■ EXIT      
妖(あやかし)その2

□□□□□ 寄港地カデューリィ □□□□□
エカテリナの乗った娼艦「エメラルド」は、 寄港地であるカデューリィの港に入った。
まだ失った子供たちへの思いはあるが、 何か吹っ切れたように、エカテリナは上陸を希望した。
元々エルフは森の子であり、山や森に触れると元気が出る。

「し、しかしエカテリナ様、現在カデューリィには問題がございまして・・・」
船の支配人であるボビュリス・アンドは、本気で心配していた。

傲岸不遜(プライド高く、なまいき)を絵に書いたような男だったが、 エカテリナにはそれこそ土下座でもしかねないほど頭が低い。
エカテリナが技術指導員として乗船すると知った当初は、非常に不機嫌な顔をしていた。

『ルイーデの館のトップか何か知らんが、たかがエルフの商売女じゃねえか。』
支配人として船と女たちを取り仕切ってきたボビュリスには、 ルイーデの命令とはいえ、自分の腕を疑われているような気がして、 ひどく腹立たしかったのである。

『女は最初が肝心だ、ガツンとやってやらなきゃあな。』
彼女にプレッシャーをかけようと、 ひときわ目をぎょろつかせて、車から降り立つ白いドレス姿に歩み寄った。

「あんたがエカテリナって・・・・」

声をかけようとして、言葉が途切れる。
何かが間違ったような気がした。

心臓がドキリと大きく鳴った。

エカテリナがにこっと笑いかけると、 ふんぞり返っていたはずのボビュリスは、引き込まれるように腰が砕け、 思わずその蒼い目に見入ってしまった。

ふっと、この世のものとも思えぬ柔らかい香りと甘さが、唇を包み、 艶かしい左手がシャツの上から肋骨をさわさわとなで、背筋が凍りつく、 細くしなやかな中指がペニスの上を、つうと伝い降りて、灼熱の快感を走らせる。
柔らかい指先が、金玉をコロコロと撫で回すと、理性はどこかへ行ってしまった。
脳髄が沸騰する感覚が、全身を駆け抜けた。

気がつくと、魂を抜かれたように座り込んで、 射精直後の生ぬるい感触が下着の中に広がっていた。

「技術指導員エカテリナです。ボビュリス・アンド様、よろしくお願いしますね。」
言霊(ことだま)とでも言うのだろうか、 静かな言葉の中にある、魂を震わすような力。
思わずボビュリスは、深々と頭を下げていた。

それ以来、ボビュリスはエカテリナに頭が上がらないのである。

ボビュリスの説明によると、 ロンザ自治区にあるカデューリィでは、 最近オークの群れが頻繁に出没し、あちこちの山村や旅人が襲撃をうけていた。

悪名高いリヴァールの他種族排斥政策において、利用価値の無くなったオークは絶滅対象種に指定されている。
だが、異常な繁殖力とたちの悪いずるがしこさで、 ゴキブリのようにしつこく涌いて来る。

これまでオークの出た話はこの辺にはなかったのだが、 急に襲われ始めて、対策が間に合わないらしかった。


DORORORORORORO・・・・

身体を震わすような重低音が響き、 巨大なランドクルーザータイプの、四輪駆動車"ベヒモス”は、 ひさしぶりに400馬力を超える強力なハイブリッドエンジンを咆哮させ、 エメラルドの横腹から飛び出した。

装甲車並みの強度を持つベヒモスと、 人間兵器のようなウェモンがいるのだから、 エカテリナは少しも心配は無かった。


二人を乗せたベヒモスが港を出るとほぼ同時に、 一台のげばげばしい黒と金の高級サルーンが、エメラルドに横付けした。
「これはリカルディ子爵さま、良くぞおいでに」
この地域の領主とも言うべき中年の男性が降りた。



