■ EXIT
ディアボロス・デザイア


分厚い雲に覆われた星一つ見えない夜の空の下。
暖かくなり始める季節とはいっても、まだまだは夜は肌寒い季節。
か弱い街灯の光に、照らされた公園を一人の少女が必死になって走っていた。 小柄な体に不釣り合いな大きな胸をした少女は、疲労にふらつく足を無理矢理に動かして前に進む。
肩口で切りそろえられた栗色の髪は乱れ、頬に汗で張り付いている。

それを追いかける異形の群れ。

リーダーと思われる昆虫のような姿をした化け物が叫び声を上げると、群れは一瞬にして加速する。 生物としての常識を越えた、あり得ない跳躍を見せた獣のような化け物たちが、少女の眼前に音もなく舞い降りて取り囲む。

「ひぃ!」

行く手をふさがれた少女、高木由美は短い悲鳴を上げて立ち止まる。

(何が起きているんだろう。
今日は学園の先輩から、夜に逢いたいと言われた。
夜のこんな時間に男の人に呼び出しを受けることが、どういう意味を持つか解らないほど自分は馬鹿じゃないつもりだ。
とっておきの下着を着けて、自分を徹底的に磨き上げた結果は、訳のわからない化け物の群れに襲われる………
なんて皮肉なんだろう。
私の初めてどうなるのかな。ああ、それどころじゃないか………)

獣のような姿をした化け物たちが、由美に向けてゆっくりと手を伸ばす。
少女は必死で抵抗するが、少女の………いや、人間の力では目の前の化け物たちにとっては何の障害にもならない。
生物としての土台が、明らかに人間とは違いすぎる。
何の障害にもならずに、あっさりと万力のような力で腕を捕まれて押さえつけられる。
人とは違う獣の貌が、ニヤリと笑うのがハッキリと解った。
そのまま、無造作に服に手をかけ、まるで紙切れのようにあっさりと服を引き裂く獣。

引き裂かれた服からこぼれ出る乳房。
引き締まったウエスト。
そして水音が響く下半身。
いつの間にか独特の臭気があたりを漂っている。

化け物たちの息づかいと、ちょろちょろとした失禁の水音が夜の公園に響き渡る。
欲望にぎらついた化け物たちの瞳が少女の体を視姦する。

「先輩……助けて。」

由美の漏らした小さなつぶやきを、聞き取った化け物の主が嗤う。
昆虫のような奇妙な外骨格に覆われた貌が、少女に対して嘲笑を向ける。

「くっくくく。」

その声は由美にとって聞き慣れた………

「せんぱい?」

ソンナハズハナイ………

「あ、あははははははっ!そう言うことだ。目の前にいるのがおまえのあこがれの先輩だよ。」

化け物が少女の予想を肯定する。

「最近、普通に犯すのも飽きてきたんでなぁ。こうやって正体あかしてみたって訳だ!
おまえの記憶には残ってないだろうけど、もう前も後ろもきっちり開発済みだぜぇ!
あはははははははっ!」

その言葉をきっかけに、封じられていた記憶が奔流のように甦る。
………
……



「あの先輩………今日のデートですけど、本当にこれを使うんですか?」

「ああ、俺がせっかく用意したんだ。それにバイブ使うのは初めてじゃないだろぅ。」

先輩の瞳が輝く。
きっと目の錯覚だよね。
人間の目が光るわけがない。
そんなことを考えていると、先輩の言っていた通り 『私が卑猥なおもちゃで弄ばれる光景』が心に浮かんでくる。

おかしい?

それでも記憶にあるし、先輩もあると言っている以上真実なのだろう。
だから『今回も』少し冒険してみるだけだ。
だから私は『いつも通り』にスカートをまくり上げる。
先輩の視線が真っ赤になった私の顔を見た後、ゆっくりと下がり胸からさらに股間に向かう

「へえ、今日は可愛い下着を着けているんだなぁ。だけどこいつを入れるにはジャマだな。」

そう言った先輩は下着をはぎ取り股間に顔を埋める。
私の弱いところを熟知しきった、ねちっこい愛撫。
下半身から伝わる強烈な刺激に足が砕けそうになるが、鍛え上げられた先輩の体は倒れそうになる私の体を力ずくで押さえつける。

ねっとりとした体液が私の内股にいくつもの筋を描き始める。
びくびくと暴れ回り、逃げようとする私の腰の動きを封じたまま、先輩は私の肉ビラを捲り上げて膣口の上にある小さな肉芽を吸い上げた。

それがトドメとなって限界まで高められた快楽が、私の子宮を打ち抜く。
それに耐えきれなかった私は、熱い飛沫を先輩に浴びせてしまった。

「つったく、顔も服もぐちゃぐちゃじゃ無いか。どうしてくれるんだぁ由美?」

「え………あぁ・・・?………先輩!ごめんなさい!」

強烈な刺激に意識を飛ばしていた私は、先輩の声に我に返ると必死になって謝り始める。

「くっくく、なぁ、謝るだけで済むとは思っていないよなぁ、由美?」

先輩の顔がいやらしく嗤う。
その嗤いを見た私の体は何故か高ぶる………
絶頂した女の部分が再びぐっしょりと濡れ始めた。
まるで何かを『忘れている何かを求める』かのように………





