■ EXIT      
『 白 』と『 黒 』

『 白 』

白い上等なレースに、品の良い刺繍、
Bカップのブラは、輝くような肌にフカリと密着した。

同じ白のショーツも、柔らかく腰を包み、
優しくフィットしている。

なめらかな長い脚を、スルスルと薄く白いストッキングが包み、
白のガードルが、清楚とほのかな色気を同時に漂わせる。

『うん、これならハンスも喜んでくれそう。』

鏡の中のイリナは、にこっと微笑を浮かべた。
それをみたら、空を飛ぶ鳥も目を奪われて落ちそうな笑顔である。

彼女なら、もっともっと高価な下着でも、
買えるし似合いそうだが、
彼女の意識には、恋人のハンスが喜んでくれるかどうかしかない。

空軍士官であり、真面目でいささか平凡な青年であるハンス・イェーガーに、 なぜかイリナは心から愛情を注いでいた。

エンパイアリソースの柱石国家ラングレー王国女王セシリアの孫娘であり、
ミュルス一族が経営する妖精館のNo1娼婦でもあり、
最高最強の人気を誇るAV女優アンリ・スタンザーでもあり、
ハーフエルフでありながら、
エルフ最大王家の血を非常に濃く受け継いだ強力な魔法使いでもある。

だが、天真爛漫な彼女にとって、
そんなことは些細でどうでもいいことに過ぎない。


淡いルージュを引きながら、ふと鏡の中のイリナが憂いを漂わせる。

ささやかな女性の幸せ、
彼女が全てを引き換えにしても欲しいもの。


でも、絶対に許されないもの。

自分の呪わしい肉体が、狂うような衝動が、
そんなものをあざ笑うように、
おびただしい男性を欲してしまう。

その上恐ろしいことに、
イリナの肉体はあらゆる男性を虜にする魔性を秘めていた。

ふっと涙腺がゆるみ、視界がゆらぎそうになる。

「だめだめ、今日はハンスと会えるのよ。」

けなげな娘は、顔を上げると決然と微笑んだ。
今の幸せを、決して不幸にしないために。



奇をてらわぬ堅実な性格と、素直な性質、
優秀な技術に、丁寧な仕事を心がける姿勢は、
いかなる仕事であろうと、絶対に必要視される。

テストパイロットとしてのハンスは、
技術者たちが、なかなか手放してくれないほど人気がある。

うっかりすると、人がいいハンスは、
半日の休みなどを台無しにしかねない。

また機密事項を扱うことが多いため、
電話も直接つなげない事も多い。

イリナも、さすがにこたえたのか、
時間に迎えにいくことにしていた。

今回は半日と丸2日休みが取れているが、
その半日を潰すことは、絶対に許さないつもりである。

イリナがわがままを言えるのは、ハンスだけ。
甘えて、甘えられて、何もかも溶け合いたいのは、ハンスだけ。


「ペチャ・ペルノです。ハンス・イェーガーを迎えにきました。」

大きな丸いめがねをかけ、
ソバカスをいっぱい散らした、ちょっと鼻の小さな娘。

イリナが、ハンスを迎えにいく時には印象変化魔法を変え、
この偽名で通している。
もちろん、イリナ・クィンスでも、アンリ・スタンザーでも、 大騒ぎになってしまうのは間違いない。


ぶさいくではないが、美人でもない、
ごくごく平凡な娘を、
他のミュルスの女性陣にも審査してもらいながら作ったのだが・・・。

「おーっ、ペチャさん、おひさしぶりぃ。
まだハンスなんかと付き合ってるの?」

事務所の人間が、大げさに声をあげる。

「なあ、メルアド教えてくれないか?」
「今度食事どうだい?」

次から次へと、やんわりと断るにも一苦労だ。
いや、男性だけならまだしも、

「ねえねえ、ペチャさん。
うちの兄貴がどうしても会いたいっていうんだけど、だめ?」

事務官の女性までもが、困ったように声をかけてくる。

正直、イリナは何を間違ったんだろうと、
毎回困り果てている。

「おまえら仕事しろおおおっ!」

上官が青筋を立てて激怒するほどの人気である。


可愛らしさという不思議な感覚は、
実は「品」が無ければ成立し得ない。

見かけだけのそれとは違い、イリナの芯から立ち上る品格は、
まさしく最上級のそれである。

プラス無邪気な天真爛漫さと、親しみやすい容貌もあいまって、
ペチャの可愛らしさは、空軍基地ではものすごい人気なのだ。

ただまあ、唯一ありがたいのは、
基地の女性たちも、ペチャが可愛くて仕方ないらしく、
男性たちをかなりけん制してくれていた。
でなければ、基地では動けなかったかもしれない。

