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帝国戦記 第四章 第01話 『習志野第1空挺団』


生まれながらの勇者はいない。
勇者は訓練と軍紀によって育てられる。

フラウィウス・ウェゲティウス・レナトゥス





1906年 06月1日 金曜日
北極圏にあるスヴァールバル諸島が、ノルウェーとスウェーデンの両国との交渉を経て公爵領に編入となった。帝国重工はノルウェー、スウェーデンの両国に1億円を支払う事で、この不毛の島を購入したのだ。秘密条約として1908年までに両国に対して大淀級巡洋艦1隻、峯風級護衛艦6隻を両国に無償援助する事も約束している。

そして、帝国重工からの発注により、佐世保工廠と呉工廠の各工廠それぞれで、1隻の大淀級巡洋艦、4隻の峯風級護衛艦の建造が始まっていた。




1906年 06月13日 水曜日
南シナ海(コンソン島、クーラオツゥー島、南沙諸島、西沙諸島)、東シナ海(台湾、蘇岩礁(埋め立て)、済州島)、日本海(対馬、磯竹島、竹島、択捉島)の主要島に対して漁業公団による哨戒基地および漁業基地の建設が始まる。また、舞鶴工廠で通商路・漁船保護を念頭に置いた鵜来級海防艦の大量生産も始められる。




1906年 06月24日 日曜日
広報事業部が日本圏全域に対してラジオ放送を開始。
レジナルド・フェッセデンに先駆けて半年も早い実用化であった。




1906年 06月26日 火曜日
フランスで開かれたフランス西部自動車クラブ主催のル・マン第1回グランプリ・レースで、イリナ・ダインコートが運転する高機動車が参加し、優勝を飾った。2位はハンガリー人のフェレンツ・シス(史実では1位)が運転するルノーである。この世界では、フランス西部自動車クラブは工作商会の影響下に置かれており、フランス政府の方針も相まって日本製の車両でも参加が可能になっていた。




1906年 07月02日 火曜日
広報事業部がジョン・ムーディー率いるムーディーズに先駆けて格付けを開始。
きわめて公平で正確な情報として、地位を確立していくことになる。




1906年 07月05日 木曜日
日本帝国はアメリカ合衆国に対してアメリカ領東サモアの購入を打診。




1906年 07月07日 土曜日
日本帝国に於いて国家情報法が施行される。
最高意思決定機関の直轄組織として、外交、国防、国内の政策決定に必要な諜報や謀略活動を行う、中央情報局が本格的に活動を開始。統括者である国家情報長官は、延命措置を受けて大将へと昇進した児玉源太郎が着任する。




1906年 07月16日 月曜日
帝国重工で建造が進められていた11隻の葛城級巡洋艦の内、8隻が就役。「古鷹」「加古」「青葉」「衣笠」は帝国軍へ、残る「黒姫」「樫保」「敷香」「幌内」が国防軍の配備となる。




1906年 07月20日 金曜日
横須賀工廠で建設が進められてる2隻の薩摩級戦艦に続いて、
3隻目の薩摩級の起工が佐世保工廠で始まる。




1906年 08月01日 水曜日
帝国重工がレニウム型電子励起炉を実用化。




1906年 08月14日 火曜日
都市開発事業部は本州の青森県から北海道を繋ぐ鉄道トンネル工事に着工する。




1906年 08月20日 月曜日
都市開発事業部がかつての歴史に於いて千住火力発電所が建てられた場所に、熱励起発電所(安定熱励起型レニウムリアクター)の建設を開始。将来に於いて確実に拡大する電力需要への備えた措置である。




1906年 08月27日 月曜日
夏島港第四工廠が完成。




1906年 09月01日 土曜日
帝国重工にてレニウム型電子励起炉を動力とする、指揮能力を強化し、運用費を抑えた軽空母の一種、制海艦の設計が始まる。














1906年 09月10日 月曜日

幕張地区に面する千葉県習志野市大久保地区にある、習志野基地で志願兵による特殊訓練が行われていた。この地は、かつて近衛師団に属する騎兵第1旅団本部が存在していたが、今では習志野基地として再編が行われ、様変わりしている。

