淫魔
『宝石の原石をカットする宝石職人は、どんな気持ちでのみを入れるのだろうか。』
左手の義手から伸びたセンサーが、エカテリナの脳波と同調、意識をシンクロさせていく。
少女のものらしい柔らかな意識構造、
その中にルイーデは、徐々に意識を潜らせていきながら、
ふとそんな気持ちを抱いた。
光が淡く交差する世界。
無数の光る粒が、様々な軌跡を描きながら流れていく。
あの一つ一つが、エカテリナの脳に発生した意識。
その中を、全裸のルイーデが漂うように進んでいく。
光がルイーデのグラマラスな肉体を照らす。
重さの無い水の中に、フワフワと浮かんでいるような感覚。
妖しく美しいサキュバス(淫魔)のように、
淡い世界の深みへと下りていく。
意識の世界では、左手もちゃんとある。
肌もつややかで、乳房もまるで砲弾のように突き出して全く崩れが無い。
今でもかなり良く保っているが、自分にふとにやけてしまう。
ルイーデは泳ぐように手足を掻き、髪をなびかせて奥へ進んだ。
意識の表層と内面の境界。
自分で描き作り出せる表層と、
自我とも、エゴともいう、自身にすら見えない深層。
そこには、明確な境界線がある。
その境目に、人間の意識はさまざまな形をあらわす。
特に女性は、様々な植物のイメージで己の形を作っている事が多かった。
「な、なんて・・・すごい・・・」
エカテリナのイメージ、それは月桂樹の若木。
瑞々しく、若く、そしてしなやかそうに伸びていく。
ただ、サイズがけたはずれに大きい。
若木でありながら、樫の巨木のような存在感がある。
しかも、見ている間に少しずつ成長していく。
あちこちに光る部分があり、
そこは枝や幹が消えていた。
失った彼女の記憶だろうか?、記憶を失った女性も、何度か潜ったことはあるが、
そこは普通、黒い闇になっている。
不思議に思いながらも、
根元に大きな空洞を見つけ、
そこに意識を集中させていく。
身体が光の粒になり、幹を取り巻き、空洞に入り込む。
意識の内面には入れないが、
眠りという一番無防備な時、この境界の植物を通じてなら、
内面に手を加えることができるのだ。
娼館に来た女性は、みな内面に傷を負っている。
その傷は、植物の傷となり、むき出しの配線のように、
彼女の操作を受けてしまう。
空洞から中にもかなり深い穴があった。
『まるで、雷が抜けたような痕ね』
なにげなく思ったそれは、かなり的を射ていたが、
真実は彼女に分かることは無かった。
口淫のみを行わせた昼間の訓練は、
エカテリナの神経にかなりのストレスを与えていた。
無数の男根のイメージが鮮明に焼きつき、
それを味わい、嗅ぎ、飲み込んだ感覚が、
生殖本能をむき出しにさせていた。
まさに『夢に出てくる』状態だ。
ルイーデがかすかに笑いながら、
その夢から手を入れていく。
無数の裸の男たち、林立する勃起したペニス、その中心に、透けるドレス姿で座り込んでいるエカテリナ。
あれを入れる、あれに貫かれる、ぼうっと上気したエカテリナが、無数の手に押さえつけられる。
足を、足首を、ヒザを、腿を、手を、肘を、肩を、頭を、心臓がどきどきする、抑えられてるのに、期待が激しく湧き上がってくる。
『なんだろう・・・からだが、熱い・・・』
がんじがらめにされて、スカートがめくりあげられる。
細い、美しい脚、光をはじき、白く光る。
まだうぶ毛すらない滑らかな秘所が、むき出しになる。
恥じらいと、上気と、抑えようの無い衝動が唐突に沸騰してくる。
男がのしかかってくる。
まだ潤い始めたばかりの秘所に、
強烈な灼熱感がのめりこむ。
「くはあああっ!」
グジュッ、グジュッ、ズブッズブブッ、ズブッ、ズブッ、ズブッ、
音が、身体を突き上げる。
ほっそりした白い裸身が、
引き裂かれるように広げられる。
歯を食いしばり、目が星が散るような感覚に耐えた。
異様なまでに強烈な感覚、
熱、大きさ、律動、衝撃、
克明な形が、お腹の奥まで届き、突き上げる。
白い腹部がびくびくと痙攣する。
あたるたびに、何かが白くはじけ散る。
「あはあっ!、あんっ!、あぐっ!、あっ!、こすれ・・るうっ!」
ぞくぞくする、こすれあって、
背筋を駆け上がる、固く、熱い、大きな塊。
舌が息を求め、
力が身体を犯していく。
空白が、満たされる。
全身が、のけぞる、
充足した感覚がズンッ、ズンッと、お腹の奥を突き上げる。
次第に口元がゆるむ、ピンクの唇がみだらな形に喘ぐ。
濡れて、あふれて、快感がこすりあがる。
突き上がるたびに、喘ぎが溢れ出る。
「はああっ!、ああっ!、はああんっ!、すごっ、いいっ!」
足がはしたなく広げられ、剥き出しにされる。
激しく律動するものが、清楚な花弁を強引に犯し、貪り、突き上げる。
腰がのけぞり、わなないていく。
昼間飲まされたペニスが再び口に入り、
生臭い匂いに、激しい渇きを感じた。
「んうっ!、んふううんっ!、んうぅぅ!」
それを昼間以上の熱心さで飲み込み、しゃぶり、
陰嚢がギュッと収縮する。
ドブドブドブドブッ
口いっぱいに、生臭い感覚が広がる。
それを飲み込まずにはおれない、
昼間のかすかな嫌悪も、異臭への抵抗も、
甘美な悦びとなって、口から喉へ落ちていく。
それがルイーデの記憶にすり変えられているとも知らず、
すすり、飲み込み、鼻腔を抜けるにおいに蕩ける。
飲み込むたびに、あそこが熱くなる。
飲み干すたびに、身体が気持ちよくなる。
きもち・・・・いい・・・・!!
