ブラック・リバー
絢爛と輝く大都会にも、それは脈々と流れている。
人が生きる所に必ずあるもの・・・川。
水の源であり、循環の原点であり、そして・・・・・時としてあらゆる物を飲み込む魔物ともなる。
都会の夜景、その光を吸い取るかのような、黒々とした川面。
波は輝かず、よどみは底なしに暗く、その上を渡る風はなにか物悲しい。
闇の中を、よろよろと歩く姿がある。
愛らしかったであろう服はズタズタに裂け、長い脚にいくつもの擦り傷や血が流れ、美しい人形のような顔に、凄惨なあざや流血が滴る。
「おにい・・・ちゃん・・・」
軽い水音が、闇に飲まれた。
ギシッ、ギシッ、ギシッ、丈夫な木製の手すりが軋む。
「あんっ、はっ・・はあっ、だめっ、すごいっ!、ハンスっ!」
まくりあげたスカートの下から、真っ白い美しい尻が現れ、長いすらりとした脚が、震えながら広がる。ずり下ろしたピンク色の下着が、足首にひっかかったまま、揺れ動く。
愛らしく知的な美貌が、妖艶な女の色香をまとい、ピンクの唇があえぎと、淫らな声を漏らし、漏れ出る銀液に濡れ、輝く。
指先が、可愛らしい乳首をとらえ、快感がイリナの中枢を走る。
「ひゃああんっ!」
「だっ、だめだよ、イリナっ!、声がっ!、」
そう言いながら、吸い込まれ、しゃぶり上げられるような膣に、さらに激しく、叩きつけ、全体をこすりつけんばかりに突き入れる。立派なカリの張ったペニスが、イリナの奥深くを引っ掛け、柔らかな内膜を、ゴリゴリとこすり立てる。
「だって、だって!、ひああっ!、いいっ!、ハンスッ!、いいのおっ!」
声を上げる度に、ぎゅうぎゅうと締め付ける快感、締められるほどに、浮き上り、盛り上がる血管の刺激に二人は止まるに止まれず、一気に頂点まで駆け上がる。
「ハン・・スッ!」
「イリナ・・・あああっ!」
けだもののように密着する身体、深々と突き抜ける灼熱。
痙攣が絶頂を引き連れ、射精が咆哮を放つ。
「あ・あ・あ・ひいいいいっ!!」
ドビュウウウウウウウウウウウウウウウッ
子宮の中に直撃される快感、二人の手が握り合い、痙攣が溶け合っていく。
イリナの白い下腹部が何度も震え、痙攣し、胎内に流れ込む脈動を伝えていく。
久しぶりのハンスとのデート、肌を重ね、言葉を交わし、キスをからめ、エンドレスで続く至福の時間、夜の闇すらも、イリナには悦びのとばりでしかない。
気品と知性が溶け合う美貌。
愛くるしく、やさしい性質、瑞々しくしなやかで、どこまでも受け入れて止まない肉体、王家の血を引き、高度な魔法使いであり、高い知性を有し、そしてミュルス妖精館を代表する妖精。
この最上の女性に愛され、求められて、ハンスも雄々しく応えずにはいられない。
やさしい闇のとばりの中で、二人は激しく愛し合った。
「ハンス・・・幸せ・・・」
「ぼくもだよ、イリナ・・・」
月が、雲の間からそっと顔をのぞかせる。
月光が静かに広がり、あたりの闇をそっと押しやる。
川面のきらめきの間から、それがのびる。
「ひ・・・・っ!」
二人は息を飲んだ。
波の間から、白い腕が月光にしらじらと光った。
静かな公園の暗闇は、騒然となっていた。
イリナが腕に生命オーラが揺らいでいる事に気づくと、ハンスが飛び込み、イリナは救急車を呼んだ。
引き上げたのは、14、5歳の少女だった。
救命手当ての心得があるハンスが、心臓マッサージと人工呼吸を行い、イリナが急いで火炎をよび火を焚き、回りの空気を温める。
3分ほどで、少女の胸が上下し始めた。
救急車がくる音がした時、明るい金色の目がうっすらと開いた。
「だいじょうぶ?!」
「おいっ、しっかりしろ!」
ハンスをみた時、唇がうごいた
