左上 右上
■ EXIT
左下 右下
左上 右上
魔窟


「・・・・ここまでが、基本となる術式になります」
香月凛の特別講習。
堂に入った講義であり、資料もわかりやすい。

今、大講義堂で教鞭を振るっているのは、ハーフエルフの女性。

やや癖のある茶色の髪をピンで留め、視界に入らないように背中に流している。
全体的にスリムな肉体だが、出る所は出ている。
四肢は細く、小気味良く胸が突き出ている。
腰はやや高い所でくびれ、形の良いヒップのラインから、引き締まった太腿、足まで見事にまとまったバランスをしている。

それが大人びて落ち着いた美貌も相まって、かなり年上に見えた。
エルフ族は、年を経るごとに肉体も容貌も美しくなっていくのだ。

ルフィル中央大学で行なわれた、学部間講習会である。
月に一度、こうして最先端の研究結果を交換するのだ。 他の学部の講義内容を学ぶ機会であると同時に、研究結果について他の教授の意見を聞く場でもある。

その講習会に、イリナも来ていた。
新しく入った若い教授に、興味があったのだ。
魔法改造医学という新しいジャンルを切り開いたというだけあって、他の教授陣も熱心に講義を聴いている。

政治経済を専攻するイリナは医学は齧った程度しか知らない。
それでも、中途半端な知識で病気や怪我を判断することの危険性はよく知っていた。

ふ、と視線が合う。
凛はイリナを見ていた。
そして、男に媚びるように微笑む。
一瞬後には視線を逸らしていたが、イリナにはその行動の意図がテレパシーのように伝わってきた。
「(あなた、相当『してる』でしょう?)」
ほんの1秒ほどの仕草に込められたメッセージは、イリナだけに送られている。
他の人々は、メッセージが込められていたことにすら気付かないだろう。

これで相手が理解できると確信している凛も凛だが、それで理解できてしまったイリナもイリナだ。 それに気付き、1人顔を赤くする彼女だった。




それから数日、イリナは凛のことを避けていた。
私生活では最高級の娼婦として名を馳せ、偽名で出演しているAVでも大人気を誇っている彼女だが、学びの園でまでセックスと関わりたくは無かった。 そこまで来てしまうと、彼女は本当にセックス漬になってしまう。

一方凛は、研究室でコンピュータと格闘していた。

「あーもう!」
苛立つ声を上げる。
新しい研究室なので最新型のパソコンを入れたはいいが、最新型過ぎてバグを除去し切れていないのだ。
ソースを弄ってバグを除去していく先から、またパソコンがフリーズした。

「殴ったら治るかしら?」
「やめてください。高級機材なんですから」
助手が止める。

「動かないのに高級も何もないわよ!」
ぴしゃりと言い放つ。

「こんなことなら無理に最新型なんて言わなけりゃよかったわ!」
当時はERに亡命してきてから日が浅く、コンピュータの知識が少なかったのだ。
出身地の連合でもコンピュータに触れたことはあったが、旧式の文章作成ソフトが精々で、プログラム等に触れたことも無かった。

「・・・・」
「どうしたんですか?」
「蹴ったら治ったりするかしら?」
「・・・・」

「う〜ん〜・・・」
デスクに突っ伏する凛。

「さすがに眠くなってきましたか?」
助手のミケランが声をかける。
大学でも1,2を争う成績で、引く手数多の優秀な生徒である。凛の一番弟子でもあった。
実験レポートを仕上げるために、凛の意見を聞くためとパソコンを借りるために部屋で作業を続けている。 他の生徒達は自宅で作業をしている。

「例のアレよ。実験で魔法使いっ放しだったし、もう1ヶ月もご無沙汰だし」
「だからといって、この状況では1日休んで回復してくる、というわけにもいきませんね」
「大学構内で、短時間で濃厚にやるしかないわね」
凛はふと手を止める。