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、
いっぱいに突き上げたものが、激しく中に出した。
あれが、中に、飲み込んだものと同じ、濃い精液が中に、子宮が激しく収縮していた。
ガクッガクッガクッ、
何度も何度も子宮口を突き上げられ、
ドビュッ、ドビュッ、ドビュッ、
中に射精され続ける。
口が大きく広げられる。
脈打つものが、中に激しく射精しつづける、熱い、子宮が熱くてたまらない。
口が、喉が熱い、飲み干すマグマが身体に染み込む。
ため息が漏れる。
『気持ち・・・いい』
『うふふふ、すばらしい感性だわ、もう女の快感を知っているのね。』
エルフの弱い耳にも、ペニスが当てられこすられる。
「ひうっ!、やっ!、ああんっ!」
身体が突っ張る。
再び男が貫く。
「あひいいっ!」
幼い乳房に熱い体液がかかる。
顔にいっぱいに浴びせられる。
耳にドクドクと流し込まれ、あそこが痙攣する。
絞り上げられたペニスが、深く突き刺さり、痙攣し返す。
のけぞる腰の奥で
ドブッ、ドブッ、ドブッ、ドブッ、
雄の精子が、たっぷりと中に浴びせられる。
「ひあっ!、くるっ、ちゃうううっ!、あいいいいっ!!」
ドクッドクッドクッ、ドクッ、ドクッ、
全身がドロドロに汚される。
感覚全てがドロドロに蕩けていく。
交代する男性が、早く欲しい。
口にも、あそこにも、入れて欲しい。
さびしいのはいや、満たされないのはいや、独りぼっちになるのはいや、
ズブブッ
まだ開花したばかりの陰唇が、
裂けそうなぐらい広げられる。
小さな身体が串刺しになるぐらい、いっぱいになる。
がくがくと身体がのけぞる。
舌を喘がせ、目をうるませ、
犬のように喘ぎながら、
深く子宮まで届くぐらい、突き上げられる。
いっぱい、いっぱい、身体がいっぱい・・・
それは空虚な心を満たし、寂しさを満足と興奮ですり替えていく。
「ああんっ!、あんっ!、もっと、もっとおおっ!、んううっ!んっ、ん!、んっ!」
いつしか男性にしがみつき、
深く、壊れるぐらい受け入れていた。
激しく、こすり合わせ、男性が喜ぶことが、自分の喜びになっていく。
のけぞる男性を受け入れて、絶頂が突き抜ける。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
もっと、もっと、もっと、私を埋めて・・・
ふと、尻をつかんだ男性が、アヌスを指で探っていた。
かすかな恐怖と、
もっと、満たされるかもしれない欲望と、
未知への好奇心が沸き起こる。
ひたりと、熱いものが当たった。
そこで夢が途切れる。
空洞から出てきたルイーデは、淫魔そのものの笑いを浮かべ、
目的を果たした喜びに震えていた。
クスクスクス・・・
追い詰めるだけ追い詰め、ぎりぎりで夢を断ち切る。
明日の朝、エカテリナはたまったものではあるまい。
これで、アナルの訓練もためらうことなく受けてくれるだろう。
いずれ、男性の悦びを自分の悦びとし、
男性が満たされることで、より高く激しく悦びを高められるようになる。
無理やり洗脳をするなど馬鹿げたこと、自分を改造した研究所の連中への軽蔑。
相手の望みにそっと手を加え、形作り、あとはそれをあおって自ら伸ばすようにしてやればよいのだ。
エカテリナが持つ美質を何一つ壊すことなく、
自ら望んで身体を開いていくように。
『クククク、花は水無しではいられないわ。
さあ、エカテリナ、あなたは、性の悦びを吸って開く花となるのよ。』
あなたの空虚を恐れ、満たされることを望む心を煽ってあげよう。
満たされた満足と安らぎで、より輝けるように高めてあげよう。
SEXがあなたを支え、SEXで心身がどこまでも高みに登れるように。
そして、SEX無しでは生きられないように。
巧妙に組み替えられた意識が、ゆっくりと成長する樹の中に埋まっていく。
エカテリナの意識の中枢をしめるように操作されて。
ルイーデは夢想していた、大輪の華を。
清冽な輝きと、妖しいしたたりを同時に持つ華。
クスクスクスクス・・・
輝く月桂樹の前で、ルイーデは笑っていた。
「愛してる、愛してるわ、エカテリナ。」
ぞっとするような妖気をはらむ声。
真っ暗な闇のような目。
「あなたは、あなたは、私の最高の作品になるのよ。」
ケタケタケタケタケタケタ・・・・
いつしか笑いは狂気を含み、異様な響きを帯びていった。
闇色の翼を生み出し、奇怪に笑いながら飛び上がる。
それは淫魔そのものだった。
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