「おにい・・・ちゃん・・・」
病院に運び込まれた少女は、重い傷こそ無いものの、全身傷だらけで、ひどい凌辱の跡すらあった。
ただ、困ったことに、名前、住所、手がかりが一切無い。
失心した少女は意識が戻らず、持ち物がまったくなかったからだ。
さらに問題だったのが、第一通報者であるイリナの身分証明のパスをチェックされた途端、特記事項0417によりIDへのアクセスが否定され、対応した警官のアクセスコードが凍結されてしまったのだ。何がどう処理されたかは、はるか上のほうの問題らしく、二人は僅かな事情聴取を終えた後に即座に、丁重に送られて帰ることになった。
さすがに、何が何やら分からないままでは、二人も落ち着くものではない。
翌日、二人そろって少女のお見舞いに行く事になった。
ERの治療技術は、外傷だけならほぼ数日で完治する。
骨折すらよほどの重態で無い限り、一週間かかる事は無い。
だが、受付で申し出ると、係員が不安そうに目を見交わす。
「ど、どうしてもお会いになりますか?」
何かあったのか問いただすと、途端に全員口をつぐんだ。
少女はベッドに起き上がっていた。
ざわり
ゆっくりとこちらを振り向く。
全ての人間の顔は、左右均等ということはまずありえない。
だからこそ、個性があり、美に多様性がある。
だが、この少女は例外中の例外だ。
美しい、けむるようなまつげが開く。
冷たい羽毛でなでられるような、不思議な感触が背筋を走った。
右の金と、左のわずかに銀のかかった瞳、オッド・アイと呼ばれる『魔の瞳』。
感情が揺らめく、心が不安定に、心臓がどうきを打ち始める。
目が瞳に吸い寄せられて離れない。
もし、イリナが多様な経験を積んだ妖精でなかったら、どうなっていたか分からない。
イリナは瞬間的に印を組み、ある種の結界を自分とハンスに張った。
力が散り、感覚が自分にもどってくる。
ハンスが、高い息を漏らした。
額に汗をかいている。
彼もまた、イリナという最高の女性に導かれていなかったら、理性を失っていたかもしれない。ようやく、イリナに受付の動揺の意味が分かった。
彼女を診察や世話をしようとして、何人もおかしくなり、襲いかかろうとして取り押さえられたのだ。
実際、何人もの医療関係者が、情緒不安定で診察を受けている。
「い、いまの、いったい??」
「この子、天然の魔法使いだわ。私も初めてみるけど、だれにも習わず、意識すらしないで力を出してしまうの。」
『それも、これは・・・・』
イリナの眉が曇った。
「おにいちゃん」
少女は幼子のように手を伸ばし、不自由な身体を無理に動かして、ハンスににじり寄ろうとした。
ベッドから落ちそうになるのを、慌てて支えると、少女はひしとしがみついてきた。
「おにいちゃん、おにいちゃん、」
ただただ、ひたむきにハンスにしがみついて、そう言い続けた。
イリナが魔法結界をほどこした医師や看護婦が、ようやく正常に彼女の診察を始めた。
記憶喪失と、幼児退行を引き起こしているらしかった。
それにしても、おかしな事に、彼女の身元が全く分からない。
行方不明届はおろか、警察の認証チェックすらひっかからないのだ。
だが、意外なところから手がかりが舞い込む事になった。
二人はデートの帰りに、少女を見舞うために病院へ行った。
あまりのひたむきさに、イリナも心穏やかではないが、ハンスを信頼しているので、やはり少女のことが気がかりでならない。
そして、何より、彼女の特質が心配だった。
彼女が師事した高齢の導師が、特に注意させた力なのだ。
日が暮れかけ、病院も散閑としていた。
だが、様子がおかしい。
