■ EXIT      
聖母(前編)

古風な封ろう(ロウで手紙に封をして、柔らかいうちに刻印を押す)を押した手紙が、 ルイーデの館に届いた。

『差出人を見るまでも無いわね』

ため息をつくルイーデ、こんな手紙を送りつける客は一人しかいない。
フェリペ公爵夫人だ、そして彼女が手紙を送るのはエカテリナしかいない。


2週間後、ティルトローター型の高性能小型ヘリは、 エカテリナを乗せて静かに飛び上がった。
先日のことを思い出し、エカテリナは顔がほてってくる。


『うっふふふ、大変なメス犬じゃのう』
ようやく落ち着いた犬たちを連れて日がくれかけた道を戻ると、 フェリペがいきなりエカテリナを抱きしめた。

驚愕するエカテリナに、 『くんくん、ふふふ、犬くさい、犬くさいのう。』 笑いながら、激しくキスをし、舌を吸われ、絡み合わされる。

『ほんと、全身犬くさいですわぁ』

サーニャがうっとりしながら、押し倒されたエカテリナの脚を開かせ、あそこを嗅ぎ、 顔をすりつける。

『きれいだったわよお、今度は何がいい?』

リンゼも目を輝かせ、愛らしい乳房をもてあそんでいる。
それこそ、興奮しきった3人にもみくちゃにされて、 尻の穴まで嘗め尽くされ、 朝方まで眠らせてもらえなかった。
もちろん、エカテリナの犬とのSEXシーンも見せられ、 散々恥ずかしがらされ、それをネタにまたもてあそばれたりした。


『なんとも変わった嗜好の方たちですわ・・・』
エカテリナはちょっとため息をついた。

肌をあわせてみて分かる、あれがあの人たちの愛情表現らしい。
事実エカテリナ以外は例外なく、彼女たちの狂気のような『愛情』に耐え切れず、 逃げさったり、発狂したり、自殺した男女は数知れなかった。

狂気に溺れ、飲み込んでなお、静かに美しくよみがえるエカテリナは、 3人の魔女にとって、初めて得た『愛人』だった。

濡れた肌が重なり合ったベッド、 『わたくしも、アルフォンスと遊ぶこともあるのよ。』 サーニャが耳元で、ぎょっとするような事をつぶやいた。
堕落と退廃は、上流階級ほど凄まじいが、 それを口にするのは禁忌であり、他人に漏らすのは命取りだ。
だが、後の二人は平然と聞き流している。


『閨房の秘事、おぬしも娼婦なら分かっておろうがの?』
どこかひやりとしたフェリペの目が光る。
閨房とはSEXのこと、 娼婦は元々、お客とのSEXや見聞きしたことを口にしてはならない掟がある。

ここでの出来事や話は一切口外無用ということだ。
もし何か一片でも漏らせば、エカテリナもルイーデの館全体も、容赦なく灰にされるだろう。

『まあ、あなたや館が口が堅いのはわかってるけどぉ』
情報局長のリンゼが、ずきりとするような白い脇を見せて、けだるげに髪をかきあげる。

すでに調査員がルイーデの館を調べてあり、 意外なほど厳重に情報保護がされていることに、驚いている。

複数の調査員が隠密に、しかし厳密に調べても、恐ろしく情報の漏れが無い。

これはルイーデがエカテリナを恐ろしい“影(シャドウ)”から守るためでもあった。

だが、単にSEXや見聞きしたことと、 フェリペたち自身から、秘事を教えられるのは全く別だ。
3人は、間違っても自分から己の秘事を教えることは無い。

『身内だけが秘密を共有する』

エカテリナは3人の『愛人』となり、身内になったのである。



エカテリナは知るよしも無いが、 これまでこの3人の中に入ろうと、無数の人間が手を尽くしてきた。
『3枚のジョーカー』の協力や寵愛を得られれば、 軍や中央議会、財界に王室まで動かすことも可能だからだ。
だが、誰一人成功したものはいなかった。

