■ EXIT
血の絆

娼艦エメラルドの寄港地カーミナック。
港の長い堤防、その先端に立つ青いドレス。
神秘的な輝きの青は、300メートル先からでも目を引いた。

『あんな所に人がいたか?』
エカテリナの愛人にして、ガード役のウェモンは、 エメラルドの甲板からちらりと視線を走らせた。
鷹の目にも匹敵する彼の眼力は、一目でそれが誰か気づいた。

ウェモンは、甲板に痕がつくほどの踏み込みで、 身体を宙に躍らせた。

「もし、お嬢さん。」
青いドレスをまとったエカテリナは、 娼艦エメラルドの方へ歩いていると、横から声をかけられた。

白いあごひげと深いシワ、 髪はほとんど白だがふさふさとして、 どこかライオンのタテガミのようだった。

服装はかなり質素で、灰色のズボンとシャツ、 そしてレンガ色のチョッキをつけていた。
「あなたは、もしかしてエカテリナとおっしゃるのでは?」
向き直ったエルフの少女、 小柄な愛らしい姿に、老人は目を奪われた。

青い海の色のドレス。 金色の柔らかそうな髪、蒼い深い瞳、温かそうな頬、 ほっそりとした肢体に、不思議な豊かさとエネルギーを秘めて、 海面の輝きを背に足を止めた少女は、 めまいを感じるような輝きを放った。

「はい、私はエカテリナと申します。」
優雅で美しい礼。
細い足首がどきりとするような色香を放つ。

「何か御用でしょうか?」
その時、エカテリナの細い腰を、 太くたくましい腕がさらい上げ、後ろにかばった。

「ウェモン?!」
「おかえりエカテリナ」
後ろも見ずにウェモンは応えた。
いつの間にか、老人の左右に黒服の男たちが立っている。
ウェモンは、老人の周辺に隠れて展開している戦力は、半端ではないと察していた。
「やめなさい。」
老人が静かに声をかけると、男たちは構えを解いた。
表情こそ動かさないが、びっしょりと汗をかいている。

彼らはプロだ。 即座に、自分と相手の戦力の差をある程度計ることができる。

そのイメージは、通商連合軍で使用されている最新型主力戦車M1−2の120mm滑空砲が、 裸の自分めがけて、洞穴のような口を向けている。 この恐怖に、戦力差のいかなる説明も不要だった。

ウェモンは涼しい顔のままだ。
彼は、戦力の比較がはっきり分かっている。
ただ一人、老人だけがぼやけている。つまりウェモンと技量はかなり近い。
だが、老人が戦う事はまず無いだろう。

「驚かせて申し訳ない。彼らは私のガードでしてな。」
「いやいや、あんたほどじゃあないから。」
ウェモンは警戒を解かないが、エカテリナはそっと腕を押さえた。
「ウェモン、だいじょうぶだから。長く留守にしてごめんなさいね。」

ウェモンは軽くため息をついた。
「まったくだ。どれだけ心配したと思う?。」

きつくは言わないが、温かい思いが痛かった。
そっとウェモンの腕を抱きしめた。

「ふむ・・・その方抜きと言う訳にはいかんのでしょうな。」
エカテリナが蒼い目を向けた。深く輝きのある目を。
「私は、ウェモンを心から信じています。」
老人はまいったという顔をした。

「自己紹介が遅れましたな。私はエルトリアム・フォン・ミキスニィ。 周りの者は単にエルトと呼んでおります。クラダルマの代表をやっております。」

エカテリナとウェモンの目が真ん丸く開かれた。
『クラダルマ』は、ウェモンですら知っている、 リヴァールの有名な反政府組織。

元は宗教団体だったというが、自然との調和を唱え、 リヴァールの上下差別や、異種族排斥運動に反対し、 異種族代表者との対話と、彼らへ参政権を与える事を主張していた。

リヴァールの現在の政権からもだが、 狂信的な一神教のロベニア教にまで目の仇にされ、 ついには地下に潜らざる得なかったのは有名な話だ。

その排撃の酷さは半端ではなく、 非人道的な拷問や殺人がなされたという噂が多々ある。

逆に『クラダルマ』が、麻薬や、修行と称して乱れた行いをしていた、 と言うニュースがずいぶん報道された。
これは誰も見たことは無いのだが。


「色々なニュースは聞かれたと思います。それについても、 いや、クラダルマそのものについても、ここでは触れません。」
賢者のような老人の輝く目が、ひどく悲しい色を帯びている。

