生と死 その2
W・W・W(ワイルド・ワイド・ウェスト)は、
その土地の性質上、そして成り立ちからして、犯罪者の巣窟と言える。
殺気が多いのは、土地柄として当たり前。
誰もが息をのむ美少女エカテリナと連れ立っていても、
ウェモンにとっては、そよ風ほどにも感じない。
「ぬ・・・・っ?!」
太く濃い眉が、ぎゅっとつりあがるやl
エカテリナの細腰をさらい、建物の陰に走った。
エカテリナがえっ?と思うと同時に、
激しい銃撃音が起った。
耳をつんざく弾丸、撃ち抜かれる壁や窓、
運悪く、流れ弾に当たった悲鳴、
「襲撃だーっ!」
誰かが絶叫した。
町の正面から、馬や馬車でかなりの数の襲撃者たちが、
激しく銃撃を繰り返している。
銃撃音が倍に増えた。
ここはW・W・W、
撃たれて黙っているような人間は、むしろ珍しい。
町からの壮絶な反撃が、あらゆる建物や物影から吐き出される
だが、町の左右側面から、火のついたビンが飛んできた。
かなり燃焼性の高い液体だったらしく、
火と煙が猛烈に吹きあがる。
煙に隠れて、手榴弾や榴弾砲の弾が、立て続けに爆発した。
町の反撃は、たちどころに弱まる。
「やべえな、かなり組織だった連中だ。」
ウェモンは、弾の来ない路地を、あたりの気配を感じながら、
素早く移動していく。
「前に特殊部隊の訓練兵から襲われたわ。」
エカテリナの言葉に、白い歯をギリッと鳴らせた。
1人いりゃあ、30人はいそうだと、
いやな昆虫並みに不快を感じる。
戻るべきか、と足を止めかける。
「だめっ!、ケガをしてる人ばかりなのよ。」
ウェモンが心で迷っただけで、エカテリナは必死になって訴える。
そう、この娘はいつもそうだ。
自分の命よりも、他人の命を大事にしてしまう。
ウェモンの命も、ジジャの命も、見知らぬけが人すらも。
『ああ、そうだったな。お前の望むとおりに。』
苦笑しながら、ウェモンは言われた通りに路地の奥へ入った。
「あっ、ここよ!」
ぽんっと、エカテリナがウェモンの腕から飛び降りる。
「この壁、お願い」
荒いレンガの壁、
めんくらいながらも、指し示された壁に手をおいた。
「ふんっ!」
注意を払って、ウェモンが息を放つと、レンガがわずかに揺れた。
ガラララッ
ちょうどウェモンが通れる程度に、丸く壁が崩れ落ちる。
病人たちが寝かされたのは、教会のなごりの建物。
その建物の隣で、クランク型に通路がつながっているのがここだった。
ルィーデの教育のたまもので、
いかなる時も避難路は確認するよう、厳しく教育されている。
先日けが人たちを運び込んだとき、
ここの見取り図が、頭に入っていた。
正面出入り口は、すでに流れ弾が飛び始めていた。
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「“ナイトメア”、高度を下げています」
管制官が、“ナイトメア”の動きを示した。
「ポロピ砂漠に降りるつもりか?」
マスティゴ中将の疑問に、隣の事務官が首をひねった。
「私の故郷は、あの近くなのですが、
砂漠と言いましても、ほとんど岩場や荒地ばかりです。
いかにC-5Eギャラクシーとはいえ、
降りる場所など、ほぼ無いといえますが・・・。」
マスティゴもリヴァールの人間、W・W・Wの知識はある。
異常な気象条件のために、低空からは近づくこともできず、
地上の輸送手段すらない場所、
降りる意味は?、いや降りる場所も無いとすれば・・・。
もともとギョロ目の瞳が、さらに見開かれた。
「コースと地図を重ねろ。」
レーダーに地図が重ねられた。
速度と高度が予測する移動地点は、ベンドンシティ。
「いかんっ!、追跡部隊はまだかっ。」
「接触まであと1分30秒」
「何としてもベンドンシティの前で撃墜せよ!。
“ナイトメア”はベンドンシティに突っ込むつもりだ。」
テロリストにとって、
奪った武器はすぐに使うか、売りさばくのが最上の選択。
まして航空機には最悪の気象条件のポロピ砂漠、
低空での移動はほぼ不可能。
移動も着陸もできない場所ならば、すぐ使う以外に選択肢は無い。
その言葉を裏付けるかのように、
“ナイトメア”は速度を落とさずに、高度を下げ続けていった。
軽業の可能な戦闘機ならとにかく、鈍重な輸送機では自殺行為だ。
「しかし、いったい何のために?!」
「奪ったやつに聞け。」
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音も、光もない、超高圧の世界。深海。
