■ EXIT
金色の来訪者U・その4(18禁バージョン)


はじめに

この物語は、本来レンフォール戦記の2次創作、ロウさんの『金色の来訪者U・その4』を18禁バージョンで見たいとのロウさんのご要望にお応えして、MORIGUMAが書き換えたしろものです。 ロウさんからのご了承は得ていますが、18禁バージョンは肉欲という強力極まりないベクトルが働くため、MORIGUMAの構成上『似て非なる』ものに成らざる得ません。 このSSについての責任は、MORIGUMAにありますので、その点ご了解くださいませ。




夜。

フレリア=ワインツが経営する薬屋の店舗兼自宅の一室で、居候カリスはすやすやと寝息を立てて眠っていた。

子犬のように、可愛らしく毛布に丸まってる彼の寝顔を、半月がそっと照らし出す。
歳にしては少々小柄で、頬は丸く優しげな顔、お月さまも彼が目覚めないようそっと遠慮気味に照らしているようだ。

そんな顔と姿で、幸せそうに眠っているこの寝顔を見れば、女性なら残らずこう言うだろう。

『可愛い』と。

そして今、この少年の貞操を脅かさんと忍び寄る影も、例外ではなかった。

(ちょっと。何この可愛さ! 半端ないわね………)

男もののシャツ一枚、第二ボタンだけを止め、青い目をらんらんと光らせ、心の中でそう呟くや、濡れかけた唇を抑えて喉をごくりと鳴らす、一見危ないこの女性こそ、フレリアの姉にして奔放娘、現在第二の居候である、フューリー=ワインツその人である。

現在、カリスに夜這いしちゃおう大作戦(監修、フューリー)を展開中。 そしてその作戦は、半ば成功しつつあった。

(抜き足差し足、と。ふふふ………)

ゆっくりと音を立てずにベッドに忍び寄り、にやりと妖艶な笑みを浮かべる。

カリスは見かけこそ愛玩動物系美少年だが、いざ戦いとなるとその技量は並々ならぬものがある。かなりベテランの盗賊でも、部屋に忍びこんだ時点で、間違いなく昏倒させられるだろう。そのカリスに、全く気付かれずに接近している辺り、このお姉さん、ただならぬ技量の持ち主かもしれない。
ベッドの上で未だすやすやと仰向けで寝ているカリスに、フューリーは大胆にも、馬乗りになった。
さすが夢魔族、ベッドテクニックは壮絶な物がある。未だカリスは、気づきもしない。暗殺者だったら、この時点で完全に成功だ。

だがしかし、思わぬ事態が待っていた。

「あ、あんっ、こ、この子、すごい・・・」

彼女の内股、お尻、大事な場所、そこが触れるカリスの肉体は、熱くエネルギーにあふれ、筋肉の質が凄い。
単にたくましいだけではなく、実戦的に鍛え上げた、柔らかい上質の筋肉で包まれている。
そんじょそこらの、ボディビルで膨らませただけのマッスル兄ちゃんには望むべくもない、しなやかさと強さを複合した身体であることが、夢魔族だからこそ分る。

そして同時に、まだ寝たままの彼の分身、いわゆる男根の野放図な状態が、彼女のあそこを刺激する。
思わず、このまま下半身を激しくこすりつけて、悶え狂いたい衝動が、ずきんと中心を突き上げる。

『まだよ、まだまだ、がっついちゃだめよフューリー』

妖しく頬を染めながら、ぺろりと柔らかそうな舌が、赤い唇を妖艶に舐めまわす。
長く白い指先が、触れるか触れないかの微妙な動きを繰り返し、彼の毛布をそぅっと動かし、パジャマのボタンを魔術のように外していく。それでいて、未だ彼女はカリスの上にまたがった状態なのだ。
肌は密着させ、体重はほとんどかけず、相手の性欲を刺激するテクニックも同時並行。
こんな超絶テクニックを施されては、彼の逸物も勃起せざる得ない。
だがしかし、それに合わせて腰の高さを変え、さらにあそこだけが触れるよう、そうっと腰をくねらせていく。
ぬらぬらと光る滴が、それを包むように動いていく。