習志野基地には帝国軍が推し進める中央即応連隊の構想に従って編成が進められている、習志野第1空挺団が駐留していた。従来から存在していた騎兵部隊も元の面影は無く、国防軍の支援の下で機械化旅団(自動車化旅団)への移行が進められていた。

また、習志野基地の軍事施設もかなりの規模で、4式輸送機「紅葉」が駐機し、格納庫が立ち並ぶ本格的な飛行場すらあったのだ。この空挺団には4式輸送船「銀河」からの落下傘降下もしくは、4式輸送機「紅葉」を使って空挺作戦を行う部隊である。世界に先駆けて編成を進める即応部隊で、精鋭軽歩兵としての位置付がなされていた。

もっとも、軽歩兵と云うのは国防軍の観点から見たものであり、
列強から見れば凶悪なまでの重装備だったが。

空挺団の格好は全地域型迷彩(ACU迷彩)が全身に施された95式個人防護装備を纏う。主兵装は95式小銃改と云う、銃身を囲むレールカバーに耐熱グラスファイバー製XTMパネルが施され、ピカティニー・レールには安定した射撃に欠かせないフォアグリップと、射撃精度を上げるホロサイトスコープが付けられている特注品である。

空挺団の装備も優れる事ながら、
彼ら全員が実戦に耐えうる徹底的な訓練を受けていたのだ。

教官として国防軍から赴いているのは、
特殊作戦群のリョウコ大尉である。

そのリョウコは実弾演習場に赴いており、彼女の前方には空挺団の各隊から集めた基幹要員と、 帝国軍士官学校から見学として来ていた何名かの士官候補生が居た。

「今日は貴方達に新しい火器を学んでもらいます」

リョウコがそう言うと、足元にあった180×35×35cmのアルミ製の収納ケースを開く。パイプの様な物に、グリップ(銃把)と引き金が付いていた物が、収納用のスポンジに綺麗に収まる様に入っていた。個人携帯肩撃ち式重火器として開発された6式多目的ロケット擲弾発射器(6式擲弾)である。後ろに控える2台の3式トラックにも同様のケースが多数積まれていた。

6式擲弾はSMAW(多目的ロケット発射器)の子孫というべき存在。

本体の全長が825mmで弾薬装着時が1320mmになる。弾頭部を除いた本体の重量は6.85kgに留まっていた。その弾頭部も、現在使用しているもっとも軽量な両用弾の1型弾頭ならば4kgでしかない。

これ等の事から、日本人でも十分に扱える重火器だった。

余談だが、6式擲弾の最初の模造品は1939年末(史実では1942年)に米軍が開発する事になるM1(60mmバズーカ)になるが、性能は比べるまでもなく6式擲弾には及ばない。6式擲弾は小型で軽く安価で短期間で大量生産が可能な重火器であったが、結局のところ、この時代を大幅に逸脱した技術が盛り込まれている兵器故に、現実的な量産が行えるのは帝国重工だけの話に限られていたのだ。

「大尉殿。
 それは一体、なんでありますか?」

兵の一人が好奇心を抑えられず、敬意を込めて質問した。

1年以上も前からリョウコ大尉から訓練を受けてきた彼らに、女であるリョウコを侮る様な感情は無い。リョウコは美人であったが、戦争経験者にして模擬戦でも無類の強さを誇る事から、例外なく畏怖されている。実戦的な訓練教官として、帝国軍の精鋭化に貢献していたのだ。また、帝国軍では、国防軍の実戦部隊で活躍する女性士官の桁違いの強さから、女忍者の血筋が任務に就いているのではないかと、実しやかに囁かれていた。

「これは空挺団から帝国軍に順次配備される6式擲弾ですわ。
 重火器の一つ…まぁ、百聞は一見に如かず。
 実際に使ってみましょう」

そう言うとリョウコは箱から6式擲弾を取りだす。

6式擲弾は照準と一体化した発射装置の後部に、弾薬ケースと発射管を兼ねた弾頭部を構成するチューブが取り付けられる構造になっていたので再装填が容易である。使い捨てではなく、再利用が可能なのも経済的だった。持ち運びが容易かつ、発射まで時間が掛らないのも実戦的な兵器と云えよう。