受付嬢がぐったりしている様子をみて、軍の訓練を思い出したハンスが、「イリナ、ガスだ!」と、とっさに警告する。
強力な即効性の麻酔ガスがまかれたらしい。
イリナは即座に風の結界をまといつかせ、ガスから防護をした。
少女の病室に駆けつけると、ベッドが運び出されかけていた。
「ちっ、まずい」
迷彩の戦闘服と暗視装置、かなり重装備の4人が、即座に発砲してきた。
だが、まといつかせた風は、弾丸をそらす効果がある。
「イリナ、明かりを!」
イリナは即座に意味を理解し、天井の明かりを魔力弾で消した。
ハンスが一気に間合いをつめる。
暗視装置をつけた目には、その動きははっきり見えていた。
だが、それがハンスの狙い。
ナイフやワイヤーを手に殺到してきた瞬間、デートに持ってきた小型カメラのフラッシュを焚いた。
「ぐわあああっ!」
目を焼かれ、ころがりまくる4人は、即座に失心させられてしまった。
「彼女は無事?」
「ああ、眠っているだけだ」
「それはようございました。」
甲高い、女のような声。
ぎくりとして、二人がふりむくと、入り口にさらに男性が4人、しかも、こちらに銃口を向けていた。すでに風の結界は解いていた。
後詰の4人が、遅い事に気づいてやってきたのだ。
「さあ、ベッドからどいてもらいましょうか」
キーキーした嫌な声の男が、にまっと笑った。
だが、ベッドから離れれば、容赦なく撃つだろう。
二人が銃を構え、二人が近づいてきた。
魔法を使おうとすれば、遠距離から撃つ、明らかに魔法使いに対する心得だった。
「ん・・・おにい、ちゃん・・」
その時、ガスの効果が切れた少女が起き上がった。
しかも、ためらいも無くすがりつく。撃てなくなった。
「ちっ!」
近づく二人が急いだ。同時に、銃を持った二人が倒れた。
イリナとハンスが驚愕する。
襲撃者は、それを自分への恐怖と信じたまま、首筋への打撃で、全身が痺れた。
だが、一発だけ、銃弾が飛び出した。
銃弾は、少女の頭をかすめ、衝撃が少女の脳を揺さぶり、途切れた時間を引き戻していった。
******************
「にいさま、にいさまぁ。」
振袖姿の、美しい少女が、優しく、穏やかな兄に駆け寄る。
両親が事故で亡くなり、ショックで重度の対人恐怖症になった妹。
兄は両親の遺産をもとに、事業を起こし、妹を大事に慈しみ育てている。
エルフの血を引き、ゆっくりした時が、二人の間を流れていく。
いつしか、兄は妹の世界全てになっていった。
妹の名前は、マイ・クレメスティン、兄はセスナ・クレメスティン。
マイは、いつまでもこの世界が続くものと思っていた。
だが、永遠に続く幸せは無かった。
兄が事業に失敗し、借金の取立人が家に押しかけるようになった。
苦しみあがく兄に、マイは初めて兄を守りたいと思った。
そして、自分の意志で玄関に立った。
だが、銀行の支配人はマイの美しい姿に目を奪われ、そしてその目が見る見る血走っていく。
「え??」
入り口の敷き物の上に押し倒され、唇を貪るように吸われる。
『この方は、にいさまとは違うキスをするのですね。』
自分に何をされているのか、この世界の事を何も知らぬマイは、なにげなしに、兄にされるときのように、返す。
それが、力を送り込んでいるともしらず、さらに男の狂気を加速する。
胸元をはだけられ、まだ小ぶりな美しい乳房が剥き出しになる、それにかぶりつき、無理やりにもみしだく。
白いはかなげな乳房に、無惨な痕が散る。
脚を広げさせられ、宝玉のように白い脚が剥き出しになり、けだものじみた喘ぎが、激しくなる。
間に男が狂ったように押し込んできた。
「う・・・っ!、いた・・っ!」