□□□□□ 交錯するもの □□□□□
冬の始まりだが、小春日和のいい気候だった。
くねりうねりの多い山道を、存分に楽しみながら、 二人はドライブを楽しんだ。

道のわきの林の中に小さな滝を見つけ、そこで一休みをしていると、 田舎道に似合わぬ無骨で大型のトラックが、猛スピードで走り抜けた。

ベヒモスは林にすっぽり入っていたため、 トラックの運転手は全く気がついていない。

だが、その風に舞い上がる匂いを嗅いで、 エカテリナは顔色を変えた。

皮膚があわ立つ、気分が悪くなる。
『オークの匂い?!』








『いやっ、やああっ!』
誰もいない朽ちた小屋、 さらわれて、ほこりまみれの床に投げ出され、 細い脚を折れそうなほど強く握られて、 無理矢理開かれるあそこに、乾いたまま痛みがねじ込まれる。
『ひぐううううっ!』
のしかかってくる醜い顔と、太った巨体。
痛みが、深く、奥まで押し込まれ、 嫌悪と痛覚が、エカテリナを切り裂いた。

『ウェモン・・・たすけ・・・て・・・』
割れ目だらけのテーブルに四つんばいに縛られ、 桃色の尻を激しく叩くように、オークの腰がぶつかってくる。

グチュッグチュッグチュッズブッズッズブッ、

豚のような声を上げながら、狂おしく粘膜の奥へ叩き込み、 時折激しく震わせては、濃い体液が中に撒き散らされる。
そのたびに、絶望そのものの嫌悪が身体中に広がり、 白い肌が紙のような白さになる。

おぞましい、怖い、しかし何より恐ろしいのは、 身体がしだいに激しく反応し出していること。

次々とバックから、異常に発達したペニスが突っ込まれ、 臭い体液を、子宮いっぱいに射精し続ける。
射精されるたびに、身体がむずがゆく、そして痺れるような感覚が、 快感が、理性に反して走るのだ。
蒼い目を涙で曇らせながら、エカテリナは自分の堕ちて行く恐ろしさに震えた。


『だめ、もう・・・堕ち・・・』
その後、妊娠した身体に強烈な媚薬を嗅がされ、 メロメロになって、いつしか何人もの男性と交わっていた。
ひどく発達した陰茎、凄まじく絶倫の精力、 前にも後ろにも、激しく突き上げられる感覚に、 溺れて、悶えて、しゃぶりぬいていた。


子宮をこじ開けられるかと思うような突き上げ、 アナルから串刺しにされそうな突入、 生臭い精液も、欲情に乱れきったエカテリナには、 興奮の媚薬に等しかった。

お腹の赤子に謝りながら、快楽に溺れきって、 快楽に堕ちきったエカテリナは、何度も、何度も、 胎内いっぱいにその射精を受け止めた。
そして、鏡が目に写ったとき、その男性はオークだったことに気づかされた。
堕ちたエカテリナは、もはや声すら上げないまま、 ただただ、激しく腰を振り続け、空っぽのまましゃぶり、飲み干していた。







何度も何度も、オークに嬲られた身体が、 そのときの強烈な体感と恐怖、そして被虐の刺激を思い出させる。 身体が覚えてしまった匂いは、忘れようが無かった。
それも、かなりの数の匂いだった。

なぜ、こんなに多数のオークが?!。

「どうした?、顔が真っ青だぞ。」
ウェモンが本気で心配する。

「今のトラック、すごくいっぱいオークの匂いがしたわ。」
エカテリナはウェモンには隠し事をしない。
たとえそれが、どんなに不都合なことでも。

ウェモンが小屋に飛び込んだとき、 台にうつぶせに縛られたエカテリナは、 愛らしい唇を裂けそうに広げられ、のどまで犯されていた。
バックから、柔らかい真っ白な尻肉を、汚い指で広げられ、 あふれる膣をさらにこねくられ、子宮めがけて射精されていた。

か弱い白い裸身が、無残にドロドロで汚され、今なお汚らわしい体液が、 激しく注ぎ込まれ、痙攣していた。 ちらりと、その無残で淫靡な光景が浮かんだが、 ウェモンは表情一つ変えなかった。

そんな事では、エカテリナの価値に傷一つつきはしない。

「こんなところでか?」
二人は同時にいやな予感がして、 トラックの来た方向へベヒモスを急発進させた。



その直後に、滝つぼの中から、白い一つ目がキョロリと光った。
揺れる水の中で、二人の会話をじっと聞き入っていたそれは、 黒い妖しい影となり、タコのように泳ぎ出ると、弾丸のように流れの中を走った。