リョウコは手に取った6式擲弾の側面にあるセレクターを変更して、安全装置の解除を行う。これらの肯定を口頭で説明しながら進めていく。セレクターを変更に伴って遮断されていた弾頭部の点火系列が接続となり、PIBD信管(弾頭点火弾底起爆式信管)が起動状態に入ると、セレクターの前にある小さな起動ランプが点き、起動状態に入った事を示す。

6式擲弾が起動状態へと移行したのを確認した
リョウコは右肩に6式擲弾を担ぐと、右目で光学照準を覗き込む。

狙うのは500m先にある特殊コンクリート建造物で作られた、実弾射撃演習に対応した徹甲弾ドームに設置された標的。この標的は戦車砲による実弾演習を想定した特殊鋼によって作られており、簡単には壊れない経済性の良さである。また、耐爆処置が施されているドームなので、実戦レベルの炸薬を装填した弾頭の使用が可能だったのだ。

彼女の能力ならば光学照準を覗かなくても正確に狙えたが、手順を丁寧に見せなければ見本にならないと判っており、手順を頑なに守っていた。説明も丁寧だ。戦闘中は凶暴な彼女だったが、このような配慮は思いやりのある女性らしさが伺えた。

彼女は厳しくはあったが、友軍相手には理不尽ではない。

リョウコは優しく言う。

「既に発射準備を終えており、
 あとは狙いを定めて引き金を引くだけです。
 ただし、発射の際には後方に味方が居ないか確認する事」

幾つかの説明を行ってからリョウコは6式擲弾を構え直して引金を引く。引き金からの発射信号を受け取った6式擲弾の弾頭下部に内蔵されている推進薬が燃焼を始めて、約780℃のガスを後方に噴射しながら、意外と小さな音しか出さずに弾薬部が飛び出した。

発射時の反動は、ほぼ無反動。
弾薬部が標的に直撃し、爆発が発生する。

「す…すげぇ」

威力を見た年配の軍曹は思わず、その驚きを口に出す。

彼は日清戦争と条約間戦争を従軍していただけに、戦訓から携帯可能な重火器の存在が、機関銃と迫撃砲に次いで戦場に於いて革新的な存在になる事を理解していたのだ。

リョウコは3式トラックから別のケースを取りだす。

ケースを開けると6式擲弾の1型弾頭部が4つ収まっていた。
そこから1本を取り出して、全員に見える様に言う。

「今から再装填を行います」

丁寧に手順を見せていく。

後で取り扱い説明書を配布するが、念には念を入れて実技形式を行っていた。もっとも、これには先に説明書を配布しなかったのは、6式擲弾の実用性を見て驚く顔が見たかったからと云う、リョウコのお茶目な心も少しは関係していたが。

弾頭部の再装填を終えると、
リョウコは先ほど感嘆の声を上げた軍曹に顔を向ける。

「では、この6式擲弾を軍曹に試しに使ってもらいましょう」

「はっ!」

「それと、判らなければ、遠慮せずに質問しなさい。
 判らないまま進めて大きな事故が起こっては遅いのです」

リョウコは安全装置を掛け直した6式擲弾を曹長に渡す。
曹長は緊張しながらも、それを受け取る。

この6式擲弾の重量は……10から12kg位か?
思ったより軽くて持ちやすい!
これは7cm山砲とは大違いだな。

7cm山砲とは1883年から1897年まで帝国陸軍(現・帝国軍)で使われていた山砲である。全備重量は250kgを超えており、担ぐどころか一人で持ち運びすら出来ない。運用も然りだ。帝国重工製の兵器が帝国軍にもたらされると、完全に価値を喪失してしまい、1897年に軍縮を理由に清国に安値で売却を行っている。