傷みが身体を貫いたが、マイは、したいようにさせた。
『こうしている間だけでも、にいさまに何も言わない。なら、したいようにさせておこう。』
身体の痛みなど、何ほども無かった。
怒鳴られ、苦しげに頭を下げつづける兄を見る方が、よほど心が痛い。
無様にあえぎ、腰を振る男に、自然と腰がうねり、身体がくねる。
少女の白い裸身は、妖しい蛇のようにうねり、暴力的な強姦を、柔軟に受け止め、
意識もせずに男の快感を増幅させていく。
傷みも、少しずつ柔らぎ、奥からゆらぐような気持ち良さがそれに代わっていってくれた。
男のぶつけつづける狂気も、脚を絡め、奥へ導き、兄のもとへは行かせないと、だた、自分の所へとどめるようにすがりついて離さない。
何か、熱く、盛り上がってくる。だが、それに手が届く前に、うめきと、痙攣が中にほとばしった。
「う・・・・!!」
ひどく熱く、激しいほとばしりが、何度も、細い腰の奥に撒き散らされる。
ようやくそれが、性交というものであり、殿方の精子が、自分の中に入ったのだと理解した。
「な、何をしている、貴様!!」
セスナに殴られ、蹴り倒され、支配人はようやく正気に返った。
借金を請求しに行って、強姦するなど、これでは、自分が犯罪者ではないか。
しかも、女性の身体には処女の証しすら流れている。
自分の地位も家庭も間違いなく崩壊する。
いつのまにか、必死に懇願していた。
「借金も帳消しにするから、どうにか穏便に済ませてくれ。」
マイは、不思議そうな目で、ゆっくりと乱れた身体を起こした。
初めての性交も、彼女には、何ほどのショックもなかった。
ただ、兄をいじめていた相手が、兄に土下座している。
身体の痛みより、そのことが何より嬉しかった。
・・・マイは自分が兄を守れる事を知った。
少女は、天性の魔女だった。
兄を守りたいと思い出した時から、彼女の恐るべき力が雪崩のように動き出した。
しかも、異能者にしばしば見られるように、知能指数は200を超えていた。
情報端末からのみで、恐ろしく的確な相手を見つけ出し、狙った場所で相手と対面するだけで、相手は狂い、彼女に襲いかかる。
マイはあらかじめ超小型VTRをいくつも仕掛け、自分の凌辱されるさまを、平然と映していった。
彼女に狙われて、逃れるすべは全く無かった。
「全てはにいさまのため、私の全てはにいさまに捧げますわ。」
にこやかに微笑みながら、ビデオの中で、狂乱する男たちに白い肌をためらいも無く晒す。
細くはかなげな裸身が、無体なまでに折り曲げられ、押し広げられた清楚な花芯を、欲望に脈打つ陰茎が無惨に突き広げる。のけぞり、痙攣する下腹に、脈動が容赦なく埋まっていく。
「あひっ!、あっ、ああっ、ひぐっ!、くっ、そんなっ、あっ、あたるううううっ!!」 喘ぎ、乱れるマイの白い顔、それは恐ろしく美しく、そして、なまめかしかった。
破産し、全てを失っていた兄に、その狂愛を止める力は無かった。
それが、どれほど兄を苦しめていたかすら分からず。
金と力が、恐ろしい勢いでマイの元に集まる。
だが、それに気づいた集団がいた。
***************
襲撃者が倒され、その後ろに黒づくめのほっそりした姿が立っていた。
「すみません、イリナ様。お怪我はありませんか。」
王室警護を担当するの特殊部隊が乗り込んできた。
「ああ、キャミイさん、ありがとうございます。」
面識のあるダークエルフの女性隊長に対する礼もそこそこに、少女の様子を見ると、軽くかすっただけのようで、失心していた。
「こいつら、ラグ・ラマルカです。」
ハンスが顔色を変え、イリナも愕然とした。