今、私の身を隠すのは、先ほどまで先輩が纏っていた、たった一枚のパーカーのみだ。
あれから先輩の命ずるままに、服を奪われて前にバイブレーター、後ろにローターを埋め込まれた………
そして当初の予定道理に、デートコースの繁華街に向かう。


あれからたったの5分しか、経っていないはずなのに、私の体はもう音を上げ始めていた。
ぐっしょりと汗を吸った薄手の空色のパーカーは、体のラインをクッキリと浮かび上がらせ、いやらしく尖りきった胸の先端を周囲にさらしている。

元々、小柄な私だったからこそ、先輩が着ていたパーカーは大事なところを隠すことが何とか出来たけど、それでも太腿のほとんどはむき出しになっているし、内股を伝う粘液を隠すことは出来ていない。
一歩踏み出すたびに、恥ずかしい目印を道路に刻みつけながら、私は公園からここまで歩いてきた。
そして今も前と後ろから伝わる振動と、周囲からの視線が私の躰を昂ぶらせる。 そんな私の状態を解っている上で、先輩は私をさらに追い詰める。

「なぁ、由美、凄い汗だけど大丈夫か?やっぱりもう少し涼しい格好になった方が良いな。」

そう言った先輩はパーカーのチャックを中程まで引き下げてしまった。
下着を着けていない胸の谷間が、周囲にさらされ視線を集める。

私は昔から、人よりも敏感な感覚を持っていた。
その感覚は今、極限まで研ぎ澄まされて、周囲の視線が何処をどのような感情で見ているかまでハッキリと理解させる。

尖りきった胸の先端。
桜色に染まり、火照った胸の谷間。
白濁した粘液の伝う太腿。
汗でピッタリと張り付いたお尻。
薄く透けて見える茂み。

其処にまとわりつく、静電気のような視線。
私のことを語り合う、周囲の人混みの声。
それを知覚した瞬間が私の限界だった。
先ほど先輩に与えられた絶頂など比較にならない、圧倒的な感覚が私の理性をあっさりと突き破る。
呼吸すら満足に出来ず、声すら出せない快楽に弄ばれて働かなくなった私の感覚が、ゆっくりと私の中から何かが堕ちる感覚を伝えてくる。

そしてそれは軽い水音を立てて、私の生み出した水たまりの中に落下する。
それが一体何なのか、今の私には理解できなかった。




『男性のみは立ち入り禁止。必ず女性と同伴で入場してください』

そう書かれたプレートの置かれた一角。
人気のないゲームセンターの中でも、隔離されたシールプリント機の筐体の中に、私は先輩といる。 公園からここまで、『何事もなく』たどり着くことが出来たみたいだけど、やっぱり恥ずかしかったのだろう。

途中で頭の中が真っ白になっていて、公園からここまでの道のりは全く記憶に残っていなかった。

今もおしりの穴から伝わる振動が、私の理性を吹き飛ばそうとしている。
道中に何があったのか考えたくない。
流石に先輩に聞けば教えてくれるだろうが、私がどうなっていたのか確認するのは恥ずかしすぎる。 約束では、そろそろ先輩が私の服を返してくれるはず。

「先輩、そろそろ私の服を返して欲しいのですけど。」

汗で濡れたパーカー一枚のままでは流石に風邪を引いてしまいそうです。

「ああ、そうだな。それじゃあ記念に写真を撮って終わりにするか。」

そう言った先輩はコインを筐体に投入すると、私の後ろに回り込みパーカーのチャックを完全に引き下げる。
私は突然のことに何も反応することができなかった。
それに足腰に力が入らず、反応できたとしても、ろくに抵抗すら出来ない。

『マークのある所でポーズを決めてね!』

むやみやたらに明るい声が聞こえてくると、先輩は私の体をおしっこをする幼児のように抱え上げた。
モニターの向こうに一人の女が姿を現す。
其処には完全に発情しきった一匹の雌がいた。

「由美ぃ、ずいぶんと気持ちよさそうなかおをしているじゃないか。」

先輩が私を見てにやにやと嗤いかける。
年齢よりも幼く見られる童顔は真っ赤に火照り、瞳からは涙があふれている。
体に似合わないサイズの胸の先端は鋭く尖りきり、発情してぐちゃぐちゃに濡れきった私の股間がモニターに表示される。
開ききった陰部は、奥までぽっかりと開ききり、子宮口まで見えそうだ そしてピンク色のコードが伸びるお尻の穴は今も快楽を送り続けている。 コード?