暗闇に月明かりだけが差し込む室内で、衣擦れのかすかな音だけが妙な存在感を以って響く。

と。

「う、んん…………」

さすがにこれだけのことをやっていれば仕方ないか、ここでカリスが漸く目を覚ました。

そして眠気眼を擦り、見えるようになった目で状況を確認。

自分の上に乗っている、月光で白く輝く裸体のフレリア、いやフューリー?。
何しろ、見た目はそっくりな二人(性格は全く逆だが)、何よりその頬笑みと状況、美しすぎる裸体が月光でますます神秘的に見える。
プリンと美しく盛り上がった乳房、ほっそり白い首筋、くびれたウェストから優雅に腰につながる曲線美。
長い腿を膝立ちに立たせ、腰を浮きあがらせ、すでに勃起し始めている彼の陰茎に、何やら生温かく、吸いつく蠢きが、ぞくぞくと刺激と快楽を伝い落としてくる。

ここにいたって、ようやく彼はこれが夢でないことを、強烈な濡れた刺激から悟った。

よく見れば、すでに寝間着のシャツはきれいにはぎ取られ、パンツも器用に脱がされていた。
つまり、全裸の輝くような美少女が、これまた全裸の彼の上に馬乗りになって、腰を蠢かせ、陰茎になぞりあげるように秘所を動かしているという、とんでもない状況。

「……………」

「……………」

目を数回瞬かせる。

そして。

「な?!…むうぅっ!?」

声を上げそうになるカリスの口を、さすがに拙いと思ったのか、フューリーが塞ぐ。

―――――自分の唇で。

が、この唇が甘い、壮絶に甘く、クラクラしそうな香りがする。
『夢魔の唇は、悪魔のキス』と言われる、蕩けるような唇と舌が、カリスを包み、絡み、すすりあう。

「く、ふぅ…………」

「あむ、ふぁ………」

暫く、唇を重ねあっていた2人はやがて、どちらからともなく離れた。

艶っぽい表情を浮かべたフューリーに対し、カリスはすっかりぽーっとして、息もかなり上がっている。
何より、あそこがバキバキに勃起し、はちきれそうになってしまった。

フューリーはフューリーで、その刺激がゴリゴリ、秘所をこするので、あえぎを必死に飲み込んで、それでも執拗に腰をくねらせる。
おそらく彼女がどいたら、彼のペニスは、勢いよく反りかえり、へそ下に密着しかねない。
ばねのような力に、あそこがめり込まされ、痛いぐらい刺激している。


「な、何してるんだよ!」

それでも必死にぶっ飛びかけた理性の欠片をかき集め、カリスは小声で怒鳴る。

しかしそんなものフューリーはどこ吹く風。

というより、どこか今にも泣きそうな小動物的雰囲気の顔が、やたらめったら可愛らしく、いじめたくなってくる。
彼女の腰のくねりに、それこそ必死に耐えているのは、百戦錬磨のフューリーには見え見えだった。
そして、彼女がのいたらのいたで、いきなり取り上げられた甘美な快感に、これまた泣きそうになるだろうことも感じる。

要するに、いじり倒したくなるように可愛い。

「だって、あなたが声出そうとするんだもの〜♪」

「するんだもの〜、じゃねえよ! こんなところ誰かに見られたら…うぐぐっ、…やっ、やめ、…」

「いいの〜?、やめちゃって。いやなら、お姉ちゃんのいちゃおうかな〜?。」

コリコリッ、ズリッズリッズリッ、コリコリッ、ズリッ、ズリッ、ズリッ、

音とぬめりが、陰茎を挟みつけ、温かいぬめりに今にも飲み込まれそうになり、声が途切れ、あそこがびくっびくっと動き、血がさらに増速して集中してくる。 陰嚢の痙攣が、今にも爆発しそうだ。

緩急をつけた動きと、あそこを挟みこんで刺激する陰唇のぬめりと温かさ、愛液のまみれしごかれるぬるぬる、こんなものに抵抗できる男がいたら、ぜひとも顔を見たいものだ。
だが、実を言えばフューリーもじっとりと額に汗がにじんでいる。白い歯を、見えないように必死に噛みしめている。
見た目ほど余裕があるわけではない、と言うより、余裕などこれっぽっちも残っていない。

彼の反則的な可愛らしさ、かわいそうな気分すら出てくる、必死の耐える表情、背筋がぞくぞくするのだ。
あそこのたくましく、強烈な勃起力のめり込みは、彼女をしてそれにめちゃくちゃにされたいと思う快感を、こすりつけるだけで撃ち込んでくる。
それでも、彼を苛めて、もてあそび、その絶頂を無理やりに絞り取ってしまいたい黒い欲求が、彼女の理性を何とかつなぎとめていた。

「うぐっ、ううっ、だ、だめだ、やめろ、フュー・・・リー、うああっ!」

「くっ、うっ、さっ、さあっ、いっちゃいなさい、ほらっ、ほらあっ!」

鬼気迫る笑みを浮かべ、裸の身体をくねらせ、己のあそこをこすりつけるフューリー。
裸の彼の胸にも、己の乳首を、彼の乳首とこすりあわせ、今にも飲み込んでしまいそうなあそこを、ぎりぎりでこするだけで刺激し、カリスを絶頂へ追いつめる。