優れた統治と、政治システムで極めて安定しているERだが、人の心の影に、こっそりと巣食い、亡霊のように動き回る組織があった。
『人類至上主義』という、心の暗部をかきたて、
体制に反発する者たちに工作員を送り込み、影で結びあるいは煽り立てて勢力を弱体化させる。
それを、『ラグ・ラマルカ』という。
様々な集団が小さく無数に作られ、火種として育てられていく。
もちろん、リヴァール王国連合が手を貸していることは間違いない。
本来ならば付け入る余地の少ないER圏内では大きく育つはずも無い勢力であった。情報部はER圏に潜むラグ・ラマルカを一網打尽にするために泳がしておいたのだが、状況が変化する。
ラグ・ラマルカの一派は、ミュルスの力、外交や交渉に関わるSEXコントロールや、情報収集の力がかなり強い事に気づき、それに対抗する手段を探していた。
そして、マイ・クレメスティンを見つけ出して接触を計る。
「お兄様のために、私たちにも協力させていただけませんか。」
マイは気軽にうなづいた。
彼らの申し出は、マイに何の問題も無かったからだ。
キャミイが感情を殺した声で言った。
「この数ヶ月、国政の要衝にいる者たちの言動に異常が見られ、方向がラグ・ラマルカに有利な点が共通しています。そして、本来把握していたはずの、ラグ・ラマルカへの資金の流れにも、かなり不明な部分が発生し始めました。」
つまり、急激に力と金が集まりだしたということだ。
「諜報部が掴んだのが、マイ・クレメスティン。この少女の暗躍です。」
**************
ラグ・ラマルカのセッティングで、マイは、優雅であでやかなドレスをまとい、あるいは清楚な振袖姿で現れ、様々な男性たちと“偶然”出あった。
化粧室の入り口で、階段の踊り場で、エレベーターの中で、急にエレベーターが止まり、室内が暗くなる。
マイが、おびえると、次期大臣は確実と言われたトスカナ議員は、次第に目が血走り、意識が興奮してくる。同時に、ガードマンとして乗り合わせた二人のSPまでも、興奮し、理性を失っていた。
ビリッ、ビリイッ、
「や、やめてください、いやあっ」
ドレスが暗がりの中で引き裂かれる。
ほっそりと美しい脚が剥き出しになり、愛らしい乳房が、細い手に隠される。
だが、後ろに下がろうにも、狭い密室。
追い詰められたマイは、のしかかる男たちに押さえつけられた。
白い肌が暗がりに鮮やかに浮かび上がる。
「何と真っ白い肌じゃ」
「すげえ、すげえぞこの女」
折れそうな繊細な裸身が、剥がれ、むかれ、さらけだされる。
「いや、いや、やめてえ、うぐっ!」
叫ぶピンクの唇が、異臭のする獣じみた物に塞がれる。
議員が乳房の間に顔を埋め、立ち昇る香りに酔い痴れ、しゃぶりつく。
細い胴から銀細工のような腰の間へ、茂みの淡い陰りに唇を埋め、咥え、すする。
「んううっ!、んっ!、んんっ!、」
口に激しく押し込まれる亀頭に、喘ぎ、のたうつようにして、なめまわし、飲み込んでいく。マイは、いつしか快楽を楽しむ事も覚えていた。
充血したクリトリスが、丹念に嬲られる。老練な舌先と唇に、しなやかな脚を震わせ、快楽の波に、美しい眉を震わせ、白蛇のような裸身をくねらせる。
白い肌は汗に光り、立ちのぼる色気は、恐ろしく妖艶だった。
老人のものとは思えない黒い剛直が立ち、濡れて喘ぐように滴る花弁に、固い亀頭を当てた。
『ああ、なんて凶暴な殿方・・・』
マイの欲望が、嬉しげにつぶやく。
「んぐうううっ!」
ミチミチミチッ。
圧倒される感覚が、花弁を押し広げ、膣を開拓していく。
老練なペニスは、容赦なくマイの細い身体を貫いていく。
満たされる快楽に、全身が震え、喉にたまらずほとばしる精液が、ほろ苦く広がる。