「ただ、私は知りたいのです。あなたが産んだ子供の事を。」

「なぜ・・・?」

なぜ、この人はあのことを知っているのだろうか?。
反政府活動の重罪人たち10人と、フェリペの要望で肌を重ねた。
エカテリナは、彼らの思いを抱きしめ、自分の希望を込めて子供を宿した。
だが、それは誰にも知られぬ秘密のこと。

老人もまた、エカテリナの瞳の深い悲しみに気づいた。

「あなたが身ごもった男たちの中に、私の息子がいたのです。」

死刑囚たちは、エカテリナの情に深く感謝し、 自分たちの思いが、また世界につながる事に救われて、 静かに刑を受け入れた。

普通、死を前にしておとなしく受け入れる者はほとんどいない。
最後の最後まであがき、呪い、醜く見苦しい生への渇望を繰り返す。

それゆえに、静かな10人の態度に、最後をみとる神職も、 執行官たちも、ひどく感動していた。
彼らの言葉を、違反と知りながら外へ伝えた。
暗号で伝えられた言葉に、『我の血と思い絶えず』とあった。

誰かが、自分たちの血と思いを受け入れたと。
血を受け入れた以上、女性である事は間違いない。

死体の処理員たちも、静かな死に顔に驚き、 そして一人の腕に急ぎ掘られたらしい文字を見つけた。
『エカテリナ』
死体処理員にもクラダルマに連なる者がいた。

クラダルマの全力を上げた調査は、 ようやくエカテリナを見つけ出したのだった。

あの妊娠は、市民ですらないエカテリナにとって、 仮でも親権を得られる唯一のチャンスでもあった。

忌まわしいリヴァールの法制度では、 《市民管理扱い》つまり奴隷の赤子も親のランクによって、 破格の値段で取引されることが多々ある。
まして、親が超一流の娼婦であるエカテリナとなれば、 超一流サラブレッドの母馬に等しいあつかいだ。

事実、彼女の妊娠の噂だけで3人の弁護士が確認を入れている。

普通の相手で、彼女が身ごもった事を知られれば、 赤子は出産直後から、親権や所有権をめぐり、男女を問わず奪い合いになる。
エカテリナは自分の赤子を抱く時間すらない。

父親の存在しない子供を作るという、不条理な妊娠だけが、 所有者も口を挟めない、仮の親権を規定していた。

仮の親権はわずか一週間だったが、自分で世話をし、乳を与え、 親として抱いた記憶が、とてつもなく重く温かかった。

一人ぼっちで、過去の記憶すらないままこの世に放り出された彼女は、 自分の子供が欲しかった。
できることなら、何人も子供を産んで、 育てたいと切望していた。

ささやかな、ほんのささやかな温かい夢。 それすら得られないリヴァールの制度が、心の底から憎かった。

今は、あの子達が生きている、そう思うだけで温かくなる。
抱きしめた思いは悲しかったが、それが彼女の絆だった。

「エルトリアム様、あなたが何故ここに来られたのかは分かります。 ですが、それは私も同じこと。あの子達の母として、お教えする事は出来ません。」

多くの言葉は必要ない。

エルトリアムはフェリペにも尋ねたはずである。
エカテリナと死刑囚の関係が分かる力があるなら、当然のこと。

だがフェリペは一切を教えなかったはずだ。
『この世には知ってはならぬ事もある。』

思い余ったエルトリアムは、身の危険をおかしてまで、 エカテリナの前に現れた。
だが、それでも教えられぬ事はあるのだとエカテリナの蒼い目が語った。
エルトリアムですら、彼女の言葉に、不思議な威厳にうたれた。
市民ですらない《市民管理扱い》の少女に。