「ええと、ハンス・イェーガー准尉は・・・現在訓練所B2で、 基礎体力訓練を12時まで行う予定です。その後休暇となっていますね。」

女性事務官は、自分から案内してくれた。

「ねえ、ペチャさん、兄貴のことどお?。」

「私はハンスがいますから。」

困った顔をしながら答えると、だよねえと事務官もため息をつく。

「ごめんねえ、兄貴にはきつ〜く釘を刺しておくから。
あと、移動は必ずハンス准尉か、軍属の者の同伴で動いてくださいね。」

訓練所の横で、一般客用待合室に入ると、 ハンスがパンチングマシーンで、 激しく拳をふるっていた。

空中に明滅する点を、正確に突き、
自分の足元のライトを踏まぬように移動しなければならない。

汗にまみれながら、真摯に身体を動かすハンスは、
彼女の目から見ても、かっこよかった。

「パンチングマシーン、かっこよかったよ。」

ナビに目的地を示すと、車が自動運転を始める。
窓に自動的にスモークがかかり、車内は二人だけの小部屋になっていた。
ハンスのたくましくなっていく身体に、
イリナは印象変化を解いて、ぴったりと寄り添う。

「恥ずかしいなあ、まだランクBしか行けないんだよ。」

テレながら言うハンスに、ちょっと不思議そうな目をするイリナ。
ランクBは、プロボクサークラスである。
ランクAで国内トップ、ランクSとなれば国際ランカークラスだ。