「んうっ、ううっ、んぐっ、んぐっ」
白い喉が鳴り、飲み込んでいく。
あふれた精液が、唇から細い喉へ滴り落ちていく。
突き上げる動きが、脚を広げ、腿が閃く。
激しく揺れる足が、激しい律動に屈曲する。
交代する男が、マイの唇に押し込み、あえぎながら、それを受け入れていく。
突き上げる肉感が、濡れた音を深く突き刺し、灼熱の塊が、膣底をえぐり、こねまわす。
動きに合わせ、腰をくねらせ、きつい膣に、さらにしぼり、はさみつける。こすれる感触が、ぴりぴりする快感を走らせ、若いしなやかな身体が、あえぎ、のけぞる。
うめきが深く、奥まで、マイが痙攣するほど突き上げた。
ドクウウウウッ、ドクウウウウッ、ドクウウウッ、ドクウウウウッ、
叩きつける快感に、細いつま先が震えた。
いつしか解かれていた手が、しがみついていた。
四つん這いにされ、先に飲んだペニスが、膣をばね仕掛けのように突き上げる。口にはガードマンのペニスが、ぬるぬると出入りし、最近覚えたアヌスには、議員が押し入れいていく。
脚ががくがくと広がる。細い折れそうな喉が、突かれ、えぐられる。長い黒髪を掴まれ、アヌスにゴリゴリとめり込む。
「んふっ!、んんっ!、んうっ!、んうっ!、んんっ!」
恍惚とした目で、激しく動く腰をうっとりと見る。焼けるようにこすれるアヌスを、何度も締め、こすり、腸深く押し込まれる快感に星が散るように感じる。
三方から責められる快楽も、最近は馴染み深く、深い愉悦に突き落としてくれる。
膣全体がえぐられていくような感触で、ペニスが突き上げ、えぐり尽くす。子宮口に突き上げ、突き刺さり、その奥まで、貪欲に犯す。うっとりと、マイは快感のリズムを楽しんでいた。これが、兄の役に立てる事に、至福の喜びを感じていた。
何度目かの痙攣がヴァギナを突き上げる。
ドビュウウウッ、ドビュウウウッ、ドビュウウウッ、
「んうううううっ!!」
シャワーのようにほとばしる感覚に、腰を震わせて、のけぞった。
恍惚の極致のようにあえぎ、飲み込んでいく。
『今日は、こういう殿方と肌を合わせました。』
マイは、心底微笑みながら全て兄に報告する。
トスカナ議員まで毒牙にかけられたことに、今度こそセスナは衝撃を受けた。
『この国自体も大変な事になる』
両親が愛した国が壊れる事だけは、セスナには耐えられなかった。
本気で止められると、マイは素直にうなづく。
慌てたラグ・ラマルカは、マイを誘い出し、兄を説得したからとだまして仕事を請け負わせながら、セスナを抹殺した。
だが、一つ忘れている事があった。
二人は兄弟であり、エルフの血のつながりは、ある種の力となる。
セスナがマイの力に揺らがないのもそのせいだった。
コンクリートブロックにくくりつけられ、川に投げ込まれたセスナの断末魔は、ラマルカの支部から出ようとしていたマイに届いた。
それは、マイの世界の崩壊だった。
「にい・・・さま・・・・」
へたりこむマイから、目に見えるほど強烈なパワーがあふれだす。
際限なく暴走する力に、支部の全員が狂乱した。
放心するマイをおしたおし、ひきちぎらんばかりに輪姦する。
マイに群がれない男や女は、銃を乱射し、ナイフを振り回し、火をつけた。
情報部が突入準備を整えた頃には、ラマルカの支部は壊滅していた。
**************
「そう・・・そんなにすごい力だったの。」
イリナもハンスも、彼女のしでかした出来事に驚くしかなかった。
イリナは、彼女の『魅了』(チャーム)の力にきづいていた。
そして、イリナは、それが一歩間違うと破滅の力であることも、導師から教えられていた。