わずかに『あの子達』という言葉から、双子ではないかと推測し、 エルトリアムは、自分が知るべきではない事だと悟った。

「長く生きてください。いつか必ず会えますから。」

深い、思いのこもった言葉に、エルトリアムは思わず涙した。





その夜は新月。
全く月の無い、闇の夜。


船尾のデッキに、数個のカギつきロープがかけられ、 クモのように這い登る黒い姿があった。

夜番の船員が、あくびをすると、 鈍い音と共に、首ががくりと折れた。

催眠ガスが通風孔に流された。

『こんな簡単な仕事に、なんで俺らが・・・』
陸軍特殊部隊の隊長は、馬鹿馬鹿しげに心の中で舌打ちをした。

リヴァールには、“影(シャドウ)”という、 軍や政府に深く食い込んで、血をすする妖怪のような男がいた。

この部隊は、陸軍とは名ばかりの、“影”の私兵のような存在だ。
しかし装備は正規軍より贅沢で、“影”の直属ということが、 エリート意識になっている。

そんな彼らが、たかが下賎な娼婦の一人を仰々しくさらうなど、 プライドがひどく傷ついている。

だが、緊急信号が起こった。
『たっ、隊長、ターゲット逃走』

恐ろしい巨漢が、ドアをけり破った。
「ふはあああっ」

必死で息を止めていたウェモンが、大きく空気を吸った。
彼は全力で走っても、5分は息を止めていることが出来る。
エカテリナを抱いて寝ようとした彼は、通気口からする異様な音と、 エカテリナの『ガスよ!』という声に、彼女を毛布に包んで飛び出した。 エルフの感覚器は、人間の10倍以上鋭い。

二人の部屋を急襲しようとしていた4人は、不意を撃たれて跳ね飛ばされた。

甲板で襲って来た3人も、あっという間も無く吹っ飛ばされる。
ウェモンがわずかにガスを吸っていなければ、 即死していただろう。

『くそっ、身体が重いっ。』
普通の半分もスピードが出ない。

隊長は即座に特殊ネットを打たせた。
ウェモンも広がって襲ってくるネットに、瞬時対応が遅れた。

右に転がりのがれた鼻先に、手榴弾が落ちた。

『!!!』

後ろに隠れていたエカテリナの目に、 その光景が、スローモーションのように、写った。

広がるネットを避けるウェモン、 それに向けて、手榴弾を放る兵士。

ゆっくりとそれが、彼の前に落ちていく。

ピシッ
何かが、心の底で、裂けた様な音を立てた。
真っ白い意識が、恐怖を爆発させる。

彼が、死ぬ。

目が一瞬赤く染まる。

絶対に、出してはいけないはずのものが、 絶叫しようとする喉から、飛び出した。
エカテリナの理性が、認識すらする間もなく。
それは、不思議な音節。

ド・・・・ンッ

顔の前で腕を交差させたウェモンが、真後ろに吹っ飛ばされた。
殺人の破片のほとんどは、不可視の盾にさえぎられている。

彼が海に落ちる音と共に、 エカテリナが意識を失い、倒れた。








「なあ、いい加減あれと何を話したか、教えてくれねえか?」
暗い部屋の片隅にむけて、男の声がした。

汚れた金髪が激しく横に振られた。

クチュッ、クチュッ、グリュッ、
ズッ、ズブッ、ズッ、ズブッ、

裸に剥かれた肢体が、後ろ手に拘束され、 口には穴の開いた拘束具がはめられ、 跨らされた男が、下から膣を突き上げ、 後ろからアナルを貫かれ、 口を犯されていた。

不毛な陵辱が始まって、もう2時間はたっている。
彼らの質問は、エルトリアムと何を話したかだった。

だが、エカテリナは絶対にその内容を話さない。
吹き飛ばされたウェモンが、涙するエルトリアムが、 そして抱きしめた我が子の温かみが、激しい怒りだけを起こさせる。

「まあ、話したくなきゃ、俺らはいいんだぜ。男はいくらでもいるしな。」
下から突き上げている男が、さらに深くえぐりこむ。
「そうそう、いわなきゃあ俺たちは楽しめる。」