「うっ、がっ、あがっ、あああああああああああっ!」
「あっ、あ、ああああああああああああああっ!」

ビュグンッ

強烈極まりない脈動が、陰唇の合間を駆け抜け、その刺激が、カリスの絶望的な絶頂の顔が、征服の達成感が、同時にフューリーを達せさせた。
甘く、切なく、そしてたとえようもない甘美、それが、彼女の尻肉をドロドロに汚す。


「どうしたの、カリス!? 今、悲鳴、が………」

彼と、姉の強烈な声に、悲鳴としか思えなかったフレリアは、まだ先日初めてを体験したばかりで、未だカリスとまともに顔を合わせられない、純な可愛らしい夢魔族である。それだけに、目の前の惨状は彼女の理性を吹っ飛ばすには充分すぎるありさまだった。

当然のように、その声は途切れ、凍りつく。

痙攣して喘ぐ裸のカリスの上に、これまた激しく喘ぐ全裸の姉のフューリーが跨り、そして、そして、恐ろしいほどに白くドロドロの二人の間。

一瞬、目の前が暗くなり、そして、真っ赤な何かがどっとフレリアの奥底から噴き上げてきた。

バチッ、バチバチバチッ!

まるで、爆竹をまとめて数十本、一気に点火したような音が、室内に弾けた。


「何、やってるの………?」

わなわなと肩を震わせて、そう問うフレリア。

前髪に隠れて見えない顔が、妙に恐ろしい。


ようやく喘ぎながら顔を上げたカリスは、心底この場に一番来てほしくない女性の出現と、その女性の一番恐ろしい魔力の暴走という、恐怖の二重奏にさあっと青ざめる。
しかも、自分とフューリー全裸で絡み合い、ぜいぜいあえいでいるときては、何をどう言いわけしようとしても、言葉が浮かぶわけが無い。


「否、これには深いわけがだな?」

実際にはそれほど深くもないのだが、とりあえずそうお決まりの台詞で弁明を図るカリス。 そんな彼の努力を、

「カリスに夜這いかけてます♪」

という、フューリーのあま〜く無慈悲な一言が粉々に粉砕した。

「あんたはこの場を乗り切りたいのか地獄を見たいのかどっちなんだぁっ!?」

本気で乗り切れると思っていたとしたら、彼も相当な天然だが、とにかく一発抜かれた直後で、頭が回らないのは事実だろう。

「あら、私は常に面白くなりそうな方に誘導しているつもりだけど?」

「面白くないわ! ていうかあんたも確実に巻き込まれるからな、この場合!」

「えぇ〜、どうしてぇ?」

「どうしてじゃなあああああああぁぁぁぁぁい!」

そう怒涛の如くツッコミまくるカリス。

だがしかし、悲しいかな。未だに馬乗りに抱きしめられているままで、迫力など欠片もない。

そんな漫才のようなやり取りをしていると、

ぶちん

「ぶちん?」

何かが切れたような音がした。

おそるおそる2人がそちらを見やると。
ピンクの前髪の下の闇から、恐ろしい光を放つ二つの眼。


「お〜ね〜え〜ちゃ〜ん?」

「は、はい?、どうかしましたか??」

おどろおどろしい、地鳴りのしそうな迫力の声に、思わず裏返った声の敬語で返してしまうフューリー。

「いい加減に、私のカリスから退きなさああああああああぁぁぁぁぁい!」

「ひいいいぃぃぃぃぃぃぃ!?」

牙がギラッと伸び、真っ赤に怒りに染まった眼光は、耳をもつんざく絶叫との相乗効果で、フューリーの図太い神経すらぶっちぎる。フューリーは羽まで生やして、マッハのスピードで逃げ出した。ベッドや部屋が、あちこち焦げた匂いを発するのは、ご愛嬌と言ってよかろう。直撃を喰らっていたら地獄絵図だが、愛する姉にそこまで出来るフレリアではない。

後に残されたのは、ぜぇぜぇと息を切らしたフレリアと、ベッドの上で顔真っ赤、仰向けの状態で固まっているカリスのみ。

『どっ、どっ、どーしろってんだ・・・』

逃げ出したフューリーを呪いながら、何をどうしたものか、困り果てるカリス。
何しろ素っ裸、そしてびっくりしたせいか、毛布の下ではあそこが硬直したまま、全然萎えてくれない。
『普通なら、小さく縮こまってるもんだろ?!』
常識論で、己の身体に抗議するが、聞いてくれるはずもない。


