■ EXIT      
秘められた山荘・三日目

「う〜、さすがに腰に少し来たかな」
香織は、乱れきった夜にすこし後悔しながら、この刺激的な時間が、何となく止められないのに困った。

根っからセックスが大好きであり、しかも、相手はわけのわからない逃亡兵たち。
こわもてでありながら、子供のようにあどけなく、妖精たちのテクニックにおたおたして、なんとも可愛らしい。


「何となくかわいいんですよねぇ、兵隊さんたち」
まるでそれを読んだかのように、イリナが朗らかに言う。

スープの味を見ながら、すっきりと立っている姿は、それだけでも美しい絵のようだ。たとえ裸にエプロン一枚という姿であっても。

『まったくう、ハンスの果報者めぇ』
レズも大好きな香織は、イリナを心から捕らえてしまっているハンスが、何となく憎たらしくなる。

「それにしても、昨日のベルリナにはまいったわ。
Mがああも男を捕らえるなんてね・・・」
またイリナが、困ったような笑いを浮かべる。

「ベルリナさんとHした兵隊さんたちは、彼女に頭が上がらないみたいですよ。」
そういえば、彼女に頼まれたからと、暖炉で焚くマキを刈りにいく兵士を見ている。 香織はマジでめまいがしそうだ。
『どっちが捕虜なのやら・・・』

ただ、心中でそうつぶやく香織も、おびただしいファンを従えるAV界の女王なのだから、人の事は言えない。


食事を十分に取り、女性を存分に味わう、男というのは単純で、こうなると落ち着いてくる。そろそろ、先をどうするかに意識がむき始める。

何しろ、死ぬか生きるかぎりぎりの状態で、命がけの逃亡。
一個大隊約1000名がバラバラに逃げ出すという大騒動。

ゼヴェロスク連邦が大凶作だったとはいえ、極寒の環境に、食料が届かないというのは、即死ねと言うのと同じ。

しかもその原因が、食糧配給調整局の官僚全体による膨大な横流しで、配送を行う運輸局に十分な賄賂を贈らなかったことでバレるという、腐った官僚同士の泥試合。

食料が底をつき、臨時の物資輸送も半月以上かかる事が判明し、部隊を統率していた人望の深い准将が、絶望のあまり拳銃自殺、一気にたがが外れてしまった。

餓死への恐怖は、北方系の民族ほど激しい。
恐慌に駆られた兵士たちは、あるだけの車両や航空機などでバラバラに散った。

追跡は優先度の高い機体や車両から追われ、廃棄処分決定のプロペラ機で逃げ出した彼らには、追う手間すらかけられなかった。

だが、高度は上がらないわ、電子装備はほとんどつかえないわ、本物の嵐にまで流されてしまい、何度死を覚悟したか分からない。抜き忘れの燃料と、丈夫さだけがとりえのプロペラ機で無かったら、とっくに墜落している。

結果論だが、嵐の最中、極低空飛行で山脈間を抜けざるえなかったという自殺行為が、彼らをER圏の高度な防空網からすり抜けさせたのだった。

偶然と幸運だけでここにたどり着いた彼らは、実は、どうしていいか全く分からないのだ。

行動中の軍からの逃亡は軍事裁判、ほぼ絞首刑(彼らの常識では)。人里に降りれば密告される恐れがある(これも彼らの常識だが)。その恐怖が、まだ頭に張り付いていて、彼らを縛っていた。

だが、偶然と幸運はまだ切れてはいなかったらしい。
それも、思わぬ形で。




「な、なあ、ちょっと聞きたいんだが。」
一人の兵士が、おずおずと声をかけてきた。

香織はベランダで、乾燥したシーツを日に当てていた。
「なあに?」
ぱんっと手際よくシーツを広げたそこに、投射型の小型プロジェクター(タバコ大)が、ざらついた映像を広げた。

『ふふふ、さあ、どんどんきてね。私にいやらしいこと、いっぱいしてちょうだい。』 シスター服を思いっきりみだし、すらりとした脚を広げ、妖艶な表情で誘っているのは、香織自身だ。

「あらら、これって『淫乱聖女−いっぱいしてね・香織−』じゃない?」
香織が、大手AVでデビューしたての頃に作られた一本だった。
犯されたシスターが淫欲の道に落ちていくというチープな筋立てだが、香織の作品は全部大ヒットしている。

「や、やっぱり、あんた二条香織さんなのか?。」


あちらの軍でも、こういうAVは大事な慰めの一つ。
価値が高いのは、圧倒的にER圏から漏れてきた作品。
香織主演のAVは、一番奪い合いになるのだそうである。

「こいつはアームレスリングの優勝商品だったんだ。あの時は燃えたよ。香織のAVは欲しくて仕方なかったからな。」

香織には、別の意味でも感慨深い。
大手AVから抜けるとき、当然香織の版権の作品も全部持って出るはずだった。
ところがいくつかの原版が行方不明になり、うやむやにされてしまっていた。

『あのクソ社長、ゼヴェロスクのAV会社にうっぱらってたのね。』

現在のAVディスクは、立体映像対応の複雑な多層構造になっていて、原版とは、映像というより、デジタルデータ化された設計図に近い。

単なるコピーでは立体映像化が出来ないのだ。

ふと顔を上げると、男が少年のように頬を染めていた。
「夢のようだ。まさか本物の香織が目の前にいただなんて。」


今朝横にいた友人が、夕べには死んでいる。
ようやく任期を終えて帰ろうとしたやつが、流れ弾で倒れる。
いつ自分の番がきてもおかしくない。

人間至上主義とまではいかないが、帝国と険悪な関係のゼヴェロスク連邦は、エルフに対する抑圧政策をうちだしている。

しかし、彼ら末端の軍人たちに言わせれば『クソクラエ』である。
過酷な戦場で、女性たちの肌を見、色香を感じ、夢を抱くことで、苦痛や恐怖をどれほどやわらげられたことか。

