Prologue Another Innovation
また1人、友が逝った。
数え切れない程の星の光が瞬くこの宇宙という空間で、その最後の命の輝きを放って。
機体の爆散と共に散る紅のダイヤモンドダストが、まるで血潮の如く流れ出て、漆黒の虚空を彩って消えた。
俺は、彼とは別の機体のコクピットの中にいた。
操縦桿を握る手が彼の死に震え、それを成した敵への怒りに臓物が煮え繰り返る。
俺は機体を駆り、突撃した。
光弾を吐き出す機銃を構え、目の前の敵に殺到した。
―――――その時だった。
「…………何、だ!?」
俺は、目の前に広がる光景に唖然としその動きを止めた。止めてしまった。
戦場にいる限り、動くことを止めた兵は恰好の獲物だというのに。
我らが聖典から溢れ出す翡翠色の凄まじい光の奔流に、見惚れてしまったのだ。
俺は当然、撃墜された。
機体は四肢をやられただけで当たり所がよかったらしく、爆散は免れたが、コクピットが内部からショート、小さな爆発を起こした衝撃で、俺は負傷する。
薄れゆく意識の中、俺は自分の瞳が黄金の光を発していたことに気づかなかった。
この日―――――俺は、確かに変革した。
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