川辺の小さな、ほんの数戸の村が、 煙と血の匂いで満ちていた。

「ひどい・・・」
足跡と被害から、かなりの数のオークに襲われたらしく、 老人ばかり15人ほどの村人は全員殺されていた。

「へんだぞ、とどめがさされてる。」
殴られた村人の胸に、『ナイフ』とおぼしき傷があった。
オークは大きな武器を好み、小さなナイフなど使わない。
ましてや、心臓にとどめを刺すような面倒なことはしないのだ。

おかしなことはもっとあった。

オークは金ぴかのものは欲しがるが、紙幣や小切手などは一切興味が無い。
だが金庫がバールらしきものでこじ開けられ、 その手の現金類が盗まれているのを見て、二人はすぐに悟った。

「さっきのトラックね」
「ああ」


ドドドドドドドドドドド

40度を超える急斜面を、 猛獣のようにベヒモスが駆け下る。

トラックがスピードを上げていたとはいえ、 道のない山肌を、一直線におっかけるベヒモスからはのがれられない。

それらしきトラックを見つけ、エカテリナが風の匂いを確認した。

距離を置いて追跡する二人の前で、 トラックは大きな門の中に消えた。

精密ナビゲーターで確認する。
そこは、領主のリカルディ子爵の館だった。


□□□□□ 領主 □□□□□


「5年前かな、子爵さまの屋敷で大きな火事があってよ、 それからだな、人が変わったようになったのは。」

まだ夕暮れにも遠い時間だが、不機嫌そうだった酒場の亭主は、 高級酒の首を人差し指一本で弾き飛ばし、一気にあけたウェモンに感服した顔で話した。

元々は情け深く、領民にも慕われていたが、 火災で顔に大火傷をおい、家族も全滅してからは、 ひどく冷酷でむごい人間に変わったらしい。

昨年からオークが出没し始め、その対策費として税金を上げたりしているが、 それでもオークに襲われる家や村が、ちょくちょく出ているという。

「ひどい話ね。」
ベヒモスに戻ったウェモンから話を聞き、 エカテリナは表情を消した顔で、ひと言静かに言った。

オークを使って領民を襲い、対策費までせしめるというのだから、 これはもう鬼畜の所業だ。
エカテリナの陶器のような表情を消した顔が、 ウェモンにはひどく怖いものに見えた。



エメラルドに戻ると、船の中はひどく騒がしかった。
「リナねえ、パーティだよおお。」

ミルラ(猫族)ハーフで姉のようにエカテリナを慕っているキャナル・ミレサが、 飛びついてきた。
話を聞くと、領主がエメラルドの娼婦たちを検分にきて、 パーティを行いたいので、娼婦たちをまとめて借り出すと言ってきたのだ。

ただ、かなり下品なパーティらしく、 相当な金額が上乗せされて、支配人は舞い上がっている。
ウェモンは一瞬顔色を変え、そして元に戻した。
エカテリナは、ひどく静かな表情で微笑んでいたからだ。

『こりゃあ、すごく怒ってるな・・・』

彼女は車の中で村を振り返り、深く祈っていた。
領主が相手では、下手に通報しても、逆に疑われかねないだろう。
だが、黙っていられるエカテリナではなかった。


ウェモンの反対を押し切って、 エカテリナはパーティのメンバーにもぐりこむことにした。
せめて領主がオークを使っている証拠が欲しいというのだ。

リヴァール連合は、かなり各地の自治も広く認めている。場所によってはエルフにたいして寛容な自治区もあるほどに。
しかし、一般市民に対する虐殺や悪辣な政治には、厳しい査問がある。
リヴァールが連合化した理由の一つが、 あまりに頻繁に繰り返された小国同士の戦争の防止であり、 虐殺や悪辣な政治は、極めて引き金になりやすかった。