張り裂けそうに広がるアナルを、さらにこねくり回す。
「ううっ、それにしても具合がいいぜ、何回でも姦ってやるからな。」

うめきながら、腰を突き出し、エカテリナの口の中で震わせる。
「くひひっ、うめえか?。おうっ、舌使いなかなかだな。」

叩きつける律動が、身体の奥を壊すように犯し、 痙攣が中に走った。

ドビュウッ、ドビュウッ、ドビュウッ、

ゾクッ、ゾクッ、ゾクッ、
エカテリナの身体を、意思とは無関係の快楽が走る。
熱いほとばしりが、ひどく冷たく感じた。

口に差し込んでいた男が、引き抜き、顔や髪に浴びせかけた。
ドクッ、ドクッ、
美しい金髪が、ひどく汚され、目が開かぬほどかけられる。

下からなおもグチャグチャと突き回されながら、 後ろから叩きつける。

ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、

アナルの奥まで、吐き気のするようなしたたりが飛び散った。

どんな相手としても、性の喜びだけは感じていたエカテリナも、 こいつらだけは、許せなかった。
自分の身の上より、ウェモンのことだけが心配だった。


隊長があきれた事に、屈強の男8人でも回復が間に合わない。
「おい、ちとそのへんでチンピラ集めてこいや。」

6人ほどのごろつきたちは、エカテリナの様子を見て、変な顔をした。
『エルフ女の教育』と聞いて、弱い物をいたぶれると来たものの、 それこそ後ろ手に縛られ、口には拘束具をはめられた細い少女。 しかも、えらく強そうな男たち8人がぐったりしている。

「おい、ここまでする必要があんのかよ?」

隊長は、エカテリナに抜かれて、頭が回りにくくなっていたのか、 異常な光景に、ごろつきたちが警戒するのを忘れていた。

ヒュッ

声を上げた男の頭の横にナイフが突き立つ。
「だまって姦りゃあいいんだ。」


「お嬢ちゃん、かんべんな。」
ほんのわずか良心がとがめながらも、エカテリナの口に突っ込もうとした男は、 逆にするりと飲み込まれて、驚愕した。

それまでの憎んでいた相手ではないと、 エカテリナは水を得た魚に等しい。

積極的に頭を動かし、喉をくねらせて、男のエクスタシーをぐんぐん引きずり出す。
「おあ・・か・・く・・・」

あまりの気持ちよさに、全身をひきつらせている。
その上、一心に奉仕するしぐさから、ふと目が会うと、ニコッと微笑まれ、 もはや抵抗のしようが無かった。

「き、き、気持ちよすぎるううううううっ!」

ドビュルルルッ、

快感の灼熱が喉の中にはじけた。

「んっ、んぐっ、んぐっ、」
喉を鳴らし、すすり上げながら、飲み込みながら、 口の中のご奉仕は、さらに強烈にからみつく。

生唾を飲んだ男が、尻を掴もうとすると、 プリンとした真っ白い肉が、もじもじと突き出される。

大量の精液でドロドロだが、なめらかに入り込めたかと思うと、 「うおおっ、こっ、こりゃあっ、」
ニュルニュルとよく鍛えられた膣の肉、抵抗とからみつきで押し返されそうだ。
ねっとりと、そしてザラザラした感覚と共に、肉が、襞がまきつき、絞めつける。
とてもグチャグチャに犯された女とは思えない。

無理に押し込むと、自分が先にいってしまう。
だが、その快感に耐えられるわけが無い。
ぬめる肉の中に、自分の全てを埋没させたい、 その欲望に狂って、腰が激しく突きあげる。

口にも次の男が押し込み、その快感は一人目と変わらぬすごさで、 甘く、切なく、絡み付いてくる。

白い身体が、蛇のようにくねり、 押し込んでくる男たちを、存分に味わい、締め上げ、絞り上げる。
先ほどまでの苦痛は、美しい額から消え、 上気した頬が、快楽にあえぐ肌が、輝く色合いを帯びてくる。

「もう、だっ、だめだああああっ!!」
「すげえっ、すげえええっ!!」

ドビュッドビュッドビュッ、
ドクンッ、ドクッ、ドクンッ、ドクンッ、

喉まで深くディープスロートされ、すすり取られる快感の中に、 残らず射精しまくった。

チューブを絞り上げられるように、ペニスが快感全てを引きずり出され、 子宮めがけて、浴びせかけるように射精しまくった。

「んふううううんんっ!!!!」

それまでとちがう、快感に、喜びに、耳からゾクゾクするような甘い声。
他のごろつきたちも、今にも破裂しそうだった。

群がり寄る男たちに、エカテリナは優しく身体を開いた。
腕はつかえなくても、恐ろしくしなやかな身体と、 最上の肌が吸い付くようにからみつき、 柔らかなふくらみが、愛しげにこすれると、もうたまらない。