『よいかイリナ、弱い『魅了』の力なら心配ない。だが、極めて強力な『魅了』は戦争を引き起こし、国家を滅ぼすことも多々ある。古来より『傾国の美女』と呼ばれるのは、強力な『魅了』能力者であることがほとんどなのじゃ。だから、この力には特に慎重にならねばならん。』
「支部で発見された監視システムの残骸から、ようやく事の全貌が解明されました。」
ところが、死体の中にオッド・アイの女性がいない事が判明し、大騒ぎになった。
「私がイリナ様の情報担当でしたが、そちらの騒動に狩りだされて情報が遅れてしまい、女性を助けたという話を聞いたのは30分前、直感で駆けつけたのが幸いでした。」
実際は、その間に別の人間がイリナの情報管理をしていたのだが、学歴ばかりの無能な人間で、事件をファイルに放り込んだだけで済ましていた。キャミイが気づかなければ、大変な事になっていただろう。
その愚か者は思いっきりぶん殴られ、2ヶ月は顎がつかえないそうである。
「この重装備からみて、襲撃者たちは、ラマルカの中でも他国から派遣された情報部直属の連中でしょう。」
いざとなれば、破壊活動や暗殺も担当する相当な腕っこきと見ていい。イリナたちも、かなり危なかったわけだ。二人は背中に冷たい汗を感じた。
「表ざたにはなりませんでしたが、ビデオで脅されていた市制に関わっていた議員たちはほとんどが辞職し、各界の有力者も、後継者選びに大騒ぎです。こちらはその後始末にてんてこ舞いですよ。」
キャミイが話し終えるとほぼ同時に、軽い電子音が鳴った。特殊な盗聴防止ジャミングのかかった通信音が聞こえる。
キャミイは、申し訳無さそうに頭を下げた。
「イリナ様、ハンス様、お二人には申し訳ないのですが、現在その方が出歩かれると、混乱がパニックになりかねません。今夜だけは、その方を見ておいてあげてもらえないかと、女王陛下からのご要請です。さすがの陛下も、今夜だけはどうにもならないようなのです。」
申し訳無さそうに、キャミイは説明し終えると頭を下げた。
「大変なデートになっちゃったね。」
イリナはにこやかに首を振った。
「私はハンスといられれば、どこでも幸せよ。」
だが、病院のベッドで寄り添って眠る二人は、頬に優しいキスをされても、何も気がつかなかった。病院を見張っていた特殊部隊すら、ただ1名を除いて全員が眠らされていた。
マイの恐るべき特殊能力は『魅了』だけではなかったのである。だが、その状況下にも関わらずマイに気配を悟られず、監視を行う者がいた。
「・・・死を決意した者にかける言葉はないか・・・」
ニーベルンゲン特殊作戦群に属するガウィン中佐は、マイが危険行動を起こした際に速やかに処理する極秘任務を受けていた。
一枚の便箋が、ベッドに置かれた。
『イリナさん、ハンスさん、色々ご迷惑をおかけしました。
ハンスさんは、お兄様にとても似ていました。
優しくしてくれてありがとう。
おふたり、お幸せに。
私はおにいさまのところへまいります。道中とても苦しいとは聞きました。
でも、どんなに苦しくても、痛くても、おにいさまのいるところなら、私は幸せです。
マイ・クレメスティン 』
川が黒々と横たわっている。
暗い川原で、少女は嬉々として、小石を服に詰め込んでいる。
ハミングを歌い、何個も、何個も、とても幸せそうに。
花畑で、少女が冠を編むように、ほほえみながら、愛する人をひたすら思いながら。
やがて、軽い水音が、暗い川に吸い込まれていった。
全てを吸い込んで、暗い川が静かに横たわっている。
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