逆に中央政府としても、虎視眈々と自治区を潰す機会をうかがっている。
自治区を潰せば、それだけ中央政府の統治領が増えるからだ。

証拠を中央政府に送れば、領主といえど無事にはすまない。

ただし、彼女が素顔で行っては、回り中に男性が押しかけ、 それこそ動きもならないだろう。

エカテリナは、化粧のテクニックを駆使し、 ソバカスが多い下膨れの顔に仕立てて、着付や演出の手伝いとして紛れ込んだ。

不安でたまらないウェモンは、巨体に似合わず、恐ろしく身が軽いので、 当日館に忍び込むことにした。

口論と討論で、二人は遅くまでおきていて、 その日は二人でゆっくり風呂に入ると、のぼせる寸前の状態で出てきて、 すぐに寝てしまった。

二人が寝静まった頃、窓の外にキョロリと、白い目が光った。
窓枠に張り付いていたタコのような黒い影が、海へと飛んだ。

もちろん、誰一人それに気づくことはない。


□□□□□ 夜陰の闇 □□□□□

パーティ当日、夕暮れ時に無数の灯火がともり、 館の中は、巨大なキャバレーと化した。
招かれた周辺の実力者や、役人のお偉いさんたちが、 裸同然の娼婦たちを追っかけまわし、娼婦たちは嬌声を上げながら動き回る。

「おい、おめえこんな所で何してるんだ?」
柄の悪いガードマンが、 困った顔でうろついているエカテリナに粘っこい視線を向けた。

ガードマンは、パーティがあっていることは知っている。
馬鹿馬鹿しくてやってられないと、少し酒も入っていた。

入城時の化粧を少し落としていたエカテリナは、 ソバカスの可愛らしい娘に見えた。

「あの、部屋はどこでしょうか〜、お城が広いので迷ってしまって・・」
(度のない)メガネをかけて、無防備に困った顔をする少女に、 にやっといやらしい笑いを浮かべ、 ガードマンは送ってやるからこっちへ来いと引っ張った。


『ちょっ、ちょっと来ねえか?、すげえうめえ話が、おうっ!、たまんねえっ』
こういう怪しい通信を入れられて、 じっとしてられるほど、お行儀のいい警備員はいない。

控え室で襲うつもりだった男は、 逆にエカテリナの指使いに捕らえられ、思わずのけぞった。
嬉々としてペニスを咥えられて、舌先がぬるると亀頭をもてあそぶと、 頭を抱えてのた打ち回った。

「まだお姉さんに習ったばかりでぇ、もっと練習をしなくちゃいけないんですぅ。
ですからぁ、ほかの人にも手伝っていただきたいのですがぁ?」

横笛を吹くように、膨れきったペニスをもてあそび、 指先で裏筋をさわさわと刺激されて、 男はエカテリナのお願いにぶんぶんと首を振った。
血はすっかり下に行っている、頭に判断するだけのそれは残ってなかった。


普段のエカテリナなら、相手も自分も興奮を高めあうようにもって行くが、 今日は容赦なかった。

「ああんっ!、ほらっ、ドレスを汚してぇっ、興奮しちゃうからぁぁっ!」
強烈な口技、指技を駆使し、 両手と口に咥えた男を、搾り出させ、すすり上げる。

妖しい笑みを浮かべて、男を誘い、 ドレスの奥の淡いピンクの薄闇にのめりこませ、 激しく腰を振りながら、 ドレスの乱れから、真っ白い肌の魔性を見せ付けた。


膣壁がきゅううっと締め付け、 下になった男は、白目を向いて射精をほとばしらせた。

わずかな時間で5人の警備員全員が、下半身むき出しの哀れな姿のまま、 絞りつくされて部屋中に転がっていた。

「うふふ・・・ごちそうさま。」
手のひらに残った精液をぺろりと舐め、 服や髪の汚れを軽くぬぐうと、奥の人のいない方へ進んだ。

ドレスはかなり汚されているが、 パーティがパーティなだけに、 女性がきちんとした格好をしている方が怪しまれる。

エルフは元々夜目が効く。
エカテリナも暗い駐車場の奥にコンテナを載せたトラックを見つけた。
壁にかかったキーは、トラックのメーカーのものだ。
ボタンは4つ、エンジンと、ドアと、荷下ろし用と、コンテナの扉用。