「安全装置を解除してから構えて。
 目標を捉えたら報告を」

軍曹は返事を行ってから、安全装置を解除してから6式擲弾を構えた。
狙うのは先ほどと同じ標的である。

照星(リアサイト)、照門(フロントサイト)を両立している、
光学照準だけに照準を定めるのが早い。

「準備完了!」

「ぶっ放しておやりなさい」

士官候補生はリョウコの口調の変化に驚く。
慣れていた帝国軍の面々は平然としていたが。

軍曹によって発射された弾頭はやや標的からそれて、徹甲弾ドームに当たった。 標的を外してしまった事から、ばつの悪そうな顔をした軍曹をリョウコは労わる様に「気にしない様に。始めは殆どがそうなりますわ」と労わる。

リョウコは厳しくはあったが、無暗に厳しくはしない。
必ず緩急をつけていた。

軍曹に問題点の説明を終えると、リョウコは全員に向かって話し始める。

「外れたのは当然ですわ。
 いかなる兵器も相応の訓練を行わなければ、
 真価を発揮できません。
 なので、今日は徹底的に6式擲弾について学んでもらいます」

また、リョウコの好意によって、士官候補生として見学に来ていた彼等も射撃訓練に参加する事になる。士官候補生の中には今村均(いまむら ひとし)が居たのだ。彼は史実に於いて、占領地での軍政・指導能力は高く、温厚で高潔な人柄によって、占領国の現地住民のみならず、敵国であった連合国側からも称えられていた名将である。将来に備えて、名将の卵に対する教育も、この様にして着々と始まっていたのだ。














日本領となったニューブリテン島南方の夜空に1隻の見慣れぬ大型飛行船が飛行していた。飛行高度及び速度、そして飛行船の大きさからして欧米諸国の技術水準を大きく逸脱した存在なのが伺える。この飛行船は、史実の米海軍に存在した、5機のF9Cスパローホーク複葉戦闘機を船体内部にある収容ベイに搭載し、離着艦能力を保有していた空中航空母艦メイコンの派生とも云える飛行船だった。

もっとも使用されている技術は150年以上も先に進んでいたものだったが。

空中母艦としてのカテゴリーに括るならば、
GRF-84Fを爆弾槽に搭載したGRB-36Dの派生にも含まれるかもしれない。

この飛行船の名は6式大型飛行船「雲龍」

技術試験用としてAC-004A局地制圧用重攻撃機「飛龍」の設計をベースに対地攻撃ユニットの代わりに離着艦能力を持たせた飛行船で、南太平洋に於ける日本漁船の安全を極秘裏に守っている。

この雲龍は技術としては凄まじいものだが、 正面戦力としては正直なところ微妙だった。

何しろ、軽空母より小型の護衛空母にすら劣る艦載機しか搭載できず、防御力も水上艦艇に対して劣る。これらの事から、同等レベルが相手ならば絶対的な制空権下でしか運用できない。逆に軍事技術的に優越している状況ならば、相手側からすれば異様なまでの緊急展開能力を有する戦術ユニットとして使えるので、その長所を生かしてオーストラリア海軍による漁業妨害に備えていたのだ。

後は仮想敵国に同様の船を建造させて散財させる意図もある。

出力に関しては母艦運用に必要なエネルギーを得る為に小型高出力のレニウムリアクターを4基搭載しており、総合出力は飛龍よりも大きい。また艦載機が雲龍から発艦する場合は、紅葉では不要だが、必要に応じて電磁式射出機(リニアカタパルト)によって離陸速度を与えて発艦を行い、着艦には船体内部にある収容ベイに設けられた油圧式アクチュエーターで起動するトラピーズ・アームで、回収を行う。