「ふえっ・・・」

「え?」

しゃくりあげるような声に、一瞬なんだ?と思ったカリスは、次の瞬間。

「ふえええええぇぇぇぇぇぇん」

フレリアが子供が泣きじゃくるような声をあげて、彼の胸元に倒れ込み、わんわん泣きだす。

「やだ、やだ、やだ、やだ、やだよおおおおおおおっ、ふええええええええん」

ぽかぽかと、小さな拳が何度も叩く。
それは痛くもない小さな打撃だが、カリスの心中はのたうちまわりたくなるほど痛い。
彼女の思いが、優しくはかない涙が、めっちゃくちゃに彼のハートを突き刺しまくる。
痛いどころの騒ぎではない、この場で土下座して額をぶち割り、頭を地面にめり込ませたいぐらい『つらい』。

それほど純な思いが、彼女の全身から伝わってくる。

先日、不可抗力とは言え彼女の処女を奪ってしまったのは、自分なのだ。
自分が彼女の『特別』であることは、まぎれもない。
そんな彼女に、あの惨状を見せてしまった事に、いっそ腹を掻っ切ってしまいたいほどつらかった。


夢魔族には、『性交にこだわってはならない』という不文律があると言う。
優れた容姿と肉体、高い知能と魔力、極めて長い寿命などエルフをも凌駕する優れた種族特性を持ちながら、繁殖率のあまりの低さに微弱な勢力しか持ち得ず、常に絶滅の危険にさらされてきた夢魔族。その上男女比が極端に大きく、女性の妊娠確率は極めて小さい。
彼女たちにとって、他種族の男性の精力を借りるのはむしろ必要不可欠。性に奔放にならなければ、種族が滅びてしまう。
それゆえに、相手にこだわることは、女性としてはともかく、種族としては不文律として認められないのだという。

特に処女は、それを散らす職業的男娼や、知り合いの友人を頼むことが多い。
初めてを、特別な男性にしてしまうと、そのこだわりが強くなってしまうからだ。
だが、不幸にしてフレリアは、その初めてが強くこだわってしまう相手だったらしい。



そっと抱きしめ、ただ涙が止まるまで、優しく髪を撫でてやる以外、何一つできないカリスだった。


『ちょっ、ちょ〜っとやりすぎちゃったかな・・・?。お姉ちゃん少しだけ、ちょびっと反省してるから、ごめんねフレリア。』

部屋の外では、彼女の鳴き声にこれまた、困った顔のフューリーが、裸のまんまで聞き耳を立てている。
そのうち、スウスウと細い寝息が洩れてきた。
完璧泣き疲れて眠ってしまったようだ。

ほんの少し、音もきしみも立てずに、ドアを開くと、本気で困り果てた顔のカリスが見える。

『あっ、てめえっ、どうしてくれるんだこの事態っ!』
『あっははは、ごっめんねえ、私にもどうして上げようもないんで、勘弁して』
拳を振り上げて、声を出さずに抗議するカリスに、ひきつった笑いでごめんする“だけ”のフューリー。

『こっちは、ぎんぎんで治まらねえんだぞ。これじゃあ生殺しだああっ。』
『明日なら、何とかしてあげるから、それまで我慢なさい。ああ、フレリアで解消しちゃってもいいんじゃない?。』
毛布の強烈な盛り上がりを指差し、顔中で抗議するカリスだが、急に冷酷な笑みを浮かべ、フレリアを押し出すように手を動かす。

『オレを鬼か悪魔にする気ですかあっ!。』
『ほらほら、そんなに興奮すると、フレリアが起きちゃうわよ。』
ほとんど涙をためんばかりの目で、拳を震わせるカリスに、ひらひらと手を振り、今度はそっとフレリアの方をなでるように手を動かす。

うっ、と寝息が乱れかけたフレリアに気づき、『後で覚えてろ』と言わんばかりの目を向けると、『もちろん幾らでもおかえしされてあげるわ』と裸の形いい胸をすくい上げるように突き出し、にんまり笑うフューリー。
これは完全にカリスの負けだろう。

諦めて、困り果てたような顔で、そっとフレリアに毛布をかけてやるカリスを見ながら、微笑ましい光景ににんまりと笑い、フューリーはそっとドアを閉めた。

「頑張れ、フレリア」

フューリーが誰にも聞こえないぐらい小声で、そう応援していたのは、余談である。 (金色の来訪者U・その4 18禁バージョン、終わり)
■ 次の話 ■ 前の話