だが、コンテナはひどく静かだった。
「ここにはいないのかしら?」
扉の鍵を開け、そっと覗き込もうとして、 毛の生えた腕が、中からどっと何本も飛び出した。

『え・・・っ?!』
悲鳴を上げる間もなく、エカテリナはコンテナの中に引きずり込まれた。


彼女は忘れていたが、 豚のような顔をしているオークは、 目はさほどよくないが、発達した鼻や耳は異常に鋭い。
エカテリナがオークの匂いに気づいたように、 オークたちも、一番のメスであるエルフの匂いに気づいていた。
オークたちは息を潜め、彼女が近づくのを本能的に察知していたのだった。



ゴゥッ

3メートルの壁のはるか上を、黒い影がふわりと飛んだ。
黒の圧手の胴着をつけたウェモンが、 まるで体重が無いかのように音も無く降り立った。

見回りのガードマンの動きを、見もせずに察知しながら、 人のいないほうへ回り込み、林の中を抜けようとして足を止めた。

『ゲッ?!』
林の中にぽつんと開いた空き地があり、その真ん中に小さな墓石らしいものが立っている。
その前の木に、誰かが首をつろうとぶら下がりかけていた。

自分が侵入していることも忘れ、 瞬時に15メートル先の木に移動した。
瞬間動作法という、達人クラスの驚異的な高速移動技である。


手刀が太い枝をスパリと切り、 枝と人が同時に落ちた。

自殺しかけていたのは、白髪の男だった。
男が呻きながら起き上がる。
月明かりから見て、どうやら館の執事らしい。

「し、死なせてください!」
泣きながら身悶えされ、あわてて首筋に指を当てると、 執事はふっと気を失った。

『今の声を聞かれたかもしれない。』

林の中の声は、意外に遠くまで通る。
執事を担ぎ上げると、急いで館へ走った。

だが、執事は意外に鍛えた身体をしていたらしく、 空き部屋らしい場所にすべりこむと、すでに目を覚ましていた。

「あ、あなたはいったい?」
「まあ、なんだ。今日のパーティのつきそいだ。」
自殺しようとした人間に、口止めも不要だろうという気がした。

急に男の目に憎悪が沸いた。
「あなたも、あれの知り合いですか・・・・助けられなければ良かった!」

『あれ』という言葉に、館の主人を指しているようなニュアンスである。
「違うよ、大事な女のつきそいだ。万一があったら、俺が死んでも死にきれん。」

この執事もなかなか鋭い、『女』という言葉に『娼婦』の意味を察した。
呆然とした顔をする。
「まあ、できればしばらく黙っていてくれ。パーティが無事に終わったら帰るよ。」

だが、部屋を出て行こうとしたウェモンにぞっとするような声がかけられる。
「言いはしませんよ、こんな偽者の領主なんぞに。」

「なんだって?」



□□□□□ 魔宴 □□□□□

「キャアッ!、やああんっ」
「えっちいいいっ、あははは」
透けるビキニと過剰な羽飾りをつけられた娼婦たちが、 脂ぎってのぼせ上がった男たちに嬌声を上げながら、 イルミネーションの光の中を動きまわる。

水着の代わりに、風船をたくさん身につけて、 それを葉巻で割られながら、逃げ回る女もいた。

暗がりの隅では、すでに押し倒されて、激しく絡み合う男女もいくつもあった。

明るいオレンジの髪が激しく揺れ動き、 猫舌のザラザラが、亀頭の裏側をザラリと舐め上げると、 うめき声とともに愛らしい顔中に生臭い精液をぶっ掛けられる。

ミルラ(猫族)の血を引くキャナル・ミレサは、 まだ若いが肉感的な身体で、3人の男に取り巻かれて、 88の胸を吸われ、引き締まった腿や尻を執拗に嘗め回されていた。

エカテリナに教わった技を思い返しながら、 自分から腰を動かし、胸を押し付けて相手の顔を豊かな谷間に挟み、 さらにのぼせ上がらせる。
猫科のしなやかなラインが、男たちを自在に責め返していく。