唯一初めて、彼女たちの寵愛を得られたのが、 市民ですらない娼婦のハーフエルフだったというのは、皮肉という他は無い。

ましてエカテリナは鉱山王ガッハ・バルボアから、愛人以上の寵愛も得ている。

『3枚のジョーカー』と、敵対関係にあると思われているガッハが手を組んだら、 事実上リヴァール連合では、たちうちできるものがいなくなる。

中央議会も、王室も、軍も、誰も知らぬ1人の少女。
その少女が、リヴァール連合の最高権力を、何も知らぬままに手にしていた。


もうすぐヘリはフェリペの屋敷に着く。彼女の『依頼』を思い出し、 バックから取り出したピルケースをじっと見つめ、 開けずにそのままバックへ戻した。


「今日はそなたに、お願いしたいことがあるのじゃが、ルイーデから聞いておるかの?」

豪奢なソファに、ゆったりと座るフェリペがたずねる。

「はい、複数の殿方の相手をして欲しいとのご要望と聞いています。」

動揺も、迷いも無いたんたんとした応えに、フェリペは微笑を浮かべた。

大事な物を汚し、陵辱するずきりとする痛み、 そして、痛みをスパイスに、乱れ狂うであろう姿にすでに恍惚となりかけている自分、 微笑はわずかな苦味を含み、 それを写し撮る喜びに震えている中毒患者のような自分への苦笑だった。

「うむ、実はの・・・」


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ピチャッ、ピチャッ、どこかで水の音がする。

地下にある暗い石の通路は狭く、不気味な鉄の扉が重く立ちふさがっている。

ガチャッ、ギイイイ、

鍵の音と、扉の開く音に、囚人たちはいっせいにおびえた目を向けた。

見回りなど、決まった時間以外で扉が開くことはめったに無い。
『また、だれかが処分されるのか?!』

それが自分でないことを祈りながら、 囚人たちは開いていく扉に、視線を向ける。

この房にいるのは、重犯罪者。
通常の強盗殺人などではなく、リヴァールの国家に不都合な思想犯や活動家たち。

その数はリヴァールだけで数百人にのぼり、 帝国との緊張が高まり、戦争が避けられないことが明確になった今、 国家の安全のためにも、彼らをさっさと処分することが決まっている。

囚人たちには何も知らされていないが、 一部は非合法な人体実験などに回されることも、許可されている。

急にまとめて10人、 特にレジスタンスや思想家たちでも、かなり実力派の者ばかり、見知らぬ場所の地下に移動させられ、彼らの不安は極度に高まっていた。

きちっと武装した監視員が、毛布をかぶせられた囚人らしいの連れてきた。
『なんだ、新入りか・・・』

10人でも狭苦しいのに、また詰め込まれる。
ホッとすると同時に、不満がむっと膨らむ。
それにしても、細く小柄だ。

そいつを押し込むと、無表情なまま監視員は部屋を出た。

「おい、おめえどっから来たんだ?」
その場でしゃがみこんだそれに、ドスのきいた声がかかる。

だが、そいつは何もしゃべらない。

「おい、てめえしゃべれねえのかよ。」
男の声が怒気をはらむ。

「なんとか言えよ」
1人がむなぐらを掴んだ。

身体を頭からすっぽり覆っていた毛布が、ハラリと落ちた。

金色の輝きが、薄暗い洞窟のような房にバッと広がる。

それはエルフの女性だった。
若い、人間女性で言えば14〜5才、毛布の下はほとんど全裸で、美しいしなやかな身体が震えていた。

ほとんど、というのは、皮のアイマスクをはめられ、 口には網の目状のボールをはめて、皮ひもで留められ、 両手は細い鎖と留め金で縛られている。

これでは話しようもあるまい。

「な・・・」

長いこと見ていなかった女の肌、 それも最高につややかで、シミ一つない白い肌。

エルフかハーフエルフの長い耳がフルフルと震え、 恥じらいに桃のような頬が紅潮していた。

ぐびりと、誰かの喉が鳴った。

満たされることの無かった欲求が、長いブランクを経ているだけに、 強烈に突き上げてきた。

輝く金髪と、ほっそりとした手足、 美しく実ってきたふくらみ、まだ茂りの無いなめらかな下腹部、 女として完成へ近づいている身体、 美しい金髪と、形の良い頬と顎は、さぞかし美人だろうと思わざるえない。
対して、目と口と手を押さえ込んだ、凶悪な拘束具。

それは、あまりにも強烈すぎた。


「ふぐっ、んっ、ふううっ、んふううっ!」

群がる手と指と口と舌。

荒い息と、獣じみた汗と垢の匂い、 『怖い、怖いいっ!』 目が見えない、耳から異様な息だけが聞こえる、 鼻から、異臭と異様な匂いがからまりあう、 身体があちこちから引っ張られ、バラバラにされそうだ。