男たちは狂ったようにエカテリナを貪り、エカテリナも男たちを貪り、 快感の至福が、何倍にも膨らんでいく。

何度か、ごろつきたちは拘束具を解いてやろうとしたが、 殴られるやつまで出た。
エカテリナは殴られた男に優しく見つめ、そっと首を振る。

そして不自由な身体のまま、さらに喜び合おうと微笑んだ。


「ぐ・・くそ・・・」
ぐったりしていた連中から、思わず歯ぎしりと罵声が漏れる。
悔しさとねたましさが、ギリギリと刺さってくる。

彼女の愛情を向けられたものが、どれほど悦楽の高みに上るか、 満たされる快楽が、切ないほどの輝きを放ち、魅了する。

「んんっ、んふうんっ、んはあっ、んふうんっ、」
甘い蕩けるような声、 その声にあわせて、ほっそりした身体は恐ろしい豊かさで男を高まらせる。

アナルの蠢きになめらかな背中をいとおしげになで、 くねり動く肉洞に、無我夢中だ。

膣を貫くたびに、甘くみっちりした快感が、 汁をしたたらせ、吸い付き、締め上げる。
その上くねる肌のしっとりした味が、さらに切なさを高ぶらせる。

深く、浅く、深く、浅く、 エカテリナの舌先が指揮する動きにあわせ、 動く金髪を優しくなでながら、時折深く喉まで押し込んで、 開放される快感が、今にも爆発しそうになる。

ごろつきたちの満たされきった顔が、殺意すら掻き立てる。
それが得られなかった隊員たちは、恐ろしくみじめだった。

「すげえっ、すげえっ、あんた最高だあっ!!」
「おれっ、生きててよかっあああっ!!」

涙が出そうなぐらい悔しい。

ようやく復活した一人が、アナルを責めている男を突きのけ、犯した。

「うっ・・・・」
エカテリナの身体がぐっとしなり、尻肉がもこりと動いた。
「ひぎぃ!!」
ビュビュッ、 ほとんど刹那的な快感の直後に、紙風船がはじけるような射精が起こった。
しかも、お尻がもこもこっと動き、食いちぎられそうな痛み。

「いてえっ、痛ええええっ!」
ビュッ、ビュッ、ヂュッ、
搾りに搾り取られ、ようやく抜けた時、男は半死半生で転がりまわった。
ペニスの根本が内出血を起こしている。

ごろつきたちが笑いを押し隠し、それがまた殺意をあおった。


ごろつきたちは追い出され、 先ほどアヌスを犯した男は、エカテリナを吊り下げて、ヒザの間に長いポールをはめた。
あそこがむき出しになり、散々射精された精液が吹き出して来る。

黒い小型のバッテリーが出され、ぎざぎざのクリップが火花を立てた。
だが、エカテリナは冷たい目のまま、蔑みの色も変えない。

「ぐ・・・」
クリップの片方が、柔らかいサクランボのような乳首を、 ギリ、と挟んだ。血がにじみ、蒼い目が潤んだ。

もう一方を、容赦なく、赤く膨らんだクリトリスに噛ませた。

「・・・・・!!」

バチイィッ

ビクビクビクッ

「どうだゴラァッ、思い知ったか、このくそあまがあっ!」

拘束具をむしりとり、泣き叫ぶ事を期待した耳に、 「それだけ?」 軽蔑しきった声が、ずぶりと刺さった。

エカテリナは、超サディストのサーニャに、 この手のプレイも仕込まれつくしている。

「もういい、さっさと終わらせるぞ。」
かっとなって、ナイフを振りかざしかけ、別の隊員に押さえられるのを、 横目で見ながら、隊長は自白剤の無針注射器を取り出した。
ひどくイラついた声だった。
男としてのプライドはぺしゃんこに潰されている。

強力な自白剤は、毒性が強く、 致死量でなくても精神崩壊ぐらい起こしかねない。

プシュッ

だが、打ち込まれた自白剤は、効かなかった。
エカテリナは記憶こそ失っているが、 元はERの中心ラングレー王家の一族。

常に毒殺の危険性をはらむ彼らは、 骨髄に直径一ミリほどの解毒用マイクロマシンを大量に仕込んでいる。

ただし、これは緊急用で、毒性の強い薬物に対してのみ発動し、1度しか効果が無い。
呆然とする隊長の注射器を、先ほどの逆上した隊員がうばった。

「こんなくそ女、殺せばいいんですよ!!」
致死量の10倍の自白剤が打ち込まれた。

次の話
前の話