「そういえば、こんな子知ってる?」
と、魔法で映像を虚空に表示する。

清純そうな、幼さの残る少女だ。
ミケランはちらりと視線を向ける。

「イリナですね。知りませんか?ラングレー女王セシリアの孫娘ですよ」
「なるほどね。あの家系はそっちの方も・・・あ、これ秘密ね」

「彼女に手を出すつもりですか?」
「まあね」

「さすがにやばいですよ。何せ王族で、未来の女王様候補ですから」
「捕まりはしないわよ。改造したり孕ませたりってことをしなければね」

「やっぱり、俺の参加は前提ですか?」
「もちろん」

凛には一つ、困った性癖があった。
定期的にストレスを発散しないと、知能が低下していくのだ。 ストレスを発散するためにはセックスが必要不可欠である。 こんな美人なら、とミケランが初めて相手をした時、死にかけた。

イリナが凛の研究室の前を通りかかる。
学部は違ったが、医学会の事情の講義を受けるために来ていた、その帰り。

「(そういえば、あの人の研究室って、ここだったかなぁ?)」
自分にあんなメッセージを送ってきた教授が、普段どんな研究をしているのか、少し興味があった。

「(窓から覗くだけなら・・・)」
その瞬間、突然ドアが開き、イリナは腕を掴まれて部屋に引き込まれた。

「!?」
悲鳴が上がる間もない、一瞬の出来事。
まるで魔物のように1人のエルフを飲み込み、音も無くドアは閉じられた。



「きゃあああ!?」
室内に悲鳴が響く。

あらかじめ壁際の空気の振動を止めていたのはこういうことだったのかとミケランは納得した。

「先に仕込んでるから、レポートやってて」
後ろからがっちりと羽交い絞めにして、凛は助手に指示を出す。

「いったいなんなんですかぁ!?」
なおも抗議の声を上げて暴れるイリナに、水を差し出した。

「説明したいことがあるから、これでも飲んで落ち着いて」
「は、はい・・・」
疑う様子も無く、イリナはペットボトルの水を飲み干す。


凛は簡単に自分の体質と時間が無いことを説明し、簡単な仕切りで部屋の中に作られた仮眠室にイリナを連れ込んだ。 無論、反論も何も許さない。 白衣を脱ぎ捨てると、いきなり全裸だった。

下着は一切つけていない。 豊満な胸をイリナの顔に押し当て、身動き取れなくしてから、おもむろに携帯電話に手を伸ばす。 少女を押さえながら慣れた手つきで操作し、電話をかける。

「ハロー、ファリア館長は?香月凛だけど」
それを聞いてイリナは凍りつく。

大学内で彼女が高級娼婦の妖精であることを知る者はベルリナしかいない・・・はずだった。

「・・・イリナ、2時間ほど遅れるわよ。いい?・・・そう、例のアレよ」
「よくな、んぷ」

言いかけたイリナの顔に胸を強く押し付け、黙らせる。

「わかったわ。その時間を私が買えばいいのね。
 それじゃ、どうせだから一晩で請求書をお願いするわ」

予定が勝手に変更されてしまったが、いつの間にか抵抗する腕に力がなくなっていく。
頭に靄がかかったような、心地よい気分。

「大丈夫。これで時間が出来たわ」
「さっきの水、なにまれたんれすかぁ?」

乳房の圧迫から解放されると、ろれつの怪しい口調でイリナが聞く。
「スタールビーアルカロイドの濃縮したやつよ。大半は処分したけど、少しだけ残してあったの。それを薄めて混ぜたわ」

悪びれる風も無く、凛は教える。
「でも、スゴイわねぇ。一滴でここまで効いてくるなんて」
イリナは真っ赤になった。


そこから、めくるめく時間が始まった。
夏の暑い夜、シャツを脱がすと白い肌が露わになる。

「綺麗な肌」
凛は瑞々しい胸の谷間に頬擦りした。
自分も白衣を脱ぎ捨てる。
いきなり白い肌が現れた。
全裸に直接白衣を着ていたのだ。

「ひゃうっ、んはぁ、いぃん」
「ほらほら、まだまだ始まったばかりよ」

凛の愛撫は簡単にイリナを蕩かせた。
微弱な電流を感じ取って指先から内部を精査し、快感に繋がる神経を的確に捉えるのだ。
また、自分の指先からも刺激を与える程度の微弱な電流を放出する。
魔法改造学専攻の教授ならではのテクニックである。