『リナねえにほめてもらえるかなあ?』




「うぐっ、ぐっ!、うっ!、ううっ!、んうううっ!!」

ドクンッ、ドクッ、ドクンッ、ドクッ、

組み敷かれた身体が、強く突き上げられ、情け容赦のない射精が胎内に撃ち込まれる。
びりびりに破かれた服が、暗闇にはかなく散らばり、 白い裸身が、臭い獣じみた身体に引き裂かれ、責め立てられていた。

蒼い目が白く光る。
深々と膣に突き刺さって、濃い精液をぶちまけたゴツゴツしたペニスが、 さらにえぐり、突き上げ、エカテリナを穿っていく。
「うぶっ!!、んっんっ、んぐふっ!、ゴフッ!、んううっ!」

猛烈な射精が口にあふれ、喉がむせて咳き込む。
万力のような手でつかまれ、広げられた脚がびくびくと震えた。

猛烈な匂いと苦い味が口から喉を逆流し、愛らしい鼻へ抜ける。
飲みきれない精液が、唇から喉へだらだらと伝い落ちる。
顔が押し付けられ、さらに喉を犯されて、細い肩がのけぞり、わななく。

膣が焼けるように激しく突かれ、こねられる。
豚のように呻きながら、のたうつエカテリナの胎内におびただしい精液をまき散らし、 突きのけられたオークは、新たな硬くバチバチのペニスを、メリメリと押し込み、突き上げる。

「ひううううっ!、んうっ!、んっ!、んううっ!、ふうっ!、んんっ!」
火花がヴァギナをえぐり、焼け付くような感触が底を突き上げ、 削岩機のようにエカテリナを突き壊す。

がくがくと、身体中が揺れ動き、 頭が壊れてしまいそうな、凶暴な刺激がズンズン突き刺さる。

汚らわしい豚の顔が、笑み崩れんばかりに笑っていた。
可愛らしい尻を無理矢理に引き上げ、凶暴な肉欲が突っ込む。

「んひいいいいいいっ!」

バチバチバチッ

電気が走るような刺激、目の中に星が散り、エビのようにのけぞった。

ガスッガスッガスッガスッ
ズブッズブッズッズブッズコッ

凶暴な男根が、赤みを帯びた陰唇をこじ開け、裂けるばかりに広げる。
薄茶の可愛らしいすぼまりが、引き裂かれるほどにこじ開けられる。
胎内を薄い肉を挟み、ぶつかり合い、 軽い細い肢体を、えぐりぬき、突き壊す。

ドキュッ、ドキュッ、ドキュッ、

白い喉を激しく震わせ、喉の奥にぶち込まれ、 息も出来ないほど切れた先端から射精されて、 気を失いそうになる。

ズンッズンッズッズンッ、

だが、身体ごと突き上げられる律動がそれを許さない。

ガスッガスッガスッガスッガスッ、
灼熱で砕けそうなアナルが、脳髄まで突きぬかれるように犯されていく。

ビクビクビクビクッ、

「ひ・・・・っ!!」

蒼い目が開かれるのと、それが、膨張し脈打つのが同時。

ドビュウウウウウウウッ、ドビュウウウウウウッ、ドビュウウウウウウッ、

濁りきった濁流が、子宮をあふれさせて、お腹を転げまわっている。
あえぎ、痙攣する白い体、 それに喜んで、腰をぶつけまくるオーク、 まだ出し尽くさないうちに、それが突きのけられ、待ちきれず滴らせているペニスが、 アナルから犯され抜いているエカテリナを串刺しにした。

「あヒッあヒッ、あひっ、ひっ、あああああああっ!」
細い腿をがっしと抱え、腰を深々と割り込ませて、 豚の欲望が、グリグリと膣をえぐり、子宮口まで一気に犯した。

プキイイイッ

豚の雄叫びが、アナルを直撃し、 猛烈な射精が脈打ち、噴火し、エカテリナのなめらかな背筋を痙攣させる。

ビクッビクッ、ビクッ、

豚の精液は、腸の奥まで届き、お腹の中のものが何もかもドロドロに熔かされたようだった。

即座に突きのけられて、別のオークがびんびんに直立した物を突っ込んだ。
「あひいいいっ!」
その唇に欲情したオークが、口に押し込み、手に握らせ、髪をペニスでこすり、 白い肌という肌が、豚たちの臭い体液で汚されていく。

