移動
『記憶』、自分が自分であるための、基本となるもの。
それがぽっかりと空虚になると、誰しも恐ろしい不安に駆られていく。
痛みや苦しみには耐えられても、孤独に耐えられる人は極めて少ない。
イリナもまた、記憶の暗がりに激しい不安を抱いた。
その不安を覆うように、初体験の強烈な経験と衝撃がきた。
何かに満たされる感覚、特に女性のそれは、苦痛をともないながらも、
本能を満たすことで、彼女の孤独を覆い隠した。
まして肉体こそ成長したものの、精神は成熟をみない12歳、
不安を紛らわせ、安堵させる『男性』に、すがりついてしまっても不思議は無かった。
だが、それがまたぽっかりと抜け落ちる。
車の中で、ひざを抱え、下腹部をなでた。
イリナははじめての男が残した感覚に逃避していた。
「ここらで、いいか」
エージェントの男は、にやにや笑いながら、
人気の無い枝道に車を入れ、避妊薬を取り出した。
男は商品を仕入れる専門家であり、商品の検品は当然の仕事と心得ている。
まして、これほどの上玉は見たことが無い。
小型のキャンピングカーのような後ろのドアを開けた。
「おい、出な。」
ふうむ、と男は柔らかい桃のような頬をとらえ、じっくりとその顔から耳や首筋を観察する。
決して荒っぽくはなく、やさしげですらあるが、どこか冷たい感覚が走る。
白く長いドレスを着せられ、恥ずかしげに頬を染めるイリナは、日の下で燦然と輝いている。
このドレスも、目立ち、逃げづらく、見る者に高く見せるためのものだが、
この少女についてはドレスがくすんで見えかねなかった。
「う〜む、すごいな。整形など全く無い。」
指の爪、肘から肩の形、骨格、全身を舐めるように見られ、イリナはくすぐったいような気持ちだ。
「じっとしてろ」
平然とスカートをまくりあげ、あたふたするイリナに冷たく言うと、
下半身も前から後ろから丹念に見られていく。視線がちくちくと肌に刺さる。
なんだか妙な気分になってくる。
「ひ・・・」
下着までずらされ、男の鼻がその中の香りを嗅ぎ分ける。
「ううむ、最高級か・・・」
この男は、女性本来の香りをひどく気にする。
だが、イリナの香りには陶然となった。
「まだ女になったばかりだな、どれ。」
「あひっ!」
舌先がザラリとクリトリスを舐め上げる。
先ほどから視線で嬲られていたイリナは、愛らしい豆粒を膨らませてしまっていた。
細い足ががくがくと震える。
ちりちりと走る電気に、唇を噛む。
指先がもぞりと這いこみ、柔らかい優雅な襞をゆるりと開いた。
艶やかなピンクが、ぬらりと光を放つ。
「すごく感じやすいようだな。」
「ぐうっ!、ひっ!、あああっ!」
イリナの悲鳴が、人気の無い林に響く。
ボンネットに手をつかされ、捲り上げた尻が激しく揺れる。
隆々とした男根が、柔らかな肉を、強引に押し開いていく。
まくり上げたスカートがひらめき、広げさせられた脚が、
突き上げる動きにあわせ、がくがくと揺れる。
イリナが処女でないことを確かめると、男は遠慮なく味見することに決めた。
細い身体に、酷なほどの男根がぎしぎしとめり込む。強烈な追突が、
ごりごりとこすり、狭い膣をみちり、みちりと犯していく。
だが、その柔らかさ、収縮の具合、そして立ち上る香気、まるで全てが男を吸い尽くさんばかり。
『やべえ、やべえぞ、これは。すぐいっちまいそうだ。』
女を商売にしているプライドが、かろうじて歯を食いしばり、
輝くような尻をつかみ、イリナが感じる場所を腰をひねり、探り当てる。
「ひっ!、ひあっ!、ひああっ!」
目が星が散る。
イリナの胎内、敏感な粘膜を探られ、快楽をほじくりだされ、思わずのけぞる。
前の数倍の快感が、重い槍の様に突き上げてくる。
ズブッ、ズブッ、ズッブッ、
おびただしい女を食い物にしてきたテクニックが、イリナの性感帯をさぐりあて、
指が、舌が、ペニスが、みずみずしい肉体全てを嬲り尽くしていく。
木の葉の間から光が漏れ、目がちかちかする。
服の上からも乳首が激しく隆起し、快楽の津波に、初めて、飲み込まれていく。
身体が乱れ、汗ばみ、胸がはだけ、指先がもてあそぶ。
意識が遠くなり、快感が無理やりに突き上げ、唇が喘ぎ、
よだれすら零し、全身が激しくわなないた。
「ひあっ、あ・・っく!、あああああぁぁぁぁ!!」
雷が走った。
身体が白く弾けた。
ドクウウウウッ、ドクウウウッ、ドクウウウウッ、
熱い濃厚な快楽が、イリナの胎内を荒れ狂う。
「ああ・・・っ、はあ・・っ、ああ・・・」
快楽に満たされ、上気した顔が強烈な色香を放つ。
不安が消え、穏やかに満たされていく。
熱い頬が、ボンネットにすりよる。
冷たい感触が気持ちよかった。
そして、どろりとあふれる感覚に満たされていた。
喘ぎながら、無意識に、己を犯したものを締め付け、それに絡み付いていた。
ほとんどすがりついていたというべきだろうか。
吸い付き、絡み付いてくるそれに、ペニスが萎える間もなく充血させられていく。
「うっ、こ、こいつ・・・」
女の扱いではプロのはずの男がうろたえた。
単なるSEXなら、複数相手でも無造作に一方的に嬲れる。
だが、思わず全力で相手をしてしまい、しかも抜くに抜けないような甘美な興奮が、
あらゆるテクニックを駆逐してしまう。
目に喘ぐ美しい髪、ひたむきにすがりつくような目、一方的に嬲っただけなのに、
何かに捕らえられるような歓喜、引けばびりびりと快感が走り、突き上げると、
呻きそうなほどのざわめきがからみつく。
腰が、勝手に動き出す。
パンッ、パンッパンッ、パンッ、
片脚を引き上げ、横から突き上げるように腰を振るう。
青い目が朦朧と輝き、柔らかな身体を引き寄せられて、唇が激しく貪りあう。
快楽の律動が、深く、胎内を荒れ狂う。
おびただしい精液で、濡れた膣は、むしろすべりがよくなり、快感を深く求めさせる。
男はいつしか我を忘れていた。
唇を何度も貪りあい、肌を合わせあう悦びに埋め込み、抱き合い、撫で回していた。
小さな身体が、震え、熱く火照る。
ひたむきにすがりつく身体が、何かを心の底から引きずり出す。
はるか昔、闇に入るとき捨てた女。
血を吐く思いで、置いてきた最初の女だった。
枯れ切っていたはずの涙が、いつしか男の目に流れていた。
快感がとてつもなく高く、激しく、わき上がっていく。
車がきしむ。
小さな足先が激しく曲がる。
白い手が何度も鉄板を掻き、美しい横顔が、のけぞり、絶叫する。
「ひあんっ!、あんっ!、ああっ!、あたるっ!、あたる!」
身体が浮く、脚が宙を掻く、律動が全身を突き上げ、女の快感が開花する。
がくがくがくっ、がくっ、がくっ、
白い裸身が、激しい痙攣を繰り返した。
どくどくと、熱いものが、繰り返しお腹に噴き上げてくる。
イリナは目を潤ませ、男にひたむきにすがり続けた。
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