「あ、あぁぁ、うそ、イッちゃう、イクぅぅ!」
指先から電流を流されながら秘裂を掻き回され、たちまちイリナは達した。
凛の指遣いも、並みのものではなかったのだ。

「うふふ、カワイイわ。もっと私にカワイく乱れた顔を見せて。私のも見せてあげる」
凛はイリナの白い足を抱え、自分の秘所を彼女のそれにぴたりとあわせ、間にバイブを挟んでスイッチを入れた。

「ああっ、いいわぁ、あん」
「凛さ、ボク、また、あぁぁん」
バイブと共に股間を擦り合わせ、凛は容赦なくイリナを責め立てる。
元々、こんな程度で参ってしまうとは互いに思っていない。



「すごい光景ですね」
レポートを書き終えたミケランが仮眠室に入ってくる。

「欲情しちゃう?」
「音と匂いで頭がおかしくなりそうですよ。こっちはすでにおかしくなっていますが」
言いながらズボンとトランクスを脱ぎ捨てる。
股間からは痛いほど硬くなったペニスがヘソの下まで反り返っていた。

「それじゃ・・・」
凛はイリナの上に圧し掛かり、少女と股間をぴったりとつけた。
スタールビーアルカロイド濃縮液のおかげで肉弁が開ききっているイリナと、しばらくご無沙汰で欲求が高まっており、既に濡れている凛の2重肉弁。

「こんなのはどう?」
「絶景です」
多くは言わず、ミケランはシャツも脱ぎ捨てて2人に襲い掛かった。

4枚の花弁の中央にペニスを押し込み、擦り上げる。

「あんっ」
たまにどちらかの膣に迷い込みながら、一心不乱に突き上げる。

「やん、入ってきたぁ」
「こっちも入れてぇ」
重なりながら腰を微妙に動かし、肉弁がそれぞれがペニスを求める。

ある程度凛の肉体改造を受けているとはいえ、二つの極上ヴァギナに挟まれて、ミケランも長くは持たない。

「う、あ、もう、出る!あぁっ!」
イリナの子宮口に亀頭を強く押し付け、射精する。

「ああん、ふかぁい、奥でぇ、んんっ!?」
イリナは仰け反った。
凄まじい勢いで子宮の壁に精子が叩きつけられる。

「うふ、スゴイでしょ」
凛は微笑む。

「垂直で7mは飛ばせるんだから」
普通の成人男性で約1m、溜まっていても、精々2m。
スゴイ人が溜まっていたら、もしかすると3m。
紛れも無く凛の肉体改造の結果だった。
普通の女性なら、あまりの快楽に意識が飛ぶ勢いである。

「ああぁっ、すごいぃ、ひあっ、まだ出てるぅ」
「うぐっ、くっ・・・!」

脈動するように放たれる射精のたびにイリナが、ミケランも痙攣する。
勢いがあるということは、尿道を通る射精感も凄まじいのだ。
しばらく放心状態になるほどに。

「次、こっちね?」
「はいはい。回復するので少し待っ・・・あっ!」

言葉の途中でミケランが声を上げる。
イリナが彼のペニスを咥えたのだ。
さすがに高級妖精なだけあり、フェラチオは上手い。

「もう、しょうがないわねえ」
凛は微笑みながら、フェラチオに加わりつつ回復魔法を使う。

常人を遥かに超える射精量を誇るミケラン。
一応、精子の増産処置もしていたが、強化しすぎると普段の生活にも支障を来たすため、1度射精すると回復魔法で回復してやる必要があった。

イリナは媚薬成分を含んだ体液、体臭を放ち始めていた。
凛も、体内で調合した強烈なフェロモンを放つ。
違った成分の催淫物質は、3人の脳を侵し、淫靡な宴をさらに加熱していく。

「あっ、ああぁぁっ、出てるぅ、子宮の奥に当たってるぅ!」
凛は膣の最奥で強烈な射精を受け、身体を仰け反らせて痙攣する。
「ああぁぁぁっ、イクッ、イきそ、イクゥゥゥッ!!」

その後も狂気の宴は続いた。
凛は2人に微電流を流す指先を使い執拗に責め立てる。
イリナも超人的な射精を何度も堪能し、凛の身体を貪り、貪られ、泥のように眠りにつく。