夜目が利くことが呪わしい。
笑いながら、ニヤつきながら、見ている、 グチャグチャに全身を輪姦されている姿を、自分の精液でいっぱいになっているエルフを、 だんだんどうにもならなくなっていく『メス』に堕ちていく自分を。


嫌悪と憎悪がいっぱいに詰まったお腹がわなないてる。
跨らされ、下から突き上げられ、喚くつばきが顔にかかる。
後ろから、犯され、下から突かれ、口に押し込まれ、動くことも出来ないまま突きまくられて、 脈打つ肉隗がお腹の奥まで届いて、 喉の奥まで押し入り、 腸の中を掻き回し、 「んっ、んうっ!、んっ!、ひっ!、んっ!、んぶうっ!、んううううっ!!」 目いっぱい突っ込まれたそれが、 嫌悪という電気を帯びたそれが、 目いっぱい押し込まれて、 いや、いや、いや、いやいやいやいやいやいやいやああああああああああああ!!

ドクウウウウウウウウウウウウウウッ、

膨張したペニスが、びっちりと膣にはまる、 塊がペニスの中をふくらみとなって走る、 先端がぐいと広がり、カギのようにめり込み、 のがれられない証を、解き放って、 ドビュウウッ、ドビュウウッ、ドビュウウッ、 きつく閉じた目が、眉が震えた。

人間の数倍の精力があるオークの欲望、 無数の精子を暴れさせ、子宮の粘膜を食い荒らして、 ビチビチと動き回っている。

万力のように強い手が、のたうつ身体中を押さえつけ、 ぶちまけた精液をさらに掻き混ぜ、突き込め、擦り付けるように、 ヴァギナを激しくこねまくる。

「ひぐっ、ひぐっ、うっ、うっ、あひいいっ!」
泣きながら、あえぎながら、 オークたちの執拗な欲望は、とどまることを知らず、 口も、アナルも膣も子宮も容赦なく貪られ、犯され続ける。

15匹のオークが全てエカテリナを犯していた。

「あひっ、あひっ、ひいいいっ!!」

前後から散々に責め立てられ、 もはや意識すら切れかけたエカテリナに、 立て続けに中に射精され、浴びせかけられる刺激は、 猛毒に等しかった。

壊れる、こわれる、コワレル、コワレル・・・、

前から後ろから、 交互に突かれ、えぐられ、 ドロドロの胎内は、硬くガチガチのペニスが狂ったようにえぐリ、突き上げる。

硬く熱いのが、子宮まで届き、 脈打ってるものが、アナルを犯しつきぬいて、

ドクドクドクドクッ

息が止まるような脈動が、繰り返し繰り返し、 胎内射精されていく。

力なくあえぎ、突き動かされるままに、 口も、手も、脚も、アヌスも、ヴァギナも、 勝手に、動き、絡み付いていた。

どれほど飲んでも飲んでも、生臭い精液は口に流れ込み、 あふれ、沸き立つ精液は、子宮をドロドロに熔かして、熔かして、熔かしまくり、 腫れ上がったアヌスは、さらにこすられ、犯される喜びにびりびりと痺れていた。

しなやかな脚は、恥知らずに絡み合い、 細い白魚の指は、ヌルヌルの熱を味わい、 擦り付けられる胸が、乳首をピリピリと立たせ、 細い腰が、もう何もかも投げ捨てて、前後のオークたちに激しく振りたくっていた。 赤黒い亀頭が、ピンクの唇に飲み込まれ、 うつろな目は、ぎらつくオークの目をただ写していた。

オークの股間を嘗め回し、跨ったペニスが激しく締め付け、亀頭が粘膜と絡み合う快感をただ貪り、 尻に指が食い込み、叩きつける感触に激しく振った。

のけぞる背筋を、浴びせかける精液で染め、 淡い茂みが濡れそぼって張り付き、卑猥に輝き、 真っ白い腿も、下腹も零れ落ちる白濁にドロドロに濡れて、 がくがくと、がくがくと、 ただひたすらエカテリナの身体は、犯され続ける。