そう言えばここに向かうときには、他に『何か』を入れていたような?
『何か』を思い出しそうになった瞬間、脳天気な声が私の思考を遮った。

『それじゃいくよ〜』

フラッシュとともに、私の恥ずかしい姿が筐体に記録される。
光にさらされた瞬間、私の体がびくんと震えてしまう。
そして私のあそこからは、新しい粘液がはき出されて地面に落ちる。
何故なのか躰がどんどん熱くなる………
荒い息をつく体にはほとんど力が入らず、両手はだらりと投げ出されて力が入らない。
モニターにさらけ出された股間の奥に隠された突起が、むき出しになり膨らんでいる事に気が付いた先輩が伸ばす腕を止めることも出来ずに唯、限界を超えた刺激が私を襲うのを見ていることしかできない。

「うぁぁぁ………ぁ」

突起を触れられた瞬間、膣口の上の小さな穴から一気に液体を拭きだしてしまう。
お漏らしのように、吹き上げる飛沫に興味を示したのだろうか?
先輩はリモコンを取り出して、お尻の穴に入ったおもちゃのメモリを最高にする。
それだけでなく私の突起をいじったまま激しいピストンを開始し始めた。
私を襲う終わりのない絶頂。

『そろそろポーズは決まったかな?』

瞳からは涙をまき散らし、股間からは水っぽい体液を吹き散らす私を、機械は無情にも記録しようとする。
待ってください!と言いたいが、すでに私の口は意味のある言葉を話すだけの余裕はない。

『それじゃいくよ〜』

フラッシュが私と先輩を包み込み、二枚目の撮影が終わる。
イキ狂った恥ずかしい姿、それを記録されショックで完全に力の抜けた私の体を押しのけて、先輩は胎内から肉棒を引き抜いた。

やっと、終わる。
そんな微かな希望にしがみついた私の考えは、次の瞬間あっさりと破られた。
引き抜いた肉棒は、そのまま私のお尻の穴に当てられて、ローターと一緒に奥深くまで突き入れられた。
そんな刺激にも、蕩けきった私の体は反応して快楽に染まってしまう。
それでもすでに限界が近くなってきた。
今まで、突かれるたびに上げていた、声はすでに無く。
力の抜けた下半身からは、ちょろちょろと色づいた液体がこぼれ始めている。

『これで最後の写真だよ』

すでに振り切れてしまった私の躰と心の事など考えない、激しいストロークを続ける先輩。
おしりの中の肉棒がびくびくと動き出すのを感じる。

『それじゃいくよ〜』

熱い何かを私の中にはき出されるのを感じながら、ゆっくりと私の意識が闇に飲み込まれる。
最後に残った記憶は、無意味に明るい筐体の声だった。
………
……






封じられていた記憶が一斉に甦る。
これだけじゃない。
これまでも、ずっと私はおもちゃとして扱われてきた。
私の体はずみずみまで犯されて、既に綺麗なところ何て何処にもない。

それどころか先輩に対する恋心。
それさえも、作られたものだと言うことを思い出す。

「あははははははは、思い出したみたいだな。自分が唯の肉奴隷だろ言うことを!」

先輩が何故だか笑う。ものすごく楽しそうだ。

「なあに、安心しろ!今日も遊び終わったらきっちりメンテナンスしてやるからな!明日からはまた恋人同士だ。」

私の腕をつかんだ獣が地面に体を押し倒す………………先輩が何かを言っている。

「たまには舎弟にも、良い思いさせてやらないといけないからなぁ。おれって友達思いの良い男だろぉ。なあ、由美ぃ」


小水に濡れた下着が引き裂かれる………………先輩の言っていることが理解できない。

「おい、おまえら今日は俺の奴隷を貸してやる。感謝しろよ。」


私の足が持ち上げられる………………理解できないなら。 「なぁに、夜は長いんだ。そんなにがっつかなくても、全員でゆっくり可愛がってやれ!」



太い獣の肉棒が私の股間に当てられる………………理解できないなら。

「後のことも考えて、あんまり汚すんじゃねーぞ!」



私の中から熱い力がこぼれ落ちる………………理解できないなら。




壊してしまおう!




そして私も異形に変わる………


-------------------------------------------------------------------------
【あとがき】
今回はTRPGのデモンパラサイトというゲームをテーマにした作品を書かせていただきました。

このゲームですがプレイヤーキャラクターの状況対応力が、かなりぶっ飛んだ次元にあるので、TRPGになれた人間が遊ぶと、想像の斜め上に行く途轍もないゲームです。

ちなみに触手とか、記憶操作は冗談のようですが普通に存在し、なおかつプレイヤーキャラクターが使うことが出来たりします。

先輩みたいに悪用しようとしたら、幾らでも使えるんだろうなぁ。
と言うか、本気で運用したら直接的な戦闘能力よりもよっぽど危険です。

ちなみに高木由香はプロット作った段階では、唯の犯られキャラだったんですが、書いている最中に何故か人外に………
次の話
前の話