深度2000メートルの海底で、それは久しぶりに目を覚ました。
夢の中でたゆたうように、身体機能の大半を眠らせ、
体の外縁部感覚体のみを作動させていた巨大な生命体“妖”(あやかし)。
ゴボボボボボボ
海が揺れた。
急激な覚醒は、直径数百メートルに及ぶ巨体を震わせ、
全身が急激に明滅を始める。
無数の触手が絡み合い、固まったような異形が浮かび上がる。
「ん〜〜、何事なのよいったい・・・」
ひどくのんびりした、お気楽ご気楽な寝起きの声がした。
“妖”の精神世界の中で。
精神世界の中に全てのパーソナルデータをコピーされ、
記録されている情報統合体。
エルフの歴史上の女神であり、史上最大の魔術師でもあり、
そしてエカテリナに、己のすべての魔法知識を孕ませた張本人、
聖母ミューンである。
そして、彼女の隣では、穏やかな表情で眠っているエカテリナのコピー体。
もちろん、二人とも、目が潰れそうなほどの眩しい裸身だったりする。
中央でパール色に輝いていた“妖”の精神体が、
不規則な明滅を繰り返している。
突然、その前に2メートル四方はあろうかという、青い四角形が現れ、
様々な図形、記号、情報データが幾層にも表れだす。
「なっ・・・・ええっ?!」
エカテリナと関係を持った“妖”とミューンは、
現在の陸上の文明に、少し関心を持った。
世界各地に放たれた“妖”の分身から、情報を集めだし、
情報通信から軍用暗号まで解析し、
軍用海底ケーブルの光通信ですら、
わずかな重力変異で、ケーブルの外から内容を読み取ってしまう。
それらから蓄積していく無数のデータが、
エカテリナのいる場所に、どんどん集積していく。
この精神世界にパーソナルデータがあるエカテリナは、
どこに行こうと、ここから追跡可能だった。
E・グリーンベルト構想と、それへの敵対行動。
国家の調査団、それを襲撃した集団、
逃れた少数と、それを追うならず者と特殊部隊。
E・グリーンベルト構想破壊作戦に基づく、
国家間の緊張作成、爆弾の輸送、それの強奪。
爆弾を積んだ輸送機は、
まっすぐ、エカテリナのいるベンドンシティへ向っていた。
「まっ、まずいわよおおっ!」
ミューンが珍しいほど狼狽していた。
『爆弾を運んでいるのは、かなりの大型輸送機だ。
積んでいる量と破壊力を計算したが、
エカテリナのいる町の20倍の規模でも、楽に消滅させられる。』
「ああああっ、なんでこんな内陸部にいるのよおおっ。」
リヴァール全土の地図を出させ、
ミューンが混乱し切った悲鳴を上げた。
なんで、と言われても、エカテリナの方が困るだろうに。
こんなにうろたえたミューンは、“妖”も見たことが無かっただろう。
「せめて、海の近くだったらまだしも・・・」
あげるだけ悲鳴をあげたことで、
少し頭が冷えたらしく、ミューンの声が静まってきた。
『あそこはわけありの土地でね、
金属や機械が入れない特殊な地域なのだよ。』
「とはいっても、航空機で突っ込まれたんじゃ、
そういう結界も効かないわよ。」
『君の愚痴ではないが、せめて海の近くだったら、
私の分身を大量投入して、何とかなったんだが。』
“妖”の抑揚の無い思考波も、かなりの戸惑いを感じさせる。
ギロッとミューンがにらんだ。
美人なだけに、相当怖い。
「『なったんだ』なんて、終わったような言い方やめてっ!」
そこまで言って、はっと顔を起こす。
「分身を大量投入すれば、どうなるの?」
『分身を中継にして、直接攻撃をかけられるはずだぞ、
君の魔法知識に、そういう攻撃法がある。』
「あ・・・・」
ミューンのパーソナルデータは、
“妖”の精神世界、思考回路の中に封じ込まれている。
当然、彼女の全データは彼にも自由に参照できる。
「でも、ダメだわ。あの方法だと、消滅してしまう。」
何者かを中継して攻撃する方法は、
そのレベルによって、出せる力が決まってくる。
たとえ低レベルの分身でも、
数がそろえば、非常に強力な攻撃や魔法が可能だ。
だが、何事もいい点ばかりではない。
この魔法は、中継する相手に、モロに負荷がかかる。
ここにいるエカテリナのパーソナルデータを使えば、
エカテリナ自身を中継にはできる。
だが、あれだけの大質量を相手にすれば、
たとえ彼女ほどの魔道の素養と力を持っていても、
瞬間的に脳髄は数千度に灼熱し、肉体ごと消滅してしまう。
「せめて空間移動ができれば…、
ああだめ、そっちの方がはるかに負荷が大きい。」
空間移動魔法は、攻撃魔法よりも、はるかにレベルが高く、
危険で莫大なエネルギーが必要になる。