起きると、仮眠室に凛の姿が無かった。
ミケランは回復魔法では追いつかないほどに栄養分を消費し、やつれていた。

「ミケランなら大丈夫よ。次まで時間もあるし、入院させるほどでもないわ」
心配そうに見ていると、凛の声が聞こえてくる。
同時に、カタタタ、というキーボードを撃つ音が響いてきた。

イリナは服を探した。
すぐに見つかる。
仮眠室の外側の壁に、ハンガーでかけられていた。
皺もあまり入っていない。
この辺りの気配りはさすがだな、と思う。
タオルケットで身体を拭い、漏れてくる精液を綺麗に拭いて服を着込む。 喉が渇いていた。

「水はこっち。冷蔵庫よ」
まるでイリナの心を読んだかのような助言。

「ボクが喉乾いてるってどうしてわかるんですか?」
冷蔵庫のペットボトルにあった水を飲むと人心地つく。

「別に。起きた時に、栄養状態を見たのよ。ミケランのついで。それで水分が少なめだった。っていうだけよ」
全裸で椅子に座り、パソコンに向かっている凛が答える。

「栄養状態って・・・簡単に見れるんですか?」
「私ならね。魔法による肉体改造はとってもシビアだから、栄養状態くらい即席で見れないと話にならないの」
魔法改造医術による施術は、慎重を極める。
導師級の魔法技術と集中力が必要とされるのだ。

「そうなんですか・・・」
「もう1人いると、いつでもあなたを呼び込めるわねえ」

「ボクはあんまり・・・」
「ミケランほどの射精は、他では味わえないわよ?」
「っ、ううぅ・・・」

思わず言葉に詰まる。
確かにあの射精は、何度も受けていると癖になる。
並の女性は1度経験すれば、次からは抵抗すらできなくなるだろう。
それほど強烈な快感があった。

「彼氏がいるのなら、私が手術して出来るようにはするけど?」
「えっ」

「ミケランみたいな助手を、あまり増やすわけにはいかないのよ。彼もいずれは私の手元を離れるのだし」
凛は言った。

「それに、彼を忘れられないからって、毎日来られるのも都合が悪いのよね。
 今みたいに、栄養分が限界に来るかもしれないから」
と、背中越しに笑った。

イリナは顔を真っ赤にする。
「もう、教授ったらぁ・・・」

「あっ」
唐突に凛が声を上げる。
同時に凄まじい勢いでイリナの方に向かってきた。

「きゃ!?」
正確には、イリナを押しのけ、その後ろのパソコンに。
ミケランが使っていたパソコンだ。

「これこれ!」
興奮気味に言ってせわしなく動き出す。
「明日の学会も、これで決められるわ!」

その後は、イリナが声をかけてもまるで聞こえていない様子だったので、彼女はミケランに水を飲ませて回復魔法を使った後、そっと研究室を後にした。




学会の翌日、凛は妖精館でファリアに面会する。
「どうしたの?手持ちのお金が足りない?」
「おかげ様で。明後日の給料日でどうにかなるわ」
「それくらいなら待てるわね」

「イリナちゃんについて、あなたはどこまで知ってるの?」
凛が真顔でファリアを見つめる。いや、その眼光は『射抜く』と言う方が正しい。
いつものどこかふざけた彼女ではなかった。
ファリアは気迫に押され一瞬沈黙する。

「・・・何がわかったの?」
言葉を選び、聞き返す。
「あの子、出産した形跡があるわ」

ファリアはまた言葉を失った。
「・・・迂闊だったかしら・・・正直言ってあなたのことを甘く見ていたわ。
 時々、あなたがイリナと同い年だってこと、忘れそうになるわ」









ルフィル中央大学には、魔女が住む魔窟がある。

男性女性問わず、魔女に気に入られればそこに引き摺り込まれる。 無事に出られるかどうかは、気まぐれな魔女の気分次第。 そこに入れるのは、確かに出来る人間の証。

目標が無いなら、動機の純不純は問わずとも、目指して損は無い。
左下 右下
左上 右上
■ 次の話 ■ 前の話
左下 右下