攻めまくられ、目の前にピンク色の火花が散る。

『はあっ、あああっ、そんなっ、だめえええっ!』

肌に散る無数のキスマーク、 肉を引き裂く強烈な律動、 はしたなく広げられ、痙攣する脚が閃く。

グジュッグチュッグジュッグチュッ

凶悪な律動が、音を立ててのめりこむ。

片足を引き上げられ、尻がむき出しにされる。
ぬらぬらと光るすぼまりに、押し込まれる亀頭。

ズブブブッ

「んうううっ!」

口に押し込まれたうめきが、くぐもって響く。
アナルが押し開かれ、貫かれる。唇が開かれ、喉まで犯される。

ズンッ、ズンッ、ズンッ、

容赦ない暴力に、のたうつ細い裸身。
痙攣を走らせ、さらに深みに突き進ませる。

ドビュビュビュビュルルルッ

「うぐうううううっ!!」
煮えたぎった精液が、中に浴びせまくり、出しまくり、 何度もエカテリナを突き上げる。
アナルの痙攣が、たまらず男を震わせ、暴発。

ドビュルルルルルルッ

「んん〜〜〜っ!!」
腰がくねり、のけぞり、競い合うように中にまき散らされ、 口から引き抜かれたペニスが、喘ぐ顔一面に浴びせかける。

「っふはああああ・・・・・・!」
群がる舌が、エカテリナの身体を清め、嬲り、すすりつくし、 中までこじ開け、痙攣させる。

「んうっ!、うううううっ!」
くぐもった声、閃く白い肌、群がる欲望に嬲られつくす様。

三人の貴婦人は、激しい感情に身をまかせ、身体を喘がせ、淫らで美しい表情をする。 自分たちが犯され、弄ばれているように、いや、それ以上の嫉妬、羞恥、羨望すら感じて、 忘れていた感情が、次々と彼女たちを悶えさせる。

いとおしい愛人が、目の前で陵辱され、その欲望に感じ、悶え、のけぞり、征服される。
無数の男女の生贄となり、あらゆる枷を解き放って、身体中を犯されつくす。
それは、ありとあらゆる快楽を尽くしてきた狂気の、行き着く先の快楽。

下賎な肉奴隷の姿と、いとおしさに狂うような愛人の痛み、 その落差だけが味わえる狂気の快楽。

これで壊れるような関係なら、しょせん彼らには価値は無い。
残酷で、無残で、狂った愛。


白い裸身が下ろされ、男に跨り、突き上げるペニス、その間に顔を埋め、愛液と精液をむさぼる痴女、陰嚢を刺激し、射精を促し、クリトリスを舌で嬲り、肌を波打たせる。
「いひっ!、ひっ!、ひあっ!、あああっ!」

飛び散る精液が、顔に、胸に、背中に、次々と浴びせかけ、
「ひぐううううううっ!」
ドビュルッドビュルッドビュルッ、

弾ける射精に、中から焼き尽くされ、 耳から、頬から、乳首から、滴り落ちる白い濁液。

女たちはそれをすすり、嘗め尽くし、 悶え狂うエカテリナの痴態を、さらに恥じらいに染め上げる。

悶え輝くエカテリナを、グロテスクな欲望が己の欲するままに、 貫き、突き刺し、蹂躙する。
「んうううんんんっ!」

入れ代わり、取り代わり、

女たちの舌と、唇と、指先が、汚されつくしたエカテリナを味わい、 弄び、陵辱する。

エカテリナの発するエロスを、あらゆる男女が貪り、己の快感を浴びせかけていく。

骨の無いかのように柔らかく、淫らで恥ずかしい様に広げられ、 穴という穴を嬲られながら、その輝きはとどまる事を知らない。

ぬらぬらと光る尻を高く上げ、アナルとヴァギナをさらし、 両方を貫かれながら、舌先がそれらを味わい尽くす。

挟み込まれ、今にも壊れそうな白い身体に、凶暴な欲望はとどまる事を知らず、 貪り、喰らいつき、輪姦し尽くす。
指先が亀頭を嬲り、舌先が先端を割り広げ、肉の襞が快楽の極地の蠕動に引きずり込む。

うめきと、あえぎと、濡れた穢れた音。

痙攣する肌に、また激しい射精が突入する。

「んうううううううううっ!!」


チャプ・・・チャプ・・・

朝焼けの空が、ぼんやりと瞳に写った。

虚脱し、意識を失っていたエカテリナが、ゆっくりと目覚める。

周りにいる三人の貴婦人。

わずかに腫れぼったい目が、寝不足の痕を残し、 湯の中に漂う真っ白い裸身を、いとおしげにそっと、そっと、なで続ける。

毛穴の奥までしみこんだような、精液とだ液を、 残らず流し落とすように、震える手で、そっと、そっと。

その優しい手に、まだしばらく身をゆだねたい。
同じ手が、昨夜以上の激しさで、エカテリナを蹂躙し、征服し、嬲り尽すのだ。
かすかに笑いながら、意識がまた途切れた。
次の話
前の話