唇がしゃぶりつき、いくつもの痕を残すまで味わい、匂いを嗅ぎ、今にもかぶりつかんばかり。

何ヶ月も見ていない女の肌に、その味に、匂いに、 足指をしゃぶるもの、首筋を嘗め回すもの、 乳首をしゃぶり、乳房をあまがみするもの、 腿をくわえ、あそこを舌がいくつも襲い、無理矢理にこじ開け、ピンク色の襞をしゃぶりつくそうと争いあう。

『女だ』
『女の肌だあぁ』

ピラニアに群がられたように、エカテリナは身体中を貪られ、しゃぶりつくされる。

またその肌が、あまりにもすばらしく、 これは夢ではないかと思うほどに柔らかい。

いつの間にか、つかみだしてしごいている男すらいた。
「うごっ、出っ、出るぞおっ」
「オレもだあっ」

相手が、拘束され、目隠しされ、 無力でひよわな存在であることを意識させられ、 暴力的な欲情が激しく膨らみ、爆発する。

ドビュッ、ドビュッ、ビュッ、ビュグッ、ブビュッ、

「んふうううううっ!!」

髪に押し付けられ、頬に押し付けられ、 胸に、尻につきこねられ、 腿に、足に、あそこにめがけてぶちまけられた。

ものすごく濃い匂いが、感触が、エカテリナの肌という肌、 髪、乳房、陰唇、へそ、尻、あらゆる所を汚していく。

浴びせられる匂い、熱い粘つく感触、 身体中が汚れていく濃厚な滴り、 それだけで身体が痺れ、あそこが激しくわななく。
髪に染み込み、顔になすりつけられ、何度もエクスタシーが走った。

身体がどろどろで、そしてフワフワする。

誰かが手の鎖をはずした、口からボールと取り除いた、 目隠しがとられ、潤んだ蒼い目が晒され、 全員が再び息をのんだ。

・・・そして、欲望が煮えたぎった。


投げ出され、開いた体、 嘗め尽くされ、浴びせかけられて、エクスタシーに痺れた裸身、

それに、誰かがのしかかる。

ジュブッ

「ひあっ!、あっ、ああっ!」

いきなり深く、根元まで突き広げられ、 ガチガチのペニスが、お腹の奥まで突き刺さる。

「うおっ、絞めやがるっ」
そのまま抱き上げられ、手が首筋にまきつく、 子宮が小突き上げられ、身体が男の前に寄りかかり、後ろから別の男が尻を掴んだ、 「ひぐっ、ああああっ!」

グブッ、グッ、ズブブッ

尻を広げ、アナルを貫き、深くめり込んでくる。

「くおっ、ちぎれそうだっ」

「くそっ、急げよ」
「口もあるだろが」

そう言うや、異臭のする亀頭が口に押し込まれる。

強いチーズ臭、粘つく先走りの匂いと味、 だがエカテリナは思わずそれに舌をしゃぶりつかせていた。

「ぐおおっ!、すげえっ。」
顔だけを動かし、舌を絡みつかせるテクニックは、 快楽を忘れていたペニスに、猛烈にしみこんでいく。

両手にも握らされ、それを優しくしごき、 膝の裏にはさまされ、こすらされる。
頭に、耳にこすり付けられ、弱い耳からびくびくと痙攣が走る。 足の裏にまで当てられ、押し付けられてくる。

『ああっ、そんなっ、そんなところまでえっ!』
狂ったように突き上げるピストンが、目いっぱいねじこみ、痙攣した。

「んうぃうううううううっ!!」

ドビュウウウウウウッ、

ぎゅっと締まるアナルに、たまらず呻き、腰をのけぞらす。

ドクドクドクウウッ

のけぞる裸身に、痙攣が容赦なく流し込まれ、 溜まりに溜まっていたザーメンは、若い瑞々しい胎内に容赦なく射精されていく。
激しく震え、締め付ける肉体は、忘れていた快感をペニスに激しく伝え、 その膣に、アナルに、射精する快感が脳裏を真っ白くするほどほとばしっていく。