「位置確認と攻撃行動、戦闘機パイロットは同時にできないとね。」

「あなたならすぐになれるわ。」

輝く目がそう告げると、ハンスは自信が沸いて来る気がした。

「ありがとう」

そっと優しいキス。

甘く、次第に熱をおび、そして舌と舌が求め合い、

激しく絡み合う。

「ん、んっ、んは、んっ」

抱き合う腕が、強く、きつく、
離れていた自分の半身を求め合う。

甘い蕩けるような味わいは、いつまでも飽きることがなかった。

細い首筋、震える頬、柔らかい耳、

「んっ、そ、そこだめっ、あんっ」

肌のすみずみから、甘く淡い香りが立ち上り、
上気した肌が、しっとりと色づく。

あれほど激しい夜を重ねながら、
大胆極まりない姿をさらしながら、

「や、やんっ、胸が感じちゃううっ」

柔らかなふくらみに顔をうずめると、
イリナは恥ずかしさに真っ赤になり、
腿をすり合わせるようにして、恥じらいに染まる。

指先が、熱く熔ける様な愛液に包まれ、
声をあげんばかりに締め付けてくる。


「いい?、イリナ」

そっと、たずねる。
許可ではなく、確認。

おびえた目を、震わせながら、
そっと身体を開く、永遠の淑女。

自分の快感に怯え、はしたない姿をさらすことにおびえ、
少女は、むかえようと、必死の勇気をふるう。

薄桃色の粘膜が、
次第に赤みを帯びながら、
舌先の動きに、わななき、震える。

「んはっ、はっ、ああっ、ハンスっ、ハンスぅ。」

めまいがしそうな香りが、
神々しくたちのぼり、輝くしずくが、すでに噴出していた。

舌先ですくい上げ、すすりこむと、
さらに奥から際限なくあふれてくる。

「もう、もう、だめええっ!」

必死に哀願するイリナに、
ハンスの男も雄雄しく立ち上がり、ぐいと身体をのし上げた。

白い腿がぐぅっと広がり、
愛しい男を必死に迎え入れようとする。

白い細い手がしがみつき、離すまいと爪を立てる。

彼女の中心を、男がとらえ、そして深く穿った。

「んはああああんっ!」

びくっ、びくっ、びくっ、

それだけで、イリナは声をあげた。
細い身体が跳ね、何度も震えた。

「イリナ、イッちゃった?」

長い耳にそっと声を吹き込むと、
イヤイヤするように、首を振りながら、
恥ずかしげに、一度コクリとうなずく。

「だって、だって・・・ハンスだものぉぉ。」

ぎゅうううううっ、と締め付けてくる、
いとおしさがこみ上げ、ひしと抱きしめあい、
くちづけを交わす、何度も、何度も、

たくましいハンスを、胎内に受け入れ、
その脈打つ感覚を、猛り狂う勇猛さを、
密着する粘膜で感じ取っていく。

唇が、深く絡み合う。

柔らかい肌が、胸板をこすり、腹を密着し、

しなやかな腿が、ひしと絡みつく。

粘膜の中を、蠢く、貪る、突き上げる。

「んはっ、んっ、んっ、んうっ、んんっ!」

赤い舌が、いやらしく絡みつき、
淫の肉が、淫乱に吸い付き、
腕が小さな肉体を抱き、白い指先が広い背中に食い込んでいく。

二人の肉が、どろどろにとろけあい、
イリナの胎内深く、もぐりこみ、のめりこみ、溶け合っていく。

「ハンスっ、ハンスっ、ハンスぅぅぅっ!」


きしむ、揺れる、のけぞる。

絶叫が車内に響き、
二人の痙攣が突き抜けた。

幸せな、とても幸せな時が、二人の身体を蕩かしていく。



プライベートビーチの、こじんまりしたコテージ。

二人は、そこで二日間過ごす。

「ハンスぅ、もうすぐ、ついちゃう、ああんっ!」

スモークの窓ガラスに、かすかに白いものがくっつく。

目を凝らせば、柔らかそうな丸いものに、赤い小さな丸が。

イリナの甘美過ぎる肉体に、ハンスは溺れきって、腰が止まらない。

嬉しげなイリナも、それを止める気は無い。
今は、ハンスの喜びがすべて、イリナの喜び。
自分の快感が、すべてハンスの快感。

窓に押し付けられながら、
恥ずかしそうに、でも夢中で腰を振り、
その刺激で、快感が倍加し、そして、高まっていく。

「はあっ、あっ、そこっ、いいっいいっ、あ〜〜〜っ!!」

ぎゅうっと締まる胎内に、
ハンスの腰が一段と深く突き上げた。

ドビュグッ、ドビュグッ、ドビュグッ、ドビュグッ、

何度目かもわからない、強烈な射精、
イリナの奥底めがけて、何度も何度も、ほとばしり、
彼女の歓喜の笑顔が、激しくのけぞった。

ガラスに密着した美麗な肢体が、
まるで名画のように、淫靡に麗しく浮き上がった。


ちょっと乱れたプラチナの髪、
上気して、色香に染まった、蕩けそうな肌、
どれほど幸せな時間だったかは、
彼女の幸せそうな微笑を見れば、言うだけヤボと言うものだろう。



『 黒 』


幸せな時間って、何て短いんだろう。

ふっと、イリナはため息をついた。
二日間の濃密で甘い時間は、あっという間に過ぎてしまった。

ハンスを見送り、イリナはさびしげにきびすを返した。
身体にまだハンスの残り香が漂っている。

そして、その香りで、 イリナの奥底に眠る何かが、おぞましく蠢きだす。

 ぞくっ、

イリナは鳥肌が立っていた。

ハンスと満たされた時間を過ごせば過ごすほど、
心は満たされているのに、身体の奥がうずいていく。
もっともっとと、まるで飢えた獣のように、それが聞こえてくる。

ハンスの休暇は今日までだったが、
もし万一、休暇が用事でずれたらと恐れて、
イリナは明日まで、予定をすべてキャンセルしていた。

いっそ、妖精館に戻ろうかとも考えながら、
ふと見ると、携帯がサインを光らせていた。

メールの差出人は、アーサー・キース。

「あ・・・!」

じゅくっと、下着が濡れた。


イリナは、発作的で爆発的な淫乱状態を、
周期的に引き起こす厄介な体質を持っていて、
それを押さえ、治療する目的もあって、
ミュルスの妖精館に身を置くことにしたのだった。

だが、それでも十分には抑えきれず、
妖精にしてAV会社社長で、AVのトップ女優二条香織の誘いで、
アンリ・スタンザーとしてAV女優にもなった。

それで非常に安定していたのだが、
最近、それに慣れてきた肉体の方が、
更なる刺激を求めて、不穏なゆらぎを見せるようになってきていた。

偶然と言うのは恐ろしいもので、
そんな時、イリナ(アンリ)とは知らずに、
色事師のアーサー・キースに、
食い物にする女性として狙われたのが運の尽き。

キースに仕掛けられた性的興奮を、
自分の発作とかん違いしたイリナは、
彼の誘いにのるふりをして、興奮を鎮めてもらったのだが、
そのとき、一つの約束をさせられていた。

『オレが興奮したときは、鎮めてくれよ。』

イリナが想像以上に淫乱であることを見抜き、
動物的な嗅覚から、かなり危ない性欲の匂いを感じ取っていた。

そこで、 掛けた『暗示』のほかにキースは一計を仕掛けた。

彼自身もしばしば激しい興奮状態に落ちるので、
犯罪を犯しそうになったことも多いと、作り話を聞かせ、
イリナを『同病相哀れむ』という心理状態に連れ込んで、
ギブアンドテイクで約束させたのである。