雲龍が運用を行っている艦載機は5機の4式輸送機「紅葉」と1機の試作機である。

戦闘指揮所(CIC)の艦長席に最高責任者として座るのが、
準高度AIの霧島ユキナ中佐であった。
ユキナはリョウコの姉でもある。

ユキナ中佐は穏やかに言う。

「サーベラスは、もう少しで指定ポイントに到達するわね。
 できれば引き返して欲しいけど……」

ユキナ中佐は愛らしい容姿で、ややカールが掛かった髪の毛が特徴である。彼女は色んな電車に乗って景色を楽しむことを生きがいとしていた。日本文化を愛し、広報事業部が運営する神道系の狼森神社の巫女としても働いている。また、彼女は仮想敵国が相手とはいえ、無駄な血を流したくない優しさを持っていた、が…戦闘配置状態では、見かけによらず極めて攻撃的な思考に傾く。

どの位に攻撃かと例えるならば、
言葉遣いは丁寧なままであったが、
徹底した攻撃はリョウコ級と言えば判り易いだろう。
やはり姉妹である。

また、サーベラスとはオーストラリア海軍の軍艦であった。

満載排水量は雪風級護衛艦に匹敵したが、サーベラスの同型艦を20隻集めても1隻の雪風級に圧倒されてしまうほどに時代遅れの砲艦。しかし、非武装の漁船からすれば武装している時点で十分に脅威でもあった。現に、日本のサモア南東の勢力圏内で日本漁船が臨検を受けそうになった事もある。

オーストラリア軍が豪州圏で大きな顔をするのは勝手だが、
日本の勢力圏で大きな顔をするのはお門違であった。
付き合う義務もない。
そして、国家の最大の役目は国民の安全を守ることにある。

サーベラスに対しては、ここ2ヶ月で護衛艦で3度の警告を与えていたので、流石に四度目はない。仏の顔も三度まで。この時代の他の列強ならば自国勢力圏内での挑発に対しては、攻撃か威嚇によって返答を行うのが常である。雲龍も最高意思決定機関の命令によって、次に備えていたのだ。

「あ、サーベラス転進!
 警戒ラインから離脱していきます」

オペレーターからの報告によって、緊張感が薄らいだ。
艦長としての義務もあってユキナ中佐は冷静な表情だったが、
内心ではサーベラスの転進に安堵していた。

5分後に待機状態へと移行となる。

オペレーターが安堵したように言う。

「そういえば中佐、
 彼らの軍拡はどこまで続くのでしょうか?」

「イギリスに2隻のパラマッタ級の発注を行った様だけど、
 計画通りの軍拡は難しいでしょう」

「やっぱりそうですね。
 人口350万の農業国ですから」

「それに、いまだ貧弱な経済力しか持たないオーストラリアは軍拡よりも、
 社会基盤の整備こそ急務。
 身に余る軍拡を行っていけば、やがて大変な事になるでしょうね」

彼女たちの会話にあったように、オーストラリア連邦は軍事力を充実させる10年計画を立ち上げていた。計画内容はイギリス帝国に対して新鋭巡洋艦2隻(未定)、新鋭駆逐艦8隻(パラマッタ級)を発注し、完全充足の1個師団を新設する。この軍拡に主力艦の拡張を含めた第二段階が続くという、豪州経済の限界に挑戦するかのような内容だったのだ。

ユキナ中佐は少し悲しそうな表情を浮かべた。

オーストラリア連邦の態度と方針からして公平に見ても日本の準敵国であったが、その国民まで敵ではない。国力を無視した軍拡は最終的に国民に大きな負担を強いる事を、ユキナ中佐は知っていたからこその悲しみである。

だが、ユキナ中佐の心配を他所に、オーストラリアに於ける軍拡は自国経済を蝕みながらも、異様な熱意をもって続けられていく事になるのだった。
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【あとがき】
史実に於いても、あの時代のオーストラリアと日本の仲は悪かったりします。仲良くした方が、双方の利になるのに勿体無いなぁ。

雲龍は某ゲームの空中空母スフィルナよりもサイズは大きいですが、積載量の限界から搭載機は少な目に抑えています。個人的に空中空母で一番格好良いと思うのはバンシーW!

他の小説もあるので続きの更新は遅くなります事を御理解下さい。
また、第四章は主に編成や内政重視の内容になる予定です。

意見、ご感想を心よりお待ちしております。

(2011年11月03日)
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