静かに眠っている、エカテリナのパーソナルデータ。
その芸術品のような裸身を見ていたミューンの目が、
ぎゅっと瞳孔をすぼめ、凶暴な光を帯びた。
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ベンドンシティ、地下酒場跡。
フェリペは、ジジャに事情を知らせ、
こう言った。
「よいか、真っ先にウェモンに知らせよ。
そうすれば、あの者がさらうようにして連れて来る。
もしエカテリナに先に知らせたら、
あの娘は、他の者も救おうとするであろう。
そうなったら、だれも助からぬ。」
大規模災害や戦争の時、最も怖いのはパニックである。
我先に逃げようとする人間は、
誰かを踏み潰しても分からない。
逃げ場を求めて殺し合いになった事例は、事欠かない。
パニックで将棋倒しになり、
まとめて圧死したり、焼け死んだ例も多い。
ジジャも、W・W・Wの住人。
その意味をすぐに悟った。
弱い者から踏み潰されるのは、この土地の残酷な掟なのだ。
数人の女たちは、
射撃音の中へ、恐れ気も無く走り出た。
「ゆくぞ」
かすかに、かすかにフェリペの声が震えていた。
だが、その足が動かない。
青ざめた顔をしたガッハが、かすかに顔を動かす。
リンゼも、サーニャも、わずかに息をついた。
軋るように、細い首が動いた。
ジャリ
美麗な黒薔薇の靴が、鈍い音を立てた。
「我ら、誰が倒れようと、」
血のように赤い唇が、浪々と声を放つ。
ギシッ
白いイスが軋み、長身細身の軍服姿が立った。
「生き残った者が、」
薄いオレンジの唇が、あえぐように言う。
コツ
白と黒の大胆なレースをあしらった靴が踏み出す。
「この国を支えること、ここに誓わん」
ぽってりとした柔らかい唇が、
かみしめた血を滴らせた。
はるかな昔、
フェリペ、リンゼ、サーニャの3人が、
3枚のジョーカーとして、誓い合った日。
彼女たちが結んだ、一つの盟約。
己の命、仲間の命、その何よりも、
愛する民と国土のために、全てをささげると。
「我ら…、誰が倒れようと…」
移動用カプセルに向いながら、
フェリペがもう一度、かすかにつぶやく。
とてつもなく美しい何かが、
フェリペの柔らかな頬を伝い、
きらめきながら、暗い地に落ちた。
『エカテリナ…神よ…救いたまえ!』
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「いたぞ!」
度重なる最大加速に、軋む機体を震わせながら、
スカイホークのレーダーが、C-5Eギャラクシーの機影をとらえた。
「ロックオン!」
一瞬のためらいも無く、前後部の二人は、
一個の兵器と化し、照準を定めた。
だが、二人は忘れていた。ここがどんな土地なのか。
「ファイア!」
その直前、レーダーの巨体が、大きく左へ流れた。
自動操縦装置が、気象レーダーの変異を捕え、
危険を避けたのである。
だが、それでもさらに大きく、あおられ、流される。
スカイホークが、突然きりもみ状態になった。
発射直後のミサイルが、あらぬ方向へ吹き飛ぶように流される。
ダウンバーストと呼ばれる、
局地的・短時間に上空から吹く極端に強い下降気流である。
範囲は直径数キロにも達し、
その凄まじさに、下降噴流(かこうふんりゅう)という呼び名もある。
ポロピ砂漠の極端に乾燥した空気は、
海から侵入する上空の湿った大気とぶつかると、
突然に、この凶暴な下降気流を、多発させる。
場所によっては、逆に竜巻をおびただしく発生させることもある。
攻撃のために、対空レーダーに集中し、
比較的低空で速度を落とし、姿勢を安定させた直後だった。
秒速100メートル(時速360キロ)を軽く超える暴風は、
巨大な拳のように、スカイホークを殴りつけた。
もし、彼らがノースタゴタ基地のエースでなければ、
即座に墜落していただろう。
天地がめまぐるしく回転する中、
太陽が目をかすめた。
「いまだユッヒ!」
ナビ席のダレン少尉の声と、
ユッヒ中尉が最大加速をかけるのが同時だった。
何とかきりもみ状態を脱したが、
エンジン、操舵翼に深刻なダメージ、
衝撃でミサイル発射装置が壊れ、まさに満身創痍。
対して、余波で大きく流されるも、
巨大なサメのように、
ゆったりと態勢を立て直すギャラクシー。
バルカン砲はあるが、これも壊れた。
「ダレン脱出しろ、どちらにしろこいつはもうもたん。」
「おまえ、まさか・・・、無茶するな!」
ユッヒの熱すぎる性格を知っているだけに、
ダレンは必死に止めた。