そこにエルフでも人間でも一片の区別も入れたくない。
まして、サービス精神旺盛な香織は、大勢の兵士たちにとって、崇拝すらされそうな人気があった。この男の中でも、香織はすでに女神なのだ。


潤んだ灰色の目がぶあっと涙をあふれさせると、がばっと香織の足元に臥した。

「香織さん、いや、香織さまぁっ!」
香織のきれいで形のいい足に、男の唇が夢中でキスを降らせた。

「あっ、ちょっ、く、くすぐったいって、あんっ、」
右足を持たれ、思わずバランスを崩して、そばの長いすにへたりこむ。

男の鼻息と唇と舌が、足指の一本一本をそれこそしゃぶりぬかんばかりに愛撫する。 すらりとした脚が、宙で震え、舐め上げられるたびに、ジンジンする。

香織もかなり色々なSEXや愛撫は経験したが、ここまで熱心に足をなめつくされたことはない。

指の股をこすりまくり、かかとをあまがみし、足の甲からひざへ、ふくらはぎのラインをもどり、それこそ狂ったように脚を責めて来る。

「香織っ、香織さまっ、香織さんっ、」
くすぐったさと、気持ちよさ、男性の奴隷のようなしぐさに引き起こされる満足感、変態的な責めに奇妙に感じまくり、指を噛み、悲鳴を上げそうな快感に必死に耐えた。

足から身体に快感が繰り返し、胸元に汗が光りだし、乳首がプクリと勃起していく。
恍惚の色香が、身体中から立ち上り、長いすの上で、みだらに身悶える。

「くっ、いっ・・ちゃ・・、ううっ!」
未体験の異様な快感に、軽いエクスタシーが香織を突き抜ける。

淫靡な太腿に、ぬるりとした雫が零れる。
それを犬のように舐めまくる。

「おいしい、おいしいですぅ香織さまぁっ!」
しかも、目に写ったかわいらしいすぼまりに、さらに興奮する。

「ちょっ、ちょっと、そこって、ひうっ!」
かみつかんばかりに、輝く尻に顔を埋め、薄茶のすぼまりを舌先が夢中でほじりだす。

「もうっ、バカッ、変態っ、だめっ、だめえっ」
アナルも数知れずこなしたはずの香織だが、なぜか顔が赤らみ、目が潤んでくる。

それでいながら、身体はふにゃふにゃ、言うことを聞かない。
アナルにもぐりこもうとする舌先の感触、それが、背筋が逆立つほど気持ちがいい。

「ひっ!、やっ!、やあっ!、だめっ、だめっ、そんなっ、だめええっ!」
ついに力を入れきれず、犯されるようにほじり開けられていく。

「身体が、からだがぁ・・・、溶けちゃ・・・うううっ!」
ドロドロの快楽が、直腸を嬲り、犯し、もてあそぶ。
異様な言葉と欲情が、何度も響いたような気がする。

身体が溶岩のように熱く、ドロドロに溶け、何度もエクスタシーが走った。
明るい日差しの下で、白い背筋が、何度も折れんばかりにのけぞった。
乳房を手すりに押し付け、激しく身体を震わせた。



「だめよおお・・・、だめえ・・・、いっちゃうのおおぉぉ・・」
ギシッ、ギシッ、ギシッ、

長いすがきしみ、香織の聞いたことも無いような声が、か細く響く。椅子の上の男が、香織を腰に乗せ、乳房を嬲るようにもみしだき、アヌスに己のペニスを深々と突き刺して、執拗にこね回す。

前に立った男が、香織の両脚をかつぎ、ふくらはぎにほおずりながら、黒光りするペニスを、ズブズブとヴァギナの奥までめり込ませていく。

耳を咥えられ、嘗め回されて、細い肩がふるふると震えた。



普段クールに見えるが、その実は情の深い女なのである。

後からきた連中も、彼女が香織と知ると、目を輝かせ『香織さん、香織さま、香織ちゃん』と、繰り返しささやき、夢中で愛撫とSEXを繰り返す。

こうなると、香織の情がドロドロに蕩けてしまい、心身ともにメロメロになってしまっていた。

蠢く律動が、身体を深く征服し、快楽にドロドロになった肉体は、歓喜の代償に無防備に広がりつくす。

腰がのけぞり、足が跳ねる。

グジュッ、グジュッ、ジュブッ、
ズブッ、ズブッ、ズルッ、グブブッ、

濡れた音が、肉の奥まで突き刺し、快感の塊が、子宮をこじ開け、腸内を嬲りつくす。

恍惚と朦朧、喜悦と喘ぎ、痙攣が容赦なく胎内にほとばしる。
ドクゥッ、ドクウッ、ドクウッ、ドクウッ、

下腹いっぱいに注ぎこまれる精液、あふれ、滴り落ちていく感触、のけぞり、あえぐ顔が、これ以上はなく淫乱に、美しく見えた。

身体は熱く、肉感の律動は止まらない、香織は、めったに感じない満足と、渇望に、悶え、喘いだ。

「もっと、もっとちょうだい、もっと、めちゃくちゃにしてちょうだいいいっ!」
新たな男が、固くそそり立った欲望を、香織の望むままに、押し当て、一気に突き入れた。

「ひぐうっ!、あっ!、あっ!、すごいっ!、すごいのおっ!」
香織は肉の奴隷となって、狂乱していく。
ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、・・・・・
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