『もう・・・だめ・・・もう・・・・』
意識が闇に、腐敗と破滅の汚泥へと、一直線に堕ちていく。

プギイイイイイイイイッ

オークの絶叫が聞こえた。



□□□□□ 妖の波 □□□□□

深海の底、漆黒の闇の中で、闇よりも黒くわだかまる巨大な影があった。
エメラルドがこの海域にきてから、その後をつけるようについてきていた。

白い目が開いた。
7つの白い目が、ギラッと光った。


「えっ!?」
「きゃああああっ!!」
カデューリィの町は大騒ぎになった。

ザワザワザワザワ
シャカシャカシャカシャカシャカ

無数のカニや、フナムシなどの海性昆虫や海洋魔物たちが、絨毯のようにびっしりと海から上がってくる。 見るもおぞましい光景に、 人も、町中の生き物も逃げ回り、必死に高いところへ上がった。
群れは町をズルズルと抜け、 領主の館へ流れ込んでいった。

当然、館は大混乱になった。

中でも全長4mに達するディプスクラブと呼ばれる希少な海洋生物はオークをも捕食する凶悪さを有しており、それを目にしたオークたちは見ただけで半狂乱になった。
まして、オーク自身は武器すらも有しておらず、それにもかかわらずオークの方向に向かってくるから、目も当てられなかった。

嬲りぬいていたエカテリナを放り出して狂乱し、 館中を暴れ狂った。

その騒動の中で、ようやくエカテリナを見つけたウェモンは、 急いでエメラルドへ帰り着いた。

2日後に目を覚ましたエカテリナは、 ほぼ正常に戻っていて、ウェモンに怒られながらもことの顛末を聞いた。 現在領主に座っている男は、実は自殺しかけた執事のおいの子供であり、 つてを頼って館で働き始めたが、たちも手癖も悪く、 しかも、執事の使い込みのことを嗅ぎつけて、弱みとして握っていた。

盗みの現場を主に見つかり、もみ合っているうちにはずみで殺してしまう。
背格好が似ていることで、男は館に火をつけ、自分も服を変えて顔を焼いて成りすましたのだった。
執事は家の全体を仕切っている、それを見方にすれば、成りすますのは難しくは無かった。

親戚である上に、弱みまで握られて、執事がどうするか悩んでいるうちに、 男は完全に領主に成りすましてしまう。 泣く泣く主をこっそりと埋葬したが、 男は残酷さをむき出しにし、ついにはオークで略奪まではじめ、 執事は耐え切れなくなり、自殺しようとしたのだった。

「まあ、あの騒動で、悪趣味なパーティやオークを使った悪事もばれて、 中央の取調べで、即座に領主でないことも判別したそうだ。」

オークは頑丈な首輪の中に、発信機と興奮剤や麻酔薬を仕込まれていて、 興奮状態で暴れさせた後、合成されたメスの匂いでトラックにおびき寄せて、 麻酔薬で眠らせて回収していたらしい。

ちなみに、娼艦の支払いは前払いだったので、損は無かったそうである。。

『それにしても、あの奇怪なカニの大群はなんだったのだろう?。』

ウェモンは気づいていないが、 もしあの大群が現れなければ、エカテリナを見つけるのが30分は遅れている。
その30分は、彼女が発狂するには十分な時間だった。

何者かが、海からじっとエカテリナを見ていた。

エカテリナが急に背筋を震わせた。
何か分からないままに。

「もう、二度とこんな無茶は許さないからな。」

「はあい・・・」
しゅんとなったエカテリナは、年齢相応のかわいい娘にすぎなかった。
そこがまた、むちゃくちゃにかわいくてしょうがないのだが、 沸き立ちそうになる欲求を抑えて、ウェモンは立ち上がろうとした。

キュッ

「うっ・・・・」
頬を可愛らしく膨らませながら、 反撃とばかりに半立ちのウェモンのあそこを掴まれた。

ぷーっとさらに頬を膨らませ、 涙目でズボンごとしごき出す。

「ちょっ、ちょっとまてっ、エカテリナっ!」
何しろエカテリナの指先、柔らかさと心地よさは天下一品。
その快感は腰が砕け、力が抜ける。

「ちょっと、まてっ、かんべんっ!、かんべんっ!、あ、あ、あ・・・・!!」
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