「大丈夫だ、ぎりぎりでおれも出る、
こいつに無駄死にはさせん。」
『こいつに無駄死にはさせん』
その一言には、ダレンも逆らえなかった。
ドブワッ
ダレン脱出の振動と、後部が空いたため、
機体がバランスを崩しそうになる。
「ようしっ、なんとか間に合えっ」
スカイホークが軸線上にのった。
「頼むぜ」
カチッ
脱出装置が軽い音を立てた。
「え?」
スイッチと同時に、エラーの表示。
「そ、うか・・・・おまえもうボロボロだもんなあ」
左のエンジンがガフガフと鈍い音を立てる。
「あと少しだ、頑張ってくれ。
大勢の命がかかってるんだ、俺もつきあうからよ。」
チャラ
小さなロケット、
その中で、愛くるしい少女が、
見る者すべてをいとしむように、微笑んでいた。
中尉の昇進祝いに、
グラムリングシティで、一度だけ買った最高級の女。
彼の人生の中でも、最高の女。
「もし生きてたらよ、プロポーズに行くぜ。」
ハーフエルフの少女を胸に、最後の全力噴射。
「ほめてくれよ、−−−−−。」
少女の名を叫びながら。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ジジャの必死さが通じたのか、
すぐにエカテリナたちは見つかった。
「爆薬を満載した飛行機が、この町に向ってる」
ジジャに耳打ちされたウェモンは、
一瞬凍りついたが、はっとエカテリナを見た。
だが、エカテリナは青ざめて走り出していた。
砂エルフは肉体的には、エルフより強靭だが、
感覚は人間に近い。
だが、エルフは普通の者でも人間の10倍、
エカテリナにいたっては、さらに高い。
耳打ちをしたぐらいでは、すべて聞こえてしまう。
「逃げてええっ、みんな逃げてえっ、爆撃が始まるわ!」
銃撃の恐怖すら忘れ、必死に叫んだ。
だが、銃撃の音が、全てをかき消した。
「いかん、止まれ!」
榴弾砲が、エカテリナの近くで炸裂した。
エカテリナが倒れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『何を・・・する気だ・・・』
恐れを知らぬはずの“妖”が、弱々しく聞いた。
ミューンは、血走った目で、
その白く細い右腕を強力な魔力で光らせながら、
ゆっくりと、エカテリナの下腹部に伸ばした。
バシッ
手が柔らかな下腹部に触れようとした瞬間、
火花が右腕を跳ね飛ばした。
「く・・・っ!、い、いまのは?!」
同時に、ベンドンシティのエカテリナが倒れた。
内側から発した衝撃で。
ミューンすら理解できぬ不可思議な現象に、
恐る恐るもう一度手を伸ばす。
『л#・・け・・て・・・、
マ・・マ・・ヲ・・・タス・・・ケテ』
それは、言葉ではなかった、感覚の塊だった。
泣きながら、哀願する、
己のへその緒の先を必死に守ろうとする感覚、
ミューンの手の感覚に、必死にすがり、泣いていた。
エカテリナの子供は、わずか1ヶ月、
だが、すでに小児並みの知能を持っていた。
母体の受けた衝撃を、恐怖を、
直撃に近い形で受け取り、
危険の中に走ろうとする母親を、
守ろうとして失神させ、泣いていた。
『オネガ・・イ・・・ママ・・タスケ・・テ・・』
「わかった、助けてやる。」
ミューンは、人形のような冷酷な顔で、
エカテリナの下腹部に当てた手から、静かに告げた。
心を鬼にしても、最初から胎児を犠牲にするつもりだった。
母親への純粋無垢の愛慕が、
ミューンの手の魔力を受け入れた。
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凄まじい爆炎が、天空に起こった。
あらゆる物が影を失い、
灼熱と爆風は、大地を覆うかと思われた。
だが、白い光の膜が、半球状にそれを受け止め、
開いた天空にのみ、その熱と力は吹き荒れた。
それでも、立っていた者はなぎ倒され、
爆音は耳を破壊し、
何軒もの家屋が倒壊した。
全ての者は、胆を潰し、腰を抜かし、
この世の終わりのような光景と衝撃に、
しばし、失神のように意識を閉ざした。
町の外にいた襲撃者たちは、
ほとんどが鼓膜を破り、全身を痙攣させ、
もはや誰も戦おうとする者はいなかった。
エカテリナをかばったウェモンも、
地に伏せたジジャたちも、誰も怪我は無かった。
「エカテリナ・・・おい、エカテリナ?!」
彼女には、なんの外傷も無かった。
だが、意識を閉ざしたまま、目覚めようとしなかった。
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