こうなると、弱みと同情もあり、
イリナは指示された場所へ、ためらいも無く車を走らせた。

さらに、キースはもう一つ仕掛けをしていた。
犯罪を起こさないために、自分はAV男優をしていると、
教えておいたのだ。

AV男優をしているのは本当で、
話にあまり動揺しなかったイリナに、
これは脈があると、心中ほくそえんだのだった。

「ほお・・・」

イリナのわずかにこわばった顔に、必死で抑えている欲情を嗅ぎ取り、 キースはにやりと笑った。

さすがに色事師、その辺の嗅覚は並みではない。

「アンタも、その気満々みてえだな。」

心中を見抜かれ、どきりとするイリナ。

「い、いえ、そんなことは・・・」

そっと怯えさせないように抱きしめながら、

「いっただろう、ギブアンドテイクって、
オレも助かる、あんたも助かるんだろ?。」

こう言われると、何となく納得したくなってしまう。
それでなくても、欲望がふきだしそうになっているのだ。

あり地獄に引き込まれるように、
イリナは、AVのカメラの前に引き込まれていた。


「それに、カメラって、感じねえか。ぞくぞくしねえか。
あの向こうで、何千人って男が、アンタの身体に、
夢中でしごいてるんだぜ。」

ぞくぞくっ、
イリナの敏感な身体が震えた。

これまで、あまり感じなかったカメラが、
急に卑猥なものに見えてきた。
それは、イリナの火のついた欲望に、油をそそぐ結果になる。

「もちろん、アンタにゃ迷惑をかけねえよ。
ちゃんと印象が変わるようにしておくからよ。」

もう、イリナはうなずくだけで、

「んっ、んう、んんっ、んっ、」

前後左右から突きつけられたペニスを、
夢中で掴み、しゃぶり、卑猥に貪っていた。

キースの他に、男優だけで10人。
女性一人壊すのもわけは無い人数である。

だが、完全に性欲発作状態のイリナには、
至福以外の何者でもなかった。


「ううっ、こりゃうめえっ」
「すげえな、すぐにいきそうだぜ」

精緻な彫刻のような唇が、
卑猥に広がり、夢中でしゃぶりつく。

喉の奥までディープスロートを繰り返し、
逆に、頭をつかまれ、無理やりにかき回され、
口内に、顔に、髪に、耳に、目が見えないほどぶっかけられ、
腰が、がくがくと動いていた。

だが、まだしてくれない。

もじもじと、そして次第に、悶えはじめるイリナに、
キースはニヤニヤして、
「入れて欲しけりゃ、もっと俺たちを興奮させてくれ」

真っ赤になりながら、イリナはその意味を理解し、
足をおずおずと広げ、自分で慰め始めた。


毛の生えてないつるりとしたあそこを、
指先で嬲り、広げ、つまみ、
むせびながら、胸を掴み、痴態を次々とさらした。

全員が、目をギラギラさせ、
興奮のあまり、滴りが落ち始める。

「よおおっし、ショータイム!」

肉食獣が、獲物に群がり貪るように、
イリナの真っ白い肉体に、襲いかかった。

「んあっ、あひっひっ、ああっ、だめえっ、中にっ、中にでてるううっ!」

あそこをカメラの前で広げられ、
下から突き上げられながら、モロに膣内射精され、
イキ狂う顔がアップで写される。

「どうだっ、どうだっ」
「おらおらおらあっ」

アナルもヴァギナも同時に貫かれ、
交互に揺さぶられ、突き上げられる、

「おっきいっ、おっきいのがゴリゴリしてえっ、いくっいっちゃううっ!」

バンバンバンバンバンバンバンバン

肉がぶつかり、激しい打音がイリナを揺さぶり、狂わせる。

両手にも、口にも、脇にも、ひざの裏にも、
耳にも、胸にも、へそにも、
身体のあらゆるところに、11本のペニスが入れられ、押し付けられ、
イリナの全てを輪姦しつくす。

あえぎ、のけぞり、痙攣する、
体中が白濁にあふれ、汚れていく。


ひじとひざを結ばれ、広がったまま、
次々と男たちが、イリナの膣に押入り、
中に全部ぶちまけていく。

「お腹がッ、お腹が、ザーメンで溺れるうぅっ!」

全員が、次々とイリナの身体にのしかかり、ありったけの精子を、
その胎に種付けるように、深くのけぞって射精していく。

痙攣するイリナの膣に、ゴツゴツのペニスが、
何度も何度も打ち込まれ、
キースの巨根が、子宮口をえぐり、密着させてほとばしらせた。

「いく、いく、いく、いく、いくうううううううううっ!!!!」


絶叫するイリナは、これまでに無く淫らで美しかった。

『ナカ出し23連発』と下品な題名をつけられたこのAVは、
当然のように、異常な売り上げを記録することになる。


そして、イリナの肉体は、
この暴虐の歓喜を、忘れる事ができなくなっていくのだった。
次の話
前の話