「んうっ!、んんっ!、んふうっ!」
両方から何度もねじこみ、突き上げ、痙攣する。
一撃で膣があふれるほど射精され、アナルがドロドロに蕩ける。
喉に押し込まれて、射精がのまされる。

ドビュッ、ドビュッ、ドビュッ、

「んうっ!、んぶっ、んっ、んっ」
押しのけて、片脚を担がれ、広げられる。
薄暗い室内で、白い肌だけが、鮮やかに浮かび上がる。
それに黒い垢じみた影がおおいかぶさり、 狂いたった欲望を、前にも後ろにも突き刺す。

「んふううっ!、んっ!、んうっ!、んううっ!!、んぐっ、んぐっ、」

ずぶずぶとぬめり入る感触が、 細い腰を今にも引き裂きそうに犯す。

あえぎ、悶える喉に、どっと濃い精液が射精する。
白い喉を波打たせ、声を上げてそれを飲み干していく。

顎に手をかけられ、むけられた上気した顔に、再びふくれきった亀頭が向けられた。

ドビュッ、ドビュッ、ドビュッ、

「はうっ!、あっ、熱い・・・っ、ああんっ!」

顔をべっとりと汚す、濁った白の粘隗。
鼻腔に、口に、流れ込む男の匂いと味。

顔を自分から突き出し、なすりつけるようにして、それの洗礼を浴びつくした。

激しい突き上げが、ぞくぞくするエクスタシーを押し上げ、 身体中を嬲るペニスと手が、暗い押しつぶされそうな石の牢屋を、 異様な興奮を引き起こす、異界の祭壇のように感じさせていく。

「あひっ、ああっ!、あひっ!、ひいっ!、あっ!、ああ〜っ!」

エカテリナの声が響く、 耳がはじけそうなぐらい、エロスに満ちて。

白い裸身が、柔らかくどこまでも従順に開く、 狂いかけた恐怖を、強烈な固いペニスとなして、 白い腹に、愛らしい尻に、叩きつけ、突き上げる。

顔はドロドロの濁液に汚れ、身体中もそれに濡れに濡れ、 身体中が性器になったように、あらゆる所が犯され、汚されていた。

「はひっ!、ああっ!、いいっ!、いいですうっ!、あうっあっ、あっ、ああ〜〜〜っ!!」

叩きつける腰が痙攣する。
深く打ち込んで胴震いする。

ドビュウウウウウウッ、ドビュウウウウウウッ、
ビュグウウッ、ビュグウウッ、ビュグウウッ、

子宮口にねじ込まれ、中に弾けるようにほとばしる。
アナルを裂けそうに広げられ、お腹の奥で脈打つ感覚に貫かれる。

『ビュグッ、ビュグッ、ビュグッ、』
長い耳に、塗りつけるように、射精された。
鈍く濡れた音が、耳の中に突き刺さり、頭がわなわなと震えた。
ヌプリ、

出しに出しきったペニスが、己の体液にまみれて、 襞の間から音を立てて引き抜かれる。
ぬるりとした濁った白、 エカテリナの胎内は、見知らぬ男達の精液で充満していた。

グブリッ、
「ひあ・・・っ!」
入れ代わり、猛り立った陰茎が、 あふれる粘液を掻き分け、めり込んだ。

ジュッ、ジュジュッ、

異様に蠢き、からみつく、無数の襞。
おびただしい男の精を吸い尽くしてきた、濡れた襞、 ぎゅっとからみつかれる柔らかさと、狂うような快感に、 男の腰はばね仕掛けのように跳ね上がる。

「んっ!、んんっ、んっ、ふうっ、んふっ、んふううんっ!」

細い身体は前後からゆさぶられ、 広がった秘所は、あふれる体液でドロドロにまみれ、

ドビュッ、ビュグッ、 胸も顔も、狂気と衝動に白く汚され続ける。

「うごおおおおっ!」
「がああああああ!」

己の末路を悟っているのか、男たちはただ狂気に走った。
腰を白く細い身体に叩きつけ、胎内深くその種を浴びせ、植え付けようとする。

「んああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

のけぞる美しい背筋、 広がる脚の震え、 あえぐ口元の淫らな雫、
ドビュウウウウウウウッ、ドビュウウウウウウッ、ドビュッ、ドビュッドビュッ、

前から、後ろから、胎内に爆発する白い濁流、 甘い声が、その欲望を受け止めて、陰々